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トイレタンクの修理はどうする?
タンク式水洗トイレのトラブルは、下水への排水づまりや洗浄便座まわりの故障を除けば、ほとんどの場合は水をためておくタンク内に原因があります。そのタンクは重力を利用して水を流す仕組みのため、構造は案外シンプルで、DIYの得意な方であれば修理できる故障がほとんどです。ついつい慌ててしまうトイレのトラブルですが、修理業者に電話をかける前に自分で対応できる故障かどうかをチェックしてみてはいかがでしょうか。故障の原因の調べ方から修理方法までを、順を追って解説します。
目次
1章:トイレタンクの修理が必要な症状と原因の調べ方
2章:トイレタンク内の主な部品
3章:トイレタンクの修理方法
4章:タンクレストイレはDIYで修理できる?
5章:修理料金の相場と依頼先
まとめ
1章:トイレタンクの修理が必要な症状と原因の調べ方
一般家庭に設置されている洋式トイレは、タンクが便器の後ろ側などの低い位置にある「ロータンク」タイプがほとんどです。ロータンクは水を流す仕組みはどれも同じ。メーカーや形式によって細部の違いはあっても、タンク内部の基本的な構造に違いはありません。
タンクの故障でやっかいなのは、症状が同じでも原因がタンクへの給水系にある場合と、タンクから便器へ水を流す排水系にある場合に分かれることです。まずは症状と各部の状態を確認しながら、原因を特定することから始めましょう。
【ロータンクの構造】
レバーを回しても水が流れない場合
●タンク内の水をチェックする
【水がたまっている】
タンク内に水が残っているのに水が流れない場合は、排水系の故障です。鎖が外れているか切れているのが原因と考えられます。外れているだけなら鎖を掛けなおし、切れていたら新しいものに交換します。
【水がない】
タンクに水が入らなくなっている給水系の故障です。浮き玉の状態をチェックしましょう。
(A)浮き玉が下がっている
断水していないか、止水栓が閉まっていないかをチェック。ちゃんと水が流れているにもかかわらず給水していない場合は、ボールタップの故障が原因と考えられます。ボールタップの交換が必要です。
(B)浮き玉は下がっていない
手で浮き玉を押し下げると給水されるようなら、浮き玉がタンクの壁などに引っかかっている可能性があります。引っかかっている場合は、浮き玉の取りつけナットを締め直したり、アームを手で曲げて、引っかからないように調整します。
浮き玉に異常がなければ、ボールタップにあるピストンバルブの動きが悪くなっている可能性があります。ピストンバルブを外して、600番くらいの目の細かいサンドペーパーで優しく磨いて水アカなどの汚れを落としてください。
手で浮き玉を押し下げてみて、それでもタンクに給水されない場合は、ボールタップが破損している可能性があります。ボールタップを交換してください。
便器内に流れ込む水が止まらない場合
●止水栓を閉める
【水が止まった】
止水栓を閉めて水が止まるようなら、給水系の浮き玉かボールタップに異常があります。浮き玉がは外れている場合は取りつけ直し、浮き玉が破損して沈んでいる場合は新しいものに交換します。
浮き玉に異常がなければボールタップのバルブ不良が原因なので、摩耗したピストンバルブのゴムパッキンを新しいものに交換します。それで直らなければボールタップを交換してください。
【水が止まらない】
止水栓を閉めても水が止まらないときは、排水系の故障です。まず、回したレバーが元の位置に戻るか、動きを確認します。
(A)レバーがスムーズに元の位置に戻らない
レバーに異常があります。潤滑スプレーを吹きつけてみて、それでも改善しなければ、レバーを分解清掃してサビや汚れを落とします。
(B)レバーがちゃんと戻る
フロートバルブを引き上げる鎖をチェックして、絡まっていたら手で解いて真っすぐに戻します。
鎖が正常であればフロートバルブに異常があります。底との間に異物が挟まっていたら取り除きます。しっかりと閉じているのに水が流れているとしたら、フロートバルブそのものが破損しているので交換してください。
2章:トイレタンク内の主な部品
重力を利用して水を流すタンク式のトイレは、主要な構成部品は少なく、仕組みも比較的シンプルです。修理方法の説明をする前に、故障の原因になりやすい主要部品について知っておきましょう。
【給水系の部品】
●ボールタップ
