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FRPを使ったDIYでの補修
FRPを使ったDIYでの補修
身近なところではユニットバスの浴槽やサーフボード、また、プレジャーボートの船体やテーマパークなどの装飾物などにも使われているのがFRPです。その特徴は非常に丈夫で軽く、また耐候性にも優れているということ。
そんなFRPは、様々な用途に使用されており、型を作れば大きな構造物を一から作ることも可能です。また、DIYでは補修用の材料としてもよく使用されています。例えばFRPパーツでできた自動車のバンパーのヒビや、割れてしまったオートバイのカウリングなどの修理に使用すれば、本来の強度を保ったままキレイに補修ができます。そのためホームセンターなどでも、専用のFRP補修剤や、ガラスマットやFRP素材など必要なものがセットになった商品が販売されています。
FRPを使った補修なら、単にパテなどでキズを埋めるよりも強度が高く、さらに軽量に仕上げることが可能です。では、そんなFRPを使用した補修はいったいどのようにすれば良いのでしょう。チャレンジしてみたいという方のために、DIYによる、FRPを使った補修方法を、オートバイのサイドカバーを例にしてご紹介しましょう。
1章:FRPとは?
2章:FRPのメリット・デメリット
3章:FRPを扱う際の注意点と必要な道具
4章:FRP補修キットを使った補修の作業手順
まとめ
1章:FRPとは?
ガラス繊維などで強化されたプラスチック
FRPとは、Fiber Reinforced Plastics(ファイバー・レインフォースド・プラスチック)の略で、日本語で言うと繊維強化プラスチックとなります。どういったものかというと、ガラス繊維などでできたグラスマットなどをプラスチックの中に混ぜることで強度を向上させた複合材料のことです。
前述したようにお風呂の浴槽や自動車のバンパー、公園の遊具など、私たちの身近なところでも多く使用されています。DIYで車の整備などを行っている方にはエアロ補修用に、FRPを使用した車用補修剤を使用したことがある、という方もきっといるのではないでしょうか。
FRPで使用される繊維の代表はガラス繊維(GFRP)です。その、他にも炭素繊維(CFRP)や、ケブラー(KFRP)、ダイニーマ(DFRP)などの樹脂繊維も使われています。身近なFRP製のものはほとんどがGFRPなので、FRPのことをグラスファイバー(ガラス繊維)などと呼ぶ人もいます。技術があればFRPを使ってどのような形の物でも製作することはできますが、その扱いに注意がいりますし、多くの手順も必要で初心者には決して簡単ではありません。
もし、立体的な造形素材にFRPを使いたいという場合には、まず原型を作らなくてはなりません。その上にFRPを貼るという作業が必要で、ある程度スキルを積んでからでないと難しいでしょう。そういった用途には加工の簡単な発泡スチロールなどの方が向いているかもしれません。
しかし補修用途としてFRPを使用するのであればそれほどハードルは高くありません。ホームセンターなどに行けば、DIY用の補修材としてFRP専用補修キットが売られているので初心者でも気軽にトライしてみることができるでしょう。
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2章:FRPのメリット・デメリット
強度が高く軽量。しかし加工の手間がかかる
FRPが様々な用途で使用されている理由は、多くのメリットがあるからです。そのメリットとはどのようなものか具体的にいくつか紹介しましょう。
①軽くて強度が高い
プラスチックなので金属よりも軽量です。また金属並みの高い強度が期待できます。そのためFRPは鉄よりも強く、アルミよりも軽いなどともいわれています。その特性から軽さと強さが求められるレーシングカーやボートなどのボディにも使用されています。その丈夫さから公園などにある動物の形をした遊具などにもFRPは使用されています。
②耐候性に優れている
