有機肥料の特長と化成肥料との違い

 肥料とは「植物の栄養に供すること」「植物の栽培に資するため土壌に科学的変化をもたらすことを目的とし土地に施されるもの」「植物の栄養に供することを目的として植物に施されるもの」と肥料取締法で定義されています。肥料は植物にも、土にも与えるものなのですね。有機肥料を使って育てた野菜は美味しいといわれますが、それは健康な土でストレスもなく元気に育った野菜だからです。家庭菜園で有機肥料を使って美味しい野菜を作ってみませんか? ここでは有機肥料について詳しく説明し、オススメの商品もご紹介します。

目次
1章:有機肥料とは
2章:有機肥料の特長
3章:化成肥料との違い
4章:有機肥料の構成成分
5章:有機肥料の種類
6章:有機肥料はこんな時に使える
7章:有機肥料の作り方
8章:有機肥料を使う際の注意点
9章:まとめ

1章:有機肥料とは

 有機肥料とは、有機物を発酵、熟成させた、化学処理を施していない肥料のことです。
 『おいしい野菜作りは土作りから』といわれます。野菜作りに適している良い土とは、水はけが良く、通気性、保水性があり、栄養分となる有機物を適度に含み、土の酸度が適正で、微生物が豊富で、病原菌や害虫が少ない健康な土です。かなり贅沢な土ですが、時間をかけて有機肥料を使い続けると健康な土を作ることが可能です。
 良い土壌を作るには、まず畑の土を耕します。雨が多い日本の土は酸性に傾くことが多く、多くの野菜が好む弱酸性の土にするため有機石灰などを混ぜこみます。その後、有機の完熟堆肥をすき込みます。有機の完熟堆肥にはたくさんの種類の微生物が存在し、土の中でさらに繁殖します。良い微生物がたくさん増えることで病原菌などの悪い微生物(有害菌)の割合が減り、野菜に与える障害も減っていきます。また、完熟堆肥を餌とするミミズなども繁殖します。このミミズや微生物が有機物を分解する時に出す粘液で土が団粒するといわれています。そして、団粒した土の間に小さな隙間ができ、水や空気の通り道となり、水はけが良く、通気性、保水性に富んだ良い土壌ができるというわけです。
 健康な土が簡単にできるように紹介しましたが、実際には容易ではなく、農家さんも試行錯誤されているようです。
 有機肥料は土壌改良剤としての役割だけでなく、植物が根から吸収する養分になります。また、液体の有機肥料を葉に直接スプレーすることで葉からも養分を吸収し、植物を元気にするといわれています。植物の生育に合せて有機肥料を使ってみましょう。

2章:有機肥料の特長

 有機肥料の特長は効き目が遅い代わりに、長期間持続することです。肥効が出始めるには施肥後2週間程度かかるといわれています。
 有機肥料の働きは大きく分けると土壌改良と養分補給になります。
 土壌改良では有機肥料を土に混ぜることで、土がフカフカになり、ミミズや微生物が繁殖し土が団粒化します。また、有機肥料で土を覆うことで夏は地温の上昇や土壌の乾燥を抑え、冬は地温を高める効果があり、冬越しする昆虫たちのすみかにもなります。昆虫が増えることは植物にとってとても良いことです。
 養分補給の面では有機肥料そのものが土中生物や微生物の餌になります。微生物は有機物を分解しアミノ酸、核酸、ミネラル、ビタミン類などを増加させ、植物は根からそれらの養分を吸収します。植物は窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)などの三大要素だけではなく、微量栄養素も吸収できるため病害虫に強い抵抗力をつけ、植物が元気に育つといわれています。
 ただし、有機肥料は天然由来であるが故に栄養素成分含量が明確ではありません。必要な施肥量も多くコストもかかります。しかし、自然界において植物が育ち続けていることを考えると地球にやさしい肥料だといえるでしょう。

3章:化成肥料との違い

 化成肥料とは鉱物、岩塩、空気中の窒素などを原料にし、化学的に合成した窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)などの単肥を2種以上混合し化学的処理を行って作ったものです。
 化成肥料には窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の三大要素のほかに、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)などを添加しているものもあります。
 化成肥料や単肥は、成分が明確なので必要な成分を必要な時に必要な量だけ与えることができます。即効性があるため、素早い肥効が期待できます。化成肥料は通常使用される顆粒状の他に、土中に溶け込む速度を遅くし長期間肥料の効果を持続させることができる緩効性のもの、さらに即効性を高めた液体肥料なども作られており、使い分けることができます。
 化成肥料は窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の全量に対する割合によって普通化成肥料(N、P、Kの合計が30%未満)、高度化成肥料(N、P、Kの合計が30%以上)などの種類があります。また、マグァンプKなどのように、花や実のためにリン酸成分を強化した(N:P:K:Mg=6:40:6:15)ものなど目的別にさまざまな種類があります。
 注意点として、化成肥料は吸収しやすく即効性があるため、肥料過多になり肥料やけを起こす場合があります。そのため、パッケージに記載されている施肥量を参考に、追肥として少量を数回施す必要があります。
 しかし、安価で施肥量の調整がしやすい化成肥料のみを使い続けると、微量栄養素が不足し植物に障害が出やすくなります。また、土壌改良としての効果がない化成肥料のみを使い続けていると、固く水はけの悪い不健康な土になってしまいます。
 化成肥料は完熟堆肥などの有機肥料と併用するのが良いでしょう。

