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家で簡単にできる錆取りの方法とは? 自転車や衣服のひどい錆を除去
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家で簡単にできる錆取りの方法とは?
自転車や衣服のひどい錆を除去
毎日使っている自転車や鉄のフライパン、ホーローの鍋、ハサミなどなど、錆は身近にあるさまざまな金属に発生して、私たちをがっかりさせます。大切にしたいものなどはとくに、錆を予防してきれいに使い続けたいものです。
私たちの暮らしと切り離すことができない金属製品と上手につき合っていくために、欠かせない錆についての知識と予防のポイント、家庭で簡単にできる錆取りの方法について紹介します。
1章:錆ができる原因とは?
2章:主な錆の種類
3章:錆ができやすい環境と素材
4章:錆は家にあるもので簡単に取れる
5章:簡単にできる錆取りの方法
6章:錆ができないように注意すること
まとめ
1章:錆ができる原因とは?
錆とはどういうもの?
日常の暮らしのなかで最も身近な錆といえば鉄に発生する赤茶色のものです。発生初期で小さい点がポツポツとある程度でしたらさほど困ることはありませんし、布でこする程度で簡単に落とすことができます。ところが範囲が広がり、表面がボロボロと剥がれるほどもろくなってくると厄介です。
物の美観を損なうだけでなく、触れた手や衣服はすぐに汚れてしまいます。また、真っ赤に錆びたボルトやネジを力づくで回そうとして、折ったことがある人もいらっしゃるでしょう。放置期間が長くなると錆は鉄をどんどん侵食して内部までもろくし、本来の強度を奪ってしまうのです。
わかりやすく鉄を例にあげてみましたが、鉄に限らずほとんどの金属に錆は発生します。放置していた十円玉や古いお寺の屋根がくすんだ緑色に変色するのも、金色に輝いていた真ちゅうからツヤがなくなるのも、すべて表面が錆びているからです。金属の種類によって錆の種類は異なりますし、受ける影響も違ってきます。場合によっては錆を利用することもできるので、やたらに嫌う前にまず錆の正体を知ることから始めましょう。
鉄が錆びるしくみ
鉄が錆びるときの典型的な条件は、常に濡れているところやジメジメとして湿度の高いところに放置しておくことです。おそらくみなさんの頭の中にも、「濡れる→錆びる」という情報は暮らしのなかで自然とインプットされていると思います。金属が錆びるしくみはまさにそこにあって、表面に水と空気中にある酸素が触れると金属の分子がそれらと反応して、もとの鉄とは違った性質のものができます。この反応を「酸化」と言います。新しくできたものは「酸化鉄」と呼ばれ、これがたくさん集まったものが錆です。
鉄の原料である鉄鉱石は、もともと大気中の酸素と結びついて、酸化鉄として存在しています。そこから製鉄所で化学反応を利用して酸素を奪い、人工的に取り出したものが鉄なのです。私たちが使っている鉄は人工的に作られた不安定な状態のもので、本来の安定した状態に戻ろうとして再び酸素を取り込んでできるのが錆びなのです。酸素と水分が豊富にある空気中では、鉄が錆びるのはごく自然のことというわけです。
2章:主な錆の種類
錆は発生のメカニズムで分けるなどいくつかの分類法がありますが、色で分類すると赤錆、黒錆、白錆、緑錆、茶錆、青錆、黄錆に分けられます。種類が多いことに驚きますし、なかには見たことも聞いたこともない錆もあるでしょう。実際に普段の暮らしの中で目にすることがあるのは、2〜3種類と少数です。ここでは代表的な錆の種類について紹介します。