使用されている素材が、ガラス繊維やプラスチックなので、金属や木材などのように腐食することがなく耐候性に大変優れています。さらに塩害にも強いので漁船などの船体にも向いています。加えて耐熱性、耐薬品性、断熱性にも優れることから建築材料などにも広く用いられています。
③耐水性に優れている
水を通さないためボートの船体や風呂の浴槽などにも適しています。
④補修がしやすい
万が一破損しても、FRPやFRP用ポリエステル樹脂(ポリパテ)で簡単に補修することが可能です。
このようにFRPには、たくさんのメリットがありますが、逆にFRPならではのデメリットもあります。それは以下のようなことです。
①衝撃に弱い
FRPは非常に固い素材ですが弾力性がないので強い衝撃を受けると割れてしまうことがあります。
②量産に向かない
加工の工程に多くの手作業が必要なため、同じようなパーツを量産するのには向いていません。
③熱に弱い
プラスチックなので熱には強くありません。耐熱温度はおよそ100~140度ほど。強い熱を受けると燃えてしまいます。
軽くて金属素材並みに強度が高く、腐食もしない。このようにFRPはとても優れた素材ですが、プラスチックとガラス繊維の複合材ならではの、熱に弱い、衝撃で割れてしまうなどといった欠点もあります。そのため、その特性に適した用途を見極めて使用する必要があるのです。
DIY用として、FRPを使用する場合はFRP補修キットなどがホームセンターなどでも簡単に手に入るのでそちらを使用すると良いでしょう。ガラス繊維のマットとポリエステル樹脂など最低限の必要なものがセットとなっているので、FRPでできた製品や自動車のバンパーやエアロパーツ、オートバイのカウリングなどの補修に使用してみてはいかがでしょう。壊れたパーツなどの補修レベルであれば、決して難しくはありません。どのような手順で補修を行えば良いのかは次のパートで具体的にご紹介します。
3章:FRPを扱う際の注意点と必要な道具
ゴーグル、マスク、手袋は必ず使用する
FRP補修キットは、ホームセンターなどで簡単に手に入れることが可能です。このほかに、作業に当たって揃えておくべき道具があります。特にガラス繊維を扱うので肌や目を保護する保護具は重要です。ガラス繊維は直接皮膚に触れてしまうとチクチクと非常に不快な思いをします。また、非常に細かいので目に入ったり、肺などに吸い込んでしまう可能性もあるので注意が必要です。
もし皮膚に付着しても、一時的に不快なだけで皮膚疾患などは起きないとされていますし、肺などに吸い込んでも障害などが起きることはないとされていますが、絶対とは言い切れません。まれに皮膚が過敏な方の中にはガラス繊維に触れることで炎症等を起こすことがあるようなのでできれば避けるべきでしょう。目を保護するためのゴーグル、防塵マスク、手袋は必ず装着して、衣服も長袖の物を着用するようにしてください。
●FRPを使った補修に必要な道具
・FRP補修キット(ガラスマット、ポリエステル樹脂、硬化剤)
・ローラーまたはヘラ
・ハケ
・アセトン
・シリコンリムーバー
・アルミテープ
・パテ
・サンドペーパー(耐水ペーパー)
・カッター
・防塵マスク
・ゴーグル型保護メガネ
・ポリ手袋
・スプレーペイント(サフェーサー、ボディカラー、クリア
4章:FRP補修キットを使った補修の作業手順
樹脂が硬化する前に手早く作業を行う
ここでは例として2つに壊れてしまったオートバイのプラスチック(ABS樹脂)製サイドカバーをモデルに、FRP素材専用の補修キットを使った補修方法を紹介します。この手順は自動車のバンパー(ABS製バンパー、FRPバンパー)などの補修にも応用できます。
FRP関連の素材は、ガラスマット、FRP用ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂硬化剤、洗浄剤のアセトンなどですが、これらはバラバラに入手し揃えてもかまいません。大きなパーツの補修であれば必要となるガラスマットやポリエステル樹脂の量も多くなるので必要な分量だけ入手しましょう。しかし、小さなパーツの補修であれば、手軽でおすすめなのが必要なものがワンセットになったFRP補修キットです。
