自宅のDIY体験談:千葉県在住 Y・K(建築設備業)

玄関軒先の雨樋の設置

※ こちらは実際に自宅でDIYをされている方の “体験談” のため、ロイモールにて取り扱いのない商品もございますので、予めご了承くださいませ。

家族もお客さんもずぶ濡れ。雨樋が無い玄関の軒先

私の家の玄関の軒先には、もともと雨樋が付いていません。
雨の日は、水滴が軒先から滴り落ち、屋外に出て軒下で傘をさす家族も、軒下で立ち話をするお客さんも、ずぶ濡れになってしまいます。

さらに、水滴が直接地面に落ちるので、地面が削られて低くなってしまったり、土間コンクリートにへこみが出来てしまったりと、見栄えが悪くなっています。

このような問題を解決するため、雨樋を設置することにしました。

材料を揃える前の準備

材料を揃えて雨樋をスムーズに設置するには、入念な準備と材料の知識が必要です。順番に確認して行きます。

1.どのように設置するかをイメージする

まず、どのように雨樋を設置したいのかイメージしましょう。下図の矢印のように、雨水の流れを計画します。
軒に沿って横に水を流すものを「軒樋」、縦に水を落とすものを「竪樋」と呼びます。軒樋の矢印がぶつかり水が集まる所に「集水器」を付けて、水を竪樋に落とします。竪樋が曲がって横方向に水を流すものが「呼び樋」です。

目立たない位置に集水器と竪樋を設置したいので、上図のように計画しました。外水栓の水を排水するマスが写真の手前にあるので、竪樋を降りてきた雨水も一緒にここへ排水します。

他にも、元々ある雨水桝に土中で接続する方法や、道路のU字溝へ直接流すなど、様々な排水の方法がありますが、地域によって指定されているので、必ず地域の役所で確認しましょう。

2.設置する雨樋の種類を選ぶ

雨樋には半丸状のものを始め、角形や特殊な形のものまで、様々な種類と色があるので、元々付いている雨樋や建物の外観に合ったものを選びましょう。

外観だけでなく、雨量や降雪量を考えて、サイズや強度などの機能面からも選ぶ必要があります。

ここでは最も一般的な、半丸形(かまぼこ形)・サイズ105・黒の軒樋と、丸形・サイズ60・白の竪樋を使用します。色のバリエーションが多い上に、どこでも材料を手に入れ易いのが利点です。

3.実際に設置ができそうか確認する

雨樋の種類を決めたら、屋根や壁の造りを見て、実際に設置できるかどうか確認していきます。以下が確認すべきポイントです。

● 軒樋を取り付ける屋根先の部材(鼻隠や垂木)に受金具を取り付けできる十分な面積があるか
● 集水器を取り付けるスペースがあるか(大きなじょうご形などは取り付けできないことも)
● 竪樋を設置する位置に下地材(外壁を打ち付けて固定している胴縁・柱・間柱など)があるか

4.設置場所の寸法を測る

●軒の全長(鼻隠の長さ)と出幅---全長:3m、出幅:1m
● 地面から軒までの高さ---2.7m

5.必要な道工具が揃っているか確認する

● 脚立や足場台---脚立では登り降りが頻繁になるので、なるべく足場台を使う
● コンベックス---採寸や樋の長さを測る
● 金ノコ・グラインダー・マーカー---樋のカットに使う。カットが多いと金ノコでは辛い
● インパクトドライバー・電動ドリル---受金具をネジで止める
● ハンマー---受金具が打込式の場合に使う
● 水平器(レベルとも)---軒樋の勾配や竪樋の倒れを確認する
● 水糸---軒樋の受金具の高さを決める
● ウエス---接着剤を拭きとる

材料を揃える

必要とする材料の数量を確認します。特に軒樋と竪樋は、切り取る長さや運搬の方法によって、用意する材料の長さが変わるので注意が必要です。また、取り付けの途中で材料が足りなくなると非常に手間なので、多少の余裕を持って購入する数量を決めましょう。

① 軒樋

市販の半丸形の長さは、3.6m、1.8mの2種類です。3.6mの長い方が継手や受け金具の数が少なくなり、作業の効率が良い上に経済的です。
しかし、私の自家用車では3mまでしか運べないので、1.8mを購入します。
必要な長さが、3m+1m=4mなので、1.8mを3本(計5.4m)購入しました。