赤錆(あかさび)
みなさんがよくご存知の鉄にできる褐色の錆は、赤錆と呼ばれています。赤錆は、鉄の表面が水や空気などに触れることで自然に酸化が起きて発生するものです。
むき出しの鉄だけにできるのではなく、コーティングされている鉄のフェンスなどにも発生し、腐食が進むと鉄をボロボロに朽ちさせるまでになります。
黒錆(くろさび)
黒錆は赤錆と違って一般的な鉄に自然に発生することはなく、鉄を高温に熱するなどして表面に人工的に作られる酸化膜です。代表的なのは、南部鉄器や中華鍋に施されたものです。
これは表面に黒錆を作っておくことで、赤錆が発生するのを防ぐ目的があります。
青サビ
銅や銅合金に発生する青緑色の錆のことです。この錆は「緑青(ろくしょう)」と呼ばれるほうが一般的で、こちらの呼び名で耳にすることが多いでしょう。引き出しの奥などに入れたまま忘れていた十円玉などに発生するものはおなじみ。大きいものでは銅板で葺いたお寺の屋根や鎌倉の大仏さまなどの渋い緑色も、この青錆ができたものです。
青錆には、それ以上銅を腐食させないようにする保護膜の役割もあります。以前は「緑青は有毒」であるという説がまことしやかに流れていましたが、現在ではそれは間違いであることがわかっています。ですから、もしご家庭で使っている銅鍋が青緑色に錆びたとしても処分などしないで、きれいに錆を落とせば安全に使い続けることができます。
3章:錆ができやすい環境と素材
錆ができやすい環境とは?
野外に放置し、野ざらしにしている状態が最も錆びが発生しやすいと言えます。しかも、鉄の表面に付着した水分に塩分が含まれていると、水が電気を通しやすくなって酸化反応は早く進行します。海に近くて塩分と湿気を含んだ潮風が吹く地域は、より錆が発生しやすい条件と言えます。
鉄の塊である自転車、物干し竿などは、塗装や被覆で表面をカバーしてあっても、雨に濡れて乾いてを繰り返しているうちに錆が発生して広がっていきます。車は塗料の性能や塗装技術が向上したおかげで、屋根のない駐車場で屋外保管をしていても、以前に比べて錆が発生しにくくなりました。しかし、塗装についた小さい引っかき傷やホイール周りなどの目が届きにくいところには、気づかないうちに錆ができていることがあります。屋外保管をしている場合は、洗車をするときなどによくチェックして、錆を見つけたら早めに対処したほうが良いでしょう。
錆びやすい金属と錆にくい金属
ほとんどの金属は空気中に置いておくと錆びます。鉄にできる赤錆のようにボロボロにならなくても、アルミなどの表面から金属特有の光沢が失われて白っぽくなるのは、錆びて被膜ができた状態です。ただ、この表面の被膜が内部を保護するので、アルミは見た目には錆びていないように見えるだけです。
金属の錆は、水分や酸素と反応して酸化することでできます。この酸化反応は物質を構成している原子から、いくつかの電子が取り去られることだと考えられています。化学的にはこれを「金属のイオン化」と言って、金属の種類によってイオン化しやすさに差があることがわかっています。つまり、イオン化しやすく電子を手放しやすい金属ほど、酸化して錆びやすいと言えるわけです。
イオン化傾向をもとにすると、金属は酸化しやすさ(錆やすさ)によって下記のように分類できます。
<イオン化傾向が小さくて酸化されない金属>
金、白金、銀、水銀。
<空気中で徐々に酸化される金属>
銅、水素、鉛、スズ、ニッケル、鉄、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム。
<空気中ですぐに酸化される金属>
ナトリウム、カルシウム、カリウム
ステンレスも錆びる?