外部からの給水管に直結されていて、タンク内や手洗い金具へ水を送る、給水系の心臓部と言える装置です。ボールタップのピストンバルブは浮き玉に連結されていて、浮き玉が上下する動きに合わせてバルブを開閉し、水を送ったり止めたりします。
●浮き玉
水に浮く中空の玉で、水の増減に合わせて動き、ボールタップのピストンバルブを開閉するスイッチの役目をします。水を流して水位が下がると浮き玉も一緒に下がり、アームに連結したピストンバルブを開いて給水します。給水が進んで水位が上がると、元の位置に戻ってバルブを閉めます。
【排水系の部品】
●オーバーフロー管
なんらかの故障があってタンク内への給水が止まらなくなったときに、規定量以上の水を上部の穴から便器へ流してタンクから外にあふれないようにする安全装置です。
●フロートバルブ
通常時はタンクの底にある排水口にフタをして、水が便器に流れないように止めておき、レバーを回すと鎖に引き上げられてたまっている水を排水口から便器へと流します。タンク内の水がなくなると再び排水弁に被さって水を止め、タンクに水がたまります。
3章:トイレタンクの修理方法
作業前に止水栓を閉める
タンクの中をチェックしたり、故障箇所を修理するときは、フタを開ける前にまず止水栓を閉めて給水を止めましょう。止水栓はタンクに繋がっている給水管の先、トイレの奥の壁や床にあります。マイナスドライバーを使って時計回りにいっぱいまで回すと、栓が閉まってタンクへの給水が止まります。
止水栓を閉めるときに回した回数を覚えておくと、作業終了後に同じ回数を戻せば良いため、水位調整の必要がなく簡単です。
タンクのフタを開けるときの注意
タンクのフタを開けるとき、上部に手洗い金具がついていないタイプはそのまま持ち上げられますが、手洗い金具がついているタイプは一気に持ち上げないように注意しましょう。というのも、手洗い金具とホースやパイプとの連結の仕方により、差し込み式と固定式があるからです。
最初に少しフタを持ち上げて、すき間から中を覗いてみましょう。差し込み式であればそのままフタを持ち上げることができます。固定式の場合は、フタを落とさないように注意しながらホースをとめているナットを手で緩め、ホースを取り外してからフタを持ち上げましょう。
タンク内の水を抜く
水の量や浮き玉の状態を確認したら、レバーを回して水を流し、タンクの中を空にします。
ボールタップの分解と清掃の方法
ボールタップのアームやピストンバルブに水アカなどが付着すると、ピストンバルブがスムーズに動かなくなり、タンクに給水しない原因になります。ボールタップを分解して汚れた部分を600番くらいのサンドペーパーで磨いて清掃してください。
赤丸で囲んだ2か所のネジを外すと、アームとピストンバルブを取り外すことができます。
ピストンバルブが上がっていても給水が止まらないときは、バルブのパッキンが消耗している可能性があります。細いドライバーなどを使ってバルブ先端のゴムパッキンを外し、新しいパッキンを取りつけます。
ボールタップ本体を取り外す際は、モンキーレンチを使って給水管をタンクに固定しているナットを緩めて、本体を内側から引き抜きます。
浮き玉の調整と交換
浮き玉の調整や交換を行うときは、矢印部分のネジを反時計回りに回して緩め、アームごとボールタップから取り外します。浮き玉が破損している場合は、新しいものを取りつけ直してください。
アームの曲がりを調整する場合は、アームをペンチなどでつかんで少しずつ曲げるようにしましょう。
フロートバルブと鎖の交換
フロートバルブの交換はとても簡単です。レバーにつながったフックから鎖を外し、オーバーフロー管からフロートバルブを取り外します(メーカーや機種によってフロートバルブの形状や取りつけ方法は異なります)。新しいフロートバルブと鎖を逆の手順で取りつければ交換は完了です。
鎖が切れるなどして修理する場合は、上記の手順でフロートバルブを取り外してから、新しいものに交換してください。
補修部品を購入する際の注意
ボールタップやフロートバルブが故障したり劣化したりした場合は、新品を購入して交換する必要があります。それぞれの部品はメーカーや機種によって仕様が異なっていることがあるので、トイレの型番を調べたり、ホームセンターなどに現物を持っていって同じものを購入してください。
メーカー純正品を在庫していない場合でも、対応している水道器具メーカーの汎用品が使えるので、型番などで確認して購入しましょう。
4章:タンクレストイレはDIYで修理できる?
