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水道管はDIYできる?
水道管はDIYできる?
インターネットを検索すれば、蛇口や水道管の補修や交換についてのさまざまな情報が載っていますし、水道管や金具、工具なども、ホームセンターで簡単に揃えることができます。壁や床、建具などの内装だけでなく、水まわりの補修やリフォームも、DIYでやってみたいと思うのは自然なことです。しかし水周りの工事はなんでも自分で行って良いわけではありません。たとえ家の中の設備であっても、専門の資格を持っていない個人が勝手に作業できない部分がほとんどです。では、できる作業とできない作業の境界はどこにあるのか、法律の話を交えて解説しましょう。
目次
1章:そもそも水道管はDIYできるの?
2章:水道管のDIYでできること
3章:こんなときはプロに頼もう!
4章:DIYで必要となる基本的な道具
5章:DIYする際の注意点
まとめ
1章:そもそも水道管はDIYできるの?
水道管は誰のもの?
住宅内に設置された水道管は、公共の水道とつながっています。それではどこまでが公共の設備で、どこからが私有の設備になるのでしょうか。日ごろはあまり意識することのない、その区分を最初に整理しておきましょう。
ご存知の通り配水管と呼ばれる水道の本管は道路の下を通っていて、その本管から枝分かれした管によって各家庭の蛇口まで水を送っています。この本管の分水栓から蛇口までを「給水装置」と言い、その間にある水道管などの設備(メーター、メーター受信機を除く)が各家庭の所有物になります。
では、所有物である自宅内の水道管は、修理や改造などの作業をDIYで行っても問題ないのでしょうか。
DIYできる水道修理とできない水道修理
結論から言いますと、水道管に手を加えて管を延長したり、蛇口(水栓)を増設したりするような工事は、所有者といえどDIYで行うことはできません。というのも、住宅内のものを含む給水装置の設置や変更については、水道法によって施工者が定められているからです。
たとえ私有の水道管であっても、構造や材質が不適切であると、安全な水道水を水漏れなどなく適切に供給できないばかりか、工事部分からの汚染による感染など、公衆衛生上の問題が発生する可能性が生じます。そのため水道法では、基準に適合した給水装置を施設できるように「当該水道事業者の給水区域において給水装置工事を適正に施行することができると認められる者の指定をすることができる」と定めています。これを受けて水道事業者(水道局や自治体など)は、「給水装置主任技術者」や「排水設備主任技術者」の有資格者が施工や管理を行える工事事業者を指定しています。
簡単に言うと、水道局や自治体の指定を受けた工事業者でなければ、給水装置の新設や変更の工事はできないのです。もし指定を受けていない個人がDIYで水道管の変更などの工事をすると、最悪の場合、給水停止となることがあるので注意しましょう。
ただし「給水装置の軽微な変更であるとき」は、例外として指定工事業者以外でも工事をすることが認められています。
2章:水道管のDIYでできること
DIYできる軽微な変更とはどんなもの?
では、指定工事業者ではない個人が、DIYで行える給水設備の工事にはどんなものがあるでしょうか。
厚生労働省では、条文にあるただし書きの解説の中で、「単独水栓の取り換えなど」が軽微な変更にあたるとしています。蛇口(水栓)の取り替えであれば、DIYの初心者であってもそれほど難しい作業ではありません。好みのデザインの蛇口に取り替えたり、お湯と水が出る2ハンドルの混合栓を、使い勝手の良いシングルレバーに取り替えたり、独立型の食洗機に給水するための分岐水栓に取り替えたり、どれも自分で作業することができます。
また、蛇口周りで水漏れの故障があったときには、もちろんDIYで修理することができます。水漏れしている箇所を特定して、それぞれの原因箇所のパッキンを交換して修理しましょう。
水道管の水漏れへの対処は?
●メーターで水漏れをチェック
水道管のほとんどの部分は見えないところにあるため、少しずつの水漏れには気づきにくいものです。使用状態があまり変わらないのに水道代が急に上がったり、地面に常に濡れている場所があったりしたら、水道管から水漏れしている恐れがあります。まずは水漏れの有無をチェックしましょう。
水漏れは水道メーター(メーターボックスは、たいてい玄関付近に設置されています)を見ることで判断できます。家の中の水道をすべて止めてから、メーターを見てください。まったく水を使っていない状態でメーターの中のコマがくるくると回っていたら、給水装置のどこかで水漏れしていることになります。早急に対処しましょう。
●水漏れ箇所の確認
水漏れの原因としては、蛇口などの金具や水道管のジョイント部分の緩みが考えられます。すべての金具、キッチンシンクや洗面台の下、トイレの給水管など、床上にあって見ることができるジョイント部分から水漏れしていないかを調べます。緩んでいる箇所があれば、締めなおして再度メーターをチェックしてください。
もし水道管が破損していたら交換が必要です。水道業者に修理を依頼してください。業者がすぐに対応できないなど修理までに時間がかかるときには、ずっと水道を止めておくわけにはいきません。水漏れ部分に水道管補修用のテープを巻いて穴をふさぐと、管を交換するまでの応急処置になります。
水道メーターが動いているのに水漏れ箇所を見つけられないときは、床下や地面への埋設部分で水漏れしている可能性があります。業者にチェックと修理を依頼しましょう。
3章:こんなときはプロに頼もう!