FRP補修キットならば、はじめからガラスマットや、2液性のポリエステル樹脂、軽量カップなどがセットになっているのでばらばらに揃える必要はありません。こういったFRP補修キットは、ホルツやソフト99から販売されておりホームセンターの自動車用品売り場などで入手することが可能です。また、小さなキズなどの補修に便利なパテ付車用補修剤なども売られているので合わせて購入しても良いでしょう。
使用の際、注意しなくてはいけないのが、硬化剤を混ぜたポリエステル樹脂は思いのほか早く硬化しはじめてしまうということです。途中作業が滞らないように、FRP補修キットの説明書をよく読んでおき、作業のシミュレーションをあらかじめしておきましょう。またガラス繊維のマットや樹脂は、素手で触らないように注意してください。作業の手順は以下の通りです。
①キズ部分を研磨する
まず、穴があいてしまった部分や割れてしまったキズの表側と裏側をサンドペーパーなどでしっかり研磨します。粗めのサンドペーパーを使い、キズの周辺の塗装を剥がしながらパーツの表面を荒らすことで樹脂やパテなどが食いつきやすくなります。パーツにささくれなどがある場合は、カッターなどであらかじめ切り取っておきましょう。
②脱脂する
パーツに付着した油分や汚れを、シリコンリムーバーなどを使って取り除きます。
③アルミテープで補強する
パーツが2つに割れているので、パーツの表側から補修部分にアルミテープを使って貼り合わせます。パーツは元の形状となるように慎重に貼り合わせてください。もしアルミテープがない場合はガムテープなどでもかまいません。次に、破損部の大きさよりも少し大きめに付属のガラス繊維のマットをハサミなどで切り出しておきます。マットは強度を高めるため重ねて貼るので同じものを2枚用意しておきましょう。
④破損部の裏側に樹脂を塗る
説明書通りに主剤と硬化剤を混ぜてポリエステル樹脂を作ります。できたらパーツの裏から破損している部分を埋めるように樹脂を塗っていきます。またキズの周辺にも塗っておきます。
⑤ガラス繊維を接着する
切り出しておいたガラス繊維のマットを、塗った樹脂の上から貼ります。樹脂はすぐに硬化しはじめるのですぐに貼ってください。貼ったらその上から再度樹脂をガラスマットに染み込ませます。次にガラスマットの繊維内の空気をローラーやヘラなどで押し出します。さらに、同じ作業をもう一度繰り返してガラス繊維の層を二層にします。
⑥乾燥させたらアルミテープを剥がす
パーツ同士がずれないようにして、このまま自然乾燥すると2時間ほどで樹脂が硬化します。硬化したら補強用のアルミテープを剥がしてください。テープを剥がす際はパーツを破損しないように注意しましょう。
⑦表面からパテを盛り研磨する
パーツ同士が完全に一体化し、しっかりと強度が出ていることを確認したら、パーツの表側の仕上げをします。FRPを貼り合わせたつなぎ目の表側にポリエステルパテを盛り、隙間を埋めます。パテが硬化したら耐水ペーパーで表面を磨き滑らかにします。耐水ペーパーは、100番など粗目のものからはじめ、320番、600番、1000番と、徐々に目の細かいもので磨き上げていきます。表面の段差がなくなるよう整えてください。
⑧ペイントで仕上げる。
表面が整ったら、最後にペイントスプレーなどで仕上げます。まず塗装の食いつきが良くなるように下地にサフェーサーを吹きます。サフェーサーが乾いたら、好みのカラーのペイントスプレーで塗装します。塗料が乾燥したら仕上げにクリアスプレーを使って表面を滑らかに仕上げます。乾燥したらこれで完成です。
まとめ
FRPは、作業の手順さえ守ればDIYでも扱うことできる便利な補修素材です。自動車のFRP製バンパーやエアロパーツなどの修理に関しても、接着剤やパテなどを用いるよりも頑丈に仕上げることができます。
非常に細かなガラス繊維や、ポリエステル樹脂などを扱うので、作業には慎重さが求められますが、慣れてくればパーツの補修だけでなく一から立体物を作ることも可能です。ただしそのレベルに達するにはかなりのスキルが必要ですので、まずは紹介したような簡単な補修などから挑戦してみてはいかがでしょう。
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