錆に強い身近な金属と言えばステンレスがあげられます。「ステンレス(stainless)」とはそもそも「錆びない」という意味で、その特性から家庭では台所のシンクや鍋や包丁などのキッチン用品、浴室などに多く使われています。ではステンレスがまったく錆びないかというと、そんなことはありません。ステンレスは鉄を50%以上含む合金ですが、クロムやニッケルを含むことで表面を酸化皮膜で覆い、錆びにくいようにしています。錆びにくいように加工されているものの成分の多くは鉄なので、扱い方によっては錆びることがあります。
ステンレスが錆びる原因でよくあるのが「もらい錆」です。これはステンレスそのものが錆びるのではなく、錆びる金属が接触していることで起こります。缶詰の空き缶やヘアピンなどを濡れたシンクに置いておくと、置いたものの形通りに表面に赤錆ができていることがあります。それがもらい錆びです。接触している相手側に発生した錆びがステンレス表面の酸化被膜を弱め、弱った部分に水分が入り込み、錆びが発生した状態です。
通常はステンレスはほとんど錆びません。錆びやすい鉄製品などを接触したまま放置しないように気をつけましょう。
4章:錆は家にあるもので簡単に取れる
●歯磨き粉
でき始めの軽い錆でしたら、毎日使っている歯磨き粉で落とせます。不要になった歯ブラシに歯磨き粉をつけて、錆びた部分を擦ってください。
歯磨き粉に含まれている研磨剤が錆を削り落とし、さらに金属をピカピカに輝かせます。擦ったあとは水できれいに洗っておきましょう。
●重曹
重曹が柔らかめの研磨剤として、シンクなどのぬめり取りや水アカとりなど掃除に使えることはご存知でしょう。金属の表面に深い傷をつけないように錆を落としたいときにも活用できます。
重曹は少量の水を加えてペースト状に練ってから使います。錆びた部分にこの重曹ペーストを塗りつけて30分以上放置し、錆をふやかしてから歯ブラシなどで擦り落とし、水で流します。
●クエン酸、お酢
重曹と並んでエコ洗剤として家庭で活用されているクエン酸。その主な働きは、酸性の力で汚れを分解&中和して落とすことです。そしてこの酸性の力には、酸化した(錆びた)金属から酸素を切り離す「還元」という酸化の反対の作用があります。錆取りをするときは水に溶いて作ったクエン酸水を雑巾やキッチンペーパーなどに含ませて、錆びた部分をしばらく覆っておきます。その後、ブラシで擦ってから洗い流すか、たっぷりと水に濡らした雑巾でよく拭き取ります。クエン酸だけで十分に落ちきらないときは、重曹やクレンザーで擦り落とします。
お酢も同じように使うことができます。
●酸性洗剤(サンポールなど)
トイレ用洗剤などによくある酸性洗剤も、クエン酸と同様に還元作用による錆取り効果があります。酸性溶液が残っていると新しい錆ができる原因になります。錆取りをした後は、しっかり洗い流しておきましょう。
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5章:簡単にできる錆取りの方法
自転車の錆を取る
家庭にあるもので錆びさせやすいものの筆頭が自転車でしょう。金属部品が多いうえ、細々とした部品がたくさんついているので、錆が進んでから落とす作業は大変な労力がかかります。大切に長く乗り続けるためには、錆が軽いうちに対処しましょう。
自転車の錆を取ったほうが良い理由は、大きく2つあります。ひとつは見た目の劣化を防ぐため、もうひとつは機能の劣化を防ぐためです。チェーンが錆びると摩擦抵抗が増して動きが悪くなり、ペダルが重くなったり、速度があげにくくなります。ブレーキレバーやワイヤーが錆びれば、動きが鈍くなって安全な操作ができなくなります。
鉄製の部品で未塗装の部分は錆ができやすいものです。錆を見つけたら、ここで紹介する方法で錆取りをしましょう。
化学的に分解して落とす
錆を取るときはできれば新しい傷をつけずに作業したいもの。
錆が軽い部分は化学的に分解するタイプのサビ落とし剤から試してみることをオススメします。このタイプは擦ったり削ったりする必要がないので作業も楽です。
キャップについているハケで、錆びている部分にサビ落とし剤をたっぷり塗りつけます。
Before
After
5〜10分後、きれいな乾いた布でよく拭き取ります。1回で取り切れない場合は、繰り返し作業します。
写真のように軽めの錆でしたら、このタイプの錆取り剤で簡単に対処できます。最後にサビ止め油を塗って錆の再発を予防しておきましょう。
研磨剤で擦り落とす