4章:有機肥料の構成成分

 有機肥料の成分は必要量によって3大要素、5大要素、微量栄養素と分けられます。
肥料の3大要素は窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)です。窒素は葉や茎に、リン酸は花と実、カリウムは根の生育に必要な成分です。3大要素のほかに、細胞を強くし根の発育に必要なカルシウム(Ca)、光合成に必要な葉緑素の成分であるマグネシウム(Mg)を合せて5大要素と呼び、植物の生育に大きく影響を与える成分となっています。
 微量栄養素には、葉緑素のための鉄(Fe)、葉緑素やビタミンの合成に必要なマンガン(Mn)、新芽や根の育成を促すほう酸(B)、新しい葉を作るための亜鉛(Zn)、ビタミンの合成に関わるモリブデン(Mo)、葉緑素を作る銅(Cu)、光合成に関わる塩素(Cl)などがあげられます。
 有機肥料は油かす、米ぬか、魚粉、骨粉、鶏糞、牛糞、落ち葉などを利用して作られます。5大栄養素はもちろんですが、それらの中には微量成分も含まれ、有機肥料の利点の1つとなっています。

5章:有機肥料の種類

 肥料取締法では肥料は大きく普通肥料と特殊肥料に分けられています。有機質肥料や石灰質肥料は普通肥料に、米ぬか、魚かす、堆肥などは特殊肥料に分類されます。特殊肥料は、農家の経験や五感により品質を識別でき、価値や施肥量が主要成分の含有量のみに依存しない肥料のことです。
 有機肥料の種類は原料や使用目的によってさまざまです。ここでは一般的に有機栽培に使われる肥料についてご紹介します。
 有機肥料は原料によって成分の含有量が異なるため、どの植物に、どのタイミングで、どんな目的で、どのくらいの量を施すかを考えながら与えなければなりません。必ず肥料袋に記載されている使用説明書を参考にしましょう。

<腐葉土(落ち葉堆肥)>

 広葉樹の落ち葉を熟成させたもので特殊肥料に分類され、主に土壌改良に使用します。種まきや育苗、花木、果樹を植える時の土の配合材としても使用します。
 植物の根元を覆うように施肥すると、夏は直射日光を遮り土の温度上昇を抑えたり、雑草の生育を防いだりする効果があります。冬には保温効果によって根を寒さから守ってくれます。有機肥料のなかでは比較的安価ですが、窒素成分等含有率が低いため使用する量が多くなる場合もあります。

<牛ふん、鶏ふん堆肥>

 牛ふん、鶏ふん堆肥は、文字通り牛ふんや鶏ふんを材料にしたものですが、原料をそのまま使用すると臭いも強く、肥料としての効果が出るまでにさらに時間がかかります。また、土の中で発酵するときに発生するアンモニアガスや熱で植物に障害が出ることもあります。そのため、あらかじめ発酵させたものが完熟堆肥として販売されています。
 牛ふん堆肥は土壌改良材として多大な効果を与えます。鶏ふん堆肥は三大要素の窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)を多く含んでいるため、植物の栄養補給剤として多く利用されています。

<油かす>

 油かすの原料は、菜種、大豆、ごま、椿などから油を搾った残りかすです。精油工場の副産物として作られています。リン酸、カリウムのほか、特に窒素の含有量が多い有機肥料で、元肥、追肥、寒肥、置肥などに利用できます。野菜、花、花木、果樹、盆栽などほとんどの植物に使用でき、畑、花壇、庭、プランターなどに使われています。リン酸やカリウムは比較的少なく、補うために骨粉やバットグアノ、溶リン、草木灰などを一緒に使用しましょう。
 発酵させていない油かすを土に混ぜると、分解される際にアンモニアガスや亜硝酸ガスなどが発生し、肥料やけや臭いのもとになり、虫やカビの発生の原因にもなります。あらかじめ発酵させた油かすを使用するとそれらをやや抑えることができます。追肥、寒肥、置肥には粒状の発酵油かすを使用しましょう。
 油かすだけでなく、あらかじめ魚粉や米ぬかやリン酸成分などを加え成分を調整した便利な油かす肥料もあります。