ここまで書いてきたように、DIYで修理や交換の作業ができるのは、蛇口周りに限られます。それより先の水道管に関わる工事は、すべて指定工事業者に依頼する必要があります。実際には古いパイプの交換や水周りのリフォームが多くなるでしょう。
劣化した給水管の交換
近年では「ポリエチレン管」や「塩ビ管(VP管、VU管)」などの樹脂素材を使用した水道管が主流になっていますが、一昔前までは金属製の管が使われていました。そのため古い建物の給水管は鉄管(鋼管)であることが多く、長年使用していると管の中にサビが発生することがあります。蛇口から赤茶色などの色のついた水が出てくるようになったら、給水管のサビが原因と考えられるので、塩ビパイプなどの樹脂管に交換する必要があります。
鉄管はサビによる侵食が進むと穴があくこともあります。色水が続くようなら、水漏れを起こす前に業者に給水管のチェックや交換を依頼しましょう。
水栓の移動や増設
セルフリフォームでキッチンシンクや洗面台の位置を変えようとすると、当然ながら蛇口の位置を移動する必要があります。がんばってシンクや洗面台の設置作業をDIYで行うとしても、給水と排水の配管を変更する作業は指定工事業者に依頼する必要があります。
同様に庭や駐車場に立水栓や散水栓を増設したり、移動したりする場合も、給排水の水道管に関わる工事がともなうため、業者へ依頼しましょう。
4章:DIYで必要となる基本的な道具
ドアの閉まる速度が以前に比べると速く(もしくは遅く)なったと感じる場合には、その速度を調整する仕組みがドアクローザーには備えられています。
ご自宅のドクローザーを確認してみてください。本体の側面などに調整弁があるはずです。
●
ウォーターポンププライヤー
支点の位置を動かすことで開口幅が何段階も変わり、大きなナットから、小さなビスまでつかむことができる水道金具の作業に欠かせない道具です。つかむ部分がギザギザになっているタイプと、樹脂などでカバーされたタイプがあります。ギザギザになっている場合は、金具を傷つけないように布をあてて使います。
●塩ビ管用ノコギリ
パイプソーとも呼ばれる、塩ビパイプなどのプラスチック製パイプを切断するためのノコギリです。木工用の横挽きノコギリでパイプを切断しようとすると、刃がかかりすぎて切りにくいため、パイプ専用に目立てを施した刃を使うのが効率的です。
●塩ビ管カッター
機種によっては直径63mmくらいまでの塩ビパイプを片手で切ることができます。ノコギリに比べて早くきれいに切断でき、切った後のバリ取りの手間が不要です。
●塩ビ管用接着剤
塩ビ素材を溶かして接着する溶剤タイプで、塩ビパイプと継手の連結に使う専用接着剤です。溶剤なので、接合する両面に塗らないと接着不良を起こします。ノコギリを使って塩ビパイプを必要なサイズに切断したら、フタについているハケを使ってパイプと継手に接着剤を塗ってすばやく組みつけます。パイプが押し戻されないように、固定させたい位置で30秒間押さえておくのが、寸法どおりに接合するコツです。
5章:DIYする際の注意点
作業を始める前に必ずやるべきこと
蛇口の取り替えや水漏れ修理を始める前には、必ず家の止水栓を閉じて給水を止めてください。一般的に止水栓は屋外の水道メーターボックスの中にあります。メーターの近くにあるハンドルが止水栓です。これを右に回せば閉まり、左に回せば開きます。マンションでは、玄関ドアの横にメーターボックスが設置されているのが一般的です。扉を開けて止水栓を探してください。
メーターボックスから独立して、丸いフタのついた止水栓ボックスが設置されている場合があります。そのときは、専用キーを使って止水栓を開閉します。
まとめ
上水の給水装置についての扱いと、その工事について紹介してきました。水漏れでも、その発生箇所が蛇口周りなのか水道管なのかによって、自分で対処できるものとできないものがあることを、おわかりいただけたと思います。配管の変更や部材の交換をともなう作業も同様です。DIY経験が豊富でも、法律で作業が認められていない部分の工事については、指定工事業者へ作業依頼をしましょう。
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