上記のサビ落とし剤で取りきれない錆は、研磨剤入りタイプのサビ落とし剤を使って擦り落とします。
適量の研磨剤入りサビ落とし剤をウェスにつけて錆びている部分をよく磨きます。
Before
After
乾いた布で乾拭きをすると、先ほどは取り切れなかった錆が見事になくなり、表面には光沢が戻りました。こちらも錆止め油を塗っておきましょう。
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●ワイヤーブラシやサンドペーパーで擦り落とす
上記の方法でなかなか効果がない頑固な錆は、最終手段として力づくで擦り落とします。
表面を赤サビが覆ってボロボロになり、傷をつける心配をする段階ではありません。まずはワイヤーブラシでできるだけ錆を擦り落とします。
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次に#180程度のサンドペーパーを使って、残った細かい錆を擦り落とします。自転車のように曲線が多いものは、柔らかいスポンジタイプのサンドペーパーが使いやすく重宝します。細いスポークもしっかりとつかんで擦ることができます。
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Before
After
重症だったため錆の跡が黒く残ってしまいましたが、赤サビそのものは落とすことができました。できるだけ早くサビ止め油を塗っておきましょう。
車やオートバイ、ゴルフクラブ、工具などの金属部分にできた錆は、上記いずれかの方法で落とすことができます。金属表面の状態に合った方法で錆取りを試してみてください。
衣服の錆を取る
どこでついたのか心当たりがない洋服のシミのなかには、錆が付着してできたものがあります。原因としては、ベルトやバッグ、アクセサリーなどから付着した金属粉が酸化したもの、物干し竿やベランダの手すりなどから付着したものなどが考えられます。衣服についた錆汚れを落とすのは簡単ではありませんが、洗濯前に下処理をしておくと目立たない程度に落とすことができます。
クエン酸液で漬け置き
家庭にあって安全に錆のシミ抜きができるアイテムは、酸性のクエン酸です。お湯に溶かして5%程度のクエン酸液を作り、錆のシミが目立たなくなるまで衣服を漬け置きしましょう。ただし、繊維や染料によってはクエン酸で変色する場合があるので、目立たない部分でチェックをしてから本番の作業をしてください。
クエン酸液だけで錆の落ち具合が良くない場合は、さらに重曹を溶かしての漬け置きを試してみてください。錆汚れが目立たなくなったら、通常の選択をして完了です。
第6章:錆が出ないように注意すること
自転車やオートバイなど、金属を多く使っている製品を屋外に置いておかなければいけない場合は、シートやカバーで覆って雨ざらしにしないだけで、錆ができにくくなります。海に近い地域では、ときどき真水で洗ってから水分をふき取り、塩分が付着していない乾いた状態で保管することを心がけましょう。
室内であっても水滴がついたままになったり、常に湿気に包まれている環境は要注意です。浴室や洗面台は使い終わってから水分をふいておいたり、浴室乾燥機や換気扇を使って湿気を抑えると錆にくくできます。
塗装やメッキ、ホーローなどで錆びにくい防食加工がされているものでも、表面の加工部分が傷つくとそこから錆が発生します。メッキやホーローは傷がつかないように丁寧に扱い、塗装部分はできるだけ塗りなおすようにして錆ができるのを予防しましょう。ホーローの洗面台などに傷がついた場合は、ホームセンターなどで販売している修理剤を使って修理しましょう。こまめなメンテナンスは手間がかかるものですが、大切なものに錆ができるのを防いで長持ちさせることができます。
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まとめ
家庭でできる錆取りの方法と予防のために気をつけるポイントについて紹介してきました。金属は本来、錆びやすい性質を持っているもの。大切な金属製品は、できるだけ濡らさず、濡れたら早めにふき取って錆を予防しましょう。もし錆ができてしまったら、こちらで紹介した方法で錆取りを試してください。
初期の錆でしたら簡単に落とすことができるので、軽症だからと放置しないで早期に対処したいですね。
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