タンクレストイレは、タンクがない分スペースを有効に活用でき、見た目にもすっきりおしゃれ。節水ができるメリットもあり、人気が高まっています。しかしタンク式トイレに比べると、構造や仕組みは複雑です。
タンクレストイレは、水が落下する勢いではなく、水道管の水圧や電気で作った水の勢いを利用して流す方法を採用しています。本体内にバルブやポンプ、タンクが備えつけられていて、これらの部品が劣化したり損傷したりして故障すると、水が流れないなどのトラブルが起こります。
メーカーや機種ごとに構造や仕組みが異なるため、修理をするには個々の製品の知識が必要です。タンクレストイレで水が流れない、便器内に流れてくる水が止まらないといった症状が出た場合は、本体のポンプやバルブを業者に依頼して修理することになります。
5章:修理料金の相場と依頼先
トイレタンクの故障もDIYで修理をすれば、業者に支払う工賃や出張費を浮かして出費を抑えることができます。ただ、慣れない作業の途中でタンクのフタを破損したり、床を水浸しにしたり、修理してみたものの直すことができなかったり、という可能性はありうるものです。
最後に、水が流れない、水が止まらないといったときのトイレタンク修理費用の相場を、DIYで行うときと業者に依頼するときで見ておきましょう。
DIYでの修理にかかる費用
必要なのは交換が必要な部品と新たに買い足した場合の工具の代金です。使用している材質によって価格帯には幅がありますが、一般的に用いられる部品の価格はおおむね下記のとおりです。
・ボールタップ単体 3500円程度
・浮き玉単体 700円程度
・フロートバルブ単体 800円程度
・オーバーフロー管(フロートバルブ付) 2800円程度
業者に依頼するときの依頼先と費用
地元の水道設備業者、テレビCMやポスティングで宣伝している出張修理専門業者のほか、近隣のホームセンターでも出張修理サービスに対応していることがあります。まずは電話で故障の症状を伝え、修理への対応、出張費や工賃を含む修理費用の概算、無料見積りの有無を確認しましょう。実際には故障の原因を調べてから部品代や工賃などが確定するので、見積りまでは無料で対応している業者が安心でしょう。
ロイヤルホームセンターが行っている出張サービス「ロイサポート」でも、トイレをはじめとした水周りのトラブルに対応しています。ロイサポートについての詳細は以下のページからご参照ください。
ロイサポートの詳細はこちら
まとめ
トイレタンクの部品はホームセンターなどで購入しやすく、交換方法も簡単なので、初めてのトラブルでも、DIYが得意な方は修理に挑戦しても良いかもしれません。故障の原因が排水系の鎖やフロートバルブであれば、工具も必要ありませんし、給水系の修理でも決して難易度の高い作業ではありません。止水栓を閉めて、フタを慎重に開けてと、手順を確認しながら行ってみてください。
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