② 竪樋

市販の長さは2.7mと1.8mです。必要な長さを上流から足していくと、
0.5m+2.2m+0.1m=2.8mなので、2.7mを1本と1.8mを1本購入しました。

軒樋と竪樋は、設置長さや運搬できる長さと相談して、無駄がないように購入しましょう。

③ 軒樋の止まり

軒樋の最も上流の部分に付けるキャップのようなものです。2つ購入しました。

④ 軒樋の継手

軒樋同士を繋ぎます。長い方の軒樋は、必要な長さが3mですが、1.8mの軒樋では長さが足りないので、2本を繋げるため、継手は1つ購入しました。

⑤ 軒樋の曲がり

軒樋の向きを変える継手です。90度の曲がりを1つ購入しました。

⑥ 集水器

じょうご形が一般的です。雨水の量が少ないことと、軒樋をスッキリ見せたいことから、F型の集水器を1つ購入しました。

⑦ 軒樋の受金具

釘のように刺して固定する打込式、ネジで固定するものなど、数種類が市販されています。ネジ式で取り付け面からの離れが小さいものを10個購入しました。

⑧ 竪樋の受金具

「でんでん」と呼ばれます。こちらも打込式とネジ式があります。打込式は、打込長さが大きく、壁内の断熱材や防湿シートを突き抜く可能性が高いので、ネジ式を3つ購入しました。

⑨ 竪樋の継手

竪樋と呼び樋をつなぐ「エルボ」です。太さは同じでも、メーカーによって角度や呼び方は様々です。3カ所で曲がるので、3つ購入しました。

⑩ 接着剤

硬質塩ビ管用の接着剤でも代用できますが、これは速乾性なので30秒ほどで固まってしまいます。慣れていないと時間内で角度を調整するのは難しいと思います。雨樋用の接着剤は固着までの時間が長く、粘性が高くしっかりと隙間を埋められますので、専用の接着剤を使いましょう。

⑪ その他、取付ネジなど

下の写真は、雨樋の配置を意識して材料を並べたところです。

軒樋の設置

雨樋の設置は、脚立や足場台での作業になり、材料や工具を持って頻繁に登り降りすることになります。安全には十分配慮して行う必要があります。また、より良く仕上げるため、寸法の確認や調整は根気よく行いましょう。

1.勾配を検討する

勾配は軒樋の機能を保つ上で、とても大事なものです。メーカーや製品によって推奨される勾配は様々ですので、メーカーサイトなどで必ず確認しましょう。

半丸形では、1/1000~1/200が一般的です。勾配が大きすぎると水の勢いが強くなり、曲がりであふれ出たり、集水器の周りで逆流したりしてしまいます。また、傾きが大きくなると見た目が悪くなので注意が必要です。逆に勾配が小さすぎると土砂や落ち葉が溜まり、詰まりやすくなります。

ここでは、水を流す距離が4mと短いので、勾配は大きめの1/200とします。200cm進んだら1cm下がることになります。

2.上流と下流のどちらから取り付けるか決める

どちらから取り付けるかはケースによります。基本的には、なるべく軒に近づけるため、上流から取り付けます。
私は集水器の取り付け高さを基準にしたいので、下流から取り付けることにします。

3.軒樋のカット

軒樋を必要な長さにカットします。カットしたい寸法をコンベックスで測り取り、マーカーでラインを引きます。他の樋や継手を被せて、端面を定規のように使えば、簡単に直角できれいに直線が引けます。

ラインを引いたら金ノコやグラインダーで切断します。グラインダーの砥石は、薄刃の切断砥石が良いでしょう。グラインダーを使えば、切断後の端面も簡単に整えることができます。
切断したら、必ず端面のバリを取り除きましょう。そのままだと詰まりの原因になります。

続いて、集水器・継手・曲がり・止まりを接着剤で接続していきます。
※ 曲がりは取付の順序を考えてから接着します。

接着の方法は大きく分けて、横から差し込む方法と上からはめ込む方法の2種類があります。

集水器の接着です。
このF型の集水器は、本来は上からはめ込んで接着するのですが、情けないことに、私の力では樋を広げられないので、差し込んで接着しました。差し込みの場合、接着剤は樋と直角の方向に、線状で全周に塗ります。樋の方向に線状に塗ると、差し込んだ時に接着剤の隙間ができてしまい、水漏れの原因になります。この他にも、止まり・曲がりなどが差し込み接着です。