<バーク堆肥>

 バークとは樹皮のことで、針葉樹や広葉樹の樹皮を剥ぎ、発酵促進のために家畜の糞などを加え発酵させたものをバーク堆肥と呼びます。バーク堆肥には窒素成分などもわずかしか含まれていらず、肥料としての効果はほとんど期待できません。しかし、バークにはリグニン(細胞壁に蓄積し木質化し植物を強固にする成分)が多く含まれるため、分解、発酵速度が遅く、バークを分解するために多種、多数の微生物が集まり繁殖します。そのために特定の病原菌などの繁殖を抑制することができるといわれています。また、バーク堆肥は分解、発酵が遅いため、長期間保水性や保肥性を保持できます。反面、多過ぎる施肥量はバーク堆肥が土化するのに年単位の時間が掛かり、土壌のバランスを悪化させることにも繋がります。
 バーク堆肥は土に混ぜ込んだり(土の10~15%程度)、乾燥防止や温度調整を目的に植物の根元に敷く場合もあります。肥料取締法においては魚かすや米ぬかなど共に特殊肥料とされています。

<草木灰>

 草木灰は土壌改良材の1つで、肥料取締法で特殊肥料として登録されています。
 草木灰は藁や枝などを燃やした灰のことです。燃やすことで窒素成分はなくなりますが、リン酸やカリウムは残ります。また酸化カルシウム(石灰成分)が多く含まれますが、これらの成分は、植物の種類や焼成温度によって変わってきます。
 草木灰に含まれるカリウムは水溶性が多く即効性があり、追肥として使用されることもあります。反面、過剰施肥により土壌がアルカリ性に傾いたり、カリウム過多になったり植物に悪影響を与えることもあります。草木灰は、ほかの肥料と同時に使用すると化学反応を起こしてアンモニアガスが発生する恐れがあり、特に化成肥料も併用する場合は施肥の時期をずらす必要があります。

<石灰類>

 石灰類は無機質肥料に分類されますが、動物由来の貝殻や卵の殻で作った有機石灰もこの中に含まれます。ここでは、有機JAS規格により有機栽培で使用できる肥料及び土壌改良資材として認められている消石灰、苦土石灰、有機石灰を有機肥料としてご紹介します。
 消石灰や苦土石灰、有機石灰は酸性雨により酸性に片向いた土壌を中和し、多くの野菜などが好む中性から弱酸性に戻す働きがあります。畑の酸度を数箇所測定し中和する必要がある場合に使用します。野菜によって好む土壌の酸度が異なるため施肥量を調節したり、梅雨時の前には酸性雨対策としてあらかじめ撒いておいたりすることもあります。

 消石灰(水酸化カルシウム)は石灰石を原料にして作られ、こんにゃくを固めたり、漆喰の材料に使われたりするものです。消石灰は強アルカリ性で、スギナやオオバコなどアルカリ性に弱い植物の除草剤として使用されることもあります。
 消石灰はアルカリ度が高いため、酸度が高い土壌や開墾する畑に使用すると効果的です。消石灰は他の肥料と同時に使用すると化学反応を起こしやすいといわれています。消石灰を用いる場合は、消石灰を撒いた1週間後に他の肥料を施し、さらに土が安定した1週間後に野菜の苗を植え付けたり、種を蒔いたりするという作業工程になります。つまり、野菜を植え付ける2週間程度前には消石灰を土に混ぜ込む必要があるということです。
 消石灰はアルカリ度も強く、目に入ると失明の恐れがあります。使用する時は風の強い日は避け、ゴーグルやマスク、手袋などを使用しましょう。


 苦土石灰はドロマイトという鉱物を扱いやすい粒状(または粉末)にしたものです。主成分は炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムで、炭酸カルシウム肥料と種類分けされています。苦土石灰は酸性土壌を中和する働きだけでなく、苦土(マグネシウム、Mg)も同時に補給できます。消石灰に比べアルカリ度もやや低く、粒状で撒きやすく肥効も穏やかであるため、誤って過剰に施肥しても害を起こしにくいといわれ肥効も持続します。また、苦土石灰は土に混ぜ込んだあとすぐに植物を植えても良いといわれていますが、苦土石灰も他の肥料と同時に使用すると、他の肥料の窒素成分と化学反応を起こし、アンモニアガスを発生させることもあります。可能ならば苦土石灰を施肥後1週間程開けてから、肥料を撒き、植物を植えてください。