継手の接着です。
接着面全体に接着剤を均一に塗り、上からはめ込みます。

いずれの場合も、はみ出した接着剤は詰まりの原因になるので、必ずウエスなどで拭き取りましょう。

4.受金具を大まかに設置、軒樋を仮置きして勾配を確認していく

まず、上流端、下流端、中央の3カ所ほどに受金具を取り付けます。受金具がネジ止め式であれば、インパクトドリルなどを使ってネジで止めていきます。ネジはなるべく専用のネジを使いましょう。一般的な鍋ネジやトラスネジで、耐食性があるステンレス製のものでも代用できます。
次に軒樋を仮置きして勾配を確認します。
長さが1mと短いので、上流端と下流端の2箇所に受金具を取り付けて、樋を仮置きしています。集水器は目立たないように、なるべく壁側に寄せました。

軒樋内に水平器をおいて、勾配を確認します。
4本式(左右2本)の水平器です。水平器は長いほど精度が高くなります。雨樋の勾配は汚水排水ほど厳密なものではないので、短くて持ち運びが楽なものを使用しました。1/50、1/100、1/200などの勾配が測れる水平器もあります。
中央の気泡管です。気泡が左によっているので、左側が高くなっていることを意味します。4本の標線があり、気泡の左端が左から1本目の標線にある時に、1/100勾配になります。

左から1本目と2本目の中央にある時に、おおよそ1/200勾配であると考えます。水平器の読み方は、必ずメーカーサイトなどで確認しましょう。

5.水糸を張って、残りの受金具の高さを決めて設置する

先ほど取り付けた上流端と下流端の受金具の下端を水糸で繋ぎます。糸の両端を釘などで固定して、たわみがないように張りましょう。他の受金具を、水糸の高さに合わせて取り付け、軒樋を仮置きして勾配を確認します。

受金具の配置にも注意が必要です。樋の上流と、樋のたわみが大きくなる継手・曲がり・集水器の両脇には必ず受金具を配置します。また、受金具は60cm以下の間隔で取り付けます。
継手や集水器の周りで、樋がたわんで落ちてくるものをよく目にします。そのため、上の写真のように、受金具の取り付け位置をメーカーの推奨寸法よりも狭くして、たわみにくい配置としています。

6.曲がりを設置する時の注意点

曲がりを設置する場合には、組み立ての順番に気を付けましょう。地上で、曲がりに始めから樋を2方から接着してしまうと、軒に上げにくい上に、受金具にはめ込みできないことがあります。

あらかじめ短い樋に曲がりを接着して軒に上げます。その後、上の写真のように、長い樋を右に移動させ、軒の上で曲がりと接着します。

曲がりを使う時には、樋の伸縮を考慮しなければなりません。樋は塩化ビニルで出来ていて、熱によって伸縮します。温度が10℃上下すると、樋1m当たりで0.6mm伸び縮みします。

気温20℃で取り付けた樋が、外気や日光で温度が30℃上下すると、樋1m当たりで1.8mm、3m当たりで5.4mm伸び縮みします。大した伸縮ではないと感じるかもしれませんが、もし、樋が完全に固定されてしまっている場合には、非常に大きな力が加わり、たわんでしまいます。

伸び縮みとたわみが繰り返されると、樋の形が元に戻らなくなり、水溜まりや詰まり、最悪は破損の原因となります。

軒樋は下の写真のように、2方向に固定されている曲がりを基準にして伸縮します。
伸縮を考慮して、右側は樋と壁の隙間を2cmとしています。奥行き方向には何もないので問題ありません。

7.樋を受金具で固定する

全ての軒樋の勾配を確認して接着したら、受金具を手で折り曲げて樋を固定していきます。

樋を受金具で固定する時にも注意が必要です。樋を完全に固定してしまうと、伸縮を邪魔されてしまいます。下の写真のように、樋との間に隙間を設けて受金具を折り曲げ、樋が自由に伸縮できるようにします。
これで、軒樋の設置は完了です。

竪樋の設置

長さと角度の調整が難しく、確認・調整・仮組を繰り返す、根気が必要な作業です。基本的は上から取り付けて行きます。

1.取り付け位置の下地材を確認

サイディング(外装材)は割れやすく脆いので、ネジが効きません。下地材が無い所には取り付けできません。

下地の最も簡単な探し方は、サイディングを止めている鋲を見つけることです。また、壁を手で叩いて探すこともできますが、信憑性に欠けます。

もっとも、最近の住宅はサイディングを取り付ける鋲が見えない場合が多く、さらには外壁が厚いため、叩いても響きません。このような場合は下地探しのセンサーなどを使って探しましょう。

2.竪樋をカットする

竪樋を必要な長さよりも多少長めにカットします。長い分には切れば良いですが、短く切ってしまったら、もう使えません。必ず長めに切りながら慎重に作業しましょう。

竪樋は丸パイプなので、直角に切るのは難しいと思います。直角な線を引けるように定規を作ります。

購入したパイプの端面は正確な直角になっていますので、この端面を適当に少しだけ切り離して、短いパイプにします。この輪の1カ所を切り離して、バンド状のパイプを作ります。これをカットしたいパイプに巻き付ければ、定規の代わりになります。
右側が正確に直角になっている端面なので、これに合わせれば正確に直角な線が引けます。軒樋と同様にグラインダーでカットしてバリを取り除きます。

3.受金具(でんでん)3つの内、下2つを取り付ける

まず、下のでんでんをネジで取り付けます。ネジ式の場合は、外側のネジ穴を使った方が強く固定できます。続いて、中央のでんでんを竪樋にはめこんで、竪樋の垂直を水平器などで確認してから、取付位置を決めます。壁からの距離も一緒に確認しておきましょう。

でんでんの位置をマークしたら、一度竪樋を外して、でんでんを取り付けます。
竪樋が下2つのでんでんで固定された様子です。上のでんでんは、竪樋の高さが決まってから取り付けます。

4.上からエルボと呼び樋を取り付ける

集水器の下にエルボを取り付け、竪樋の上にエルボと、必要な寸法より長く切った呼び樋を取り付けて、仮組してみます。エルボは必ず上流を口が広い方(受口)、下流を口が狭い方(差口)とします。逆にすると水漏れの原因になります。
ここで、当てがった呼び樋に、カットする位置をマークします。呼び樋を一度外してカットし、もう一度仮組してみます。
これで寸法は問題ありません。ここで、竪樋の高さが決まるので、上のでんでんを取り付けます。

呼び樋を接着して行きます。

単純に上から呼び樋を接着してしまうと、写真の左側のエルボは壁が邪魔で後から差し込めなくなるので、先に呼び樋と接着します。次に、竪樋に呼び樋の角度を合わせながら、上のエルボと接着します。

竪樋とエルボは、接着前に差し込み代を確認します。まずは、接着剤を付けずに、しっかりと差し込んで、エルボの縁にラインを引きます。

5.竪樋を持ち上げてエルボと接着します。

接着剤をなるべく薄く均一に塗り、軒樋を回転させながら差し込みます。こうすることで、接着剤がより均一に充填されます。差し込み代の線まで差し込めれば、完全に差し込めたことになります。

これで呼び樋の取り付けは完了です。

6.竪樋の下にエルボと呼び樋を接着します。

下の呼び樋は地面に付けないように注意しましょう。竪樋が熱で伸びてきた時に、地面に押し付けられて、上下の呼び樋に力が加わってしまいます。下の呼び樋を取り付けて、雨水を石の上に落とします。雨水は外水栓の水と一緒に、排水桝へ流れ込みます。

竪樋の取り付けも完了して、雨樋の設置が完了しました。

おわりに

雨樋を設置してからは、雨の日に軒先で大きな水滴に打たれることがなくなりました。また、雨水の跳ね上がりがなくなり、玄関に水しぶきが飛んでくることもなくなりました。

さらに、当然ではありますが、雨樋を設置した分、軒が10cmくらい伸びたので、雨に濡れない場所が広がりました。
雨樋を設置した甲斐がありました。

造りは簡単な雨樋ですが、取り付けには多くの注意点があります。確認と調整の繰り返しの地道な作業で、意外に時間がかかるものですが、ちょっとした工夫で作業が効率良くできるものです。雨樋の設置や修理をする際に、この記事が参考になれば幸いです。
【ライタープロフィール】

ニックネーム:黒

◆ 職歴
・給排水設備設計
・建築設備設計
・機械設計
◆ 保有資格
・給水装置工事主任技術者
・排水設備主任技術者(千葉県、茨城県)
・浄化槽設備士
◆ DIY経験
・トイレウォシュレット・バルブ取付
・キッチン水栓取替
・洗濯排水管の修理
・外壁の塗装
・門扉の製作
・ベッドの製作
・作業机、作業台の製作
・漫画本棚、60L水槽が置ける棚、その他棚の製作
・引戸の網戸製作
・階段手摺の設置
・屋内遊具ジャングルジム製作  など

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