有機石灰


 有機石灰は牡蠣やホタテの貝殻や卵の殻を焼成し粉砕した動物性由来の炭酸カルシウムを主成分とする土壌改良剤であり、カルシウム補給剤です。有機石灰は、消石灰や苦土石灰に比べ、土壌を穏やかに中和させ、アンモニアガスなどもほとんど発生しないため、施肥と同時に他の肥料を使用したり、植物を植えたり、種を蒔いたりすることができます。肥効も持続します。
 有機石灰は消石灰や苦土石灰に比べ高価ですが、使い続けている家庭菜園などでは手間がかからない有機石灰をオススメします。
 また、牡蠣殻有機石灰など単品の商品もありますが、有機石灰はほかの肥料と同時に使用できるため、有機石灰と肥料が一つの袋に入っているものもあります。

<有機の活力剤>

 数ある活力剤の中でも、HB-101は杉、檜、松、オオバコのエキスを抽出したもので、化学処理を施していません。HB-101は、肥料の窒素、リン酸、カリウムとともにカルシウムやナトリウムなどが細胞液の中にバランスよく溶け込み、細胞が活力化され光合成の効率が良くなります。また、土壌微生物が活性化し微生物間のバランスが良い理想的な土壌へ導いてくれるといわれています。

<配合肥料、有機化成肥料(複合肥料)>

 分類的には化成肥料として扱われますが、有機肥料と化成肥料を合わせたものがあります。この肥料はそれぞれの良いところはそのままで、有機肥料の欠点である即効性がないところを化成肥料が補い、化成肥料の欠点である微量栄養素が少ないところなどを有機肥料が補うというハイブリット的な肥料です。元肥、追肥両方に効果的に作用します。残念ながら、有機肥料をベースにしていても化成肥料が含まれているため、有機栽培には使用できません。しかし、有機栽培にこだわらない家庭菜園においては重宝する肥料といえます。

6章:有機肥料はこんな時に使える

 一般的に有機肥料や化成肥料は植物を植え付ける前に土全体に混ぜ込みます。生育中に肥料が切れた場合は急を要するため化成肥料を施肥します。花木や果樹などの寒肥やお礼肥は、花木や果樹が疲れていたり、休眠期に入ったり、次の生育時迄に土の状態を整えれば良いために緩やかに作用する有機肥料が適しています。
 また、じゃがいものように芋に養分が蓄積されているものは、発芽時や生育前半はその養分を使うため、肥料は必要ありません。しかし、その養分も徐々に少なくなり肥料切れを起こした時のために、じゃがいもを植え付ける時に元肥を施しておきます。この場合も効果が持続する有機肥料が適しています。また草木灰はじゃがいもを植え付ける際の腐敗防止にも使われます。
 有機肥料を元肥として施肥すると土壌改良材としての効果も期待できます。植物の根元に有機肥料を敷くと、夏は根元の直射日光を遮り土の温度上昇を抑え乾燥を防止し、雑草の生育を抑制してくれます。冬は根元を保温し、霜柱から根を守るなどの効果があります。

7章:有機肥料の作り方

 ぼかし肥料という有機肥料があります。ぼかし肥料は米ぬかや油かすなどの有機物に土や堆肥などを加えて発酵させたものです。ぼかし肥料は堆肥に比べ早く簡単に作れます。また、悪臭もなく、手軽に扱え、効果がすぐに出るなど良いとこ取りの肥料です。このぼかし肥料を作ってみましょう。

<ぼかし肥料作りの材料>

米ぬか・油かす・おからなど手に入りやすい有機物

発酵促進剤(牛ふん堆肥・鶏ふん堆肥・腐葉土・ヨーグルト・納豆などの菌を含むもの)

有機石灰(ミネラル分を加えたい時に牡蠣殻などを全量の10%以下で配合する)

水 

ビニール袋など密閉できるもの

ビニールシート

<ぼかし肥料の作り方>

  1.  ビニールシートの上で米ぬか:鶏ふん堆肥:腐葉土:有機石灰を1:1:1:0.3の割合でよく混ぜ合わせる。
  2.  手で握って少し壊れる程度(水分含量は60%程度)になるように水を調整しながら加え良く混ぜ合わせる。
  3.  ビニール袋に入れ空気を抜いて密閉する。
  4.  日陰で発酵させる。

 2週間から1ヶ月程度でヨーグルトのような甘酸っぱい匂いがしたら完成です。冬はもう少し発酵日数がかかります。

<ぼかし肥料の使い方>

 ぼかし肥料は即効性があり、窒素成分が多いため少量で効果が現れるので追肥に使用しましょう。肥料の効力が分からないため少量をこまめに与える方法が良いようです。

8章:有機肥料を使う際の注意点

 有機肥料は含有成分が明確ではありません。有機肥料の材料によって含有成分にはかなりの差があります。栄養補給としての効果がないものもあります。使用する場合は肥料袋などに記載されている使用説明書を参考にしてください。
 有機肥料を作ること、有機肥料を使って良い土壌を作ることは時間がかかります。完熟していない有機肥料を施肥すると、微生物が有機質を分解する際に窒素成分を使うため、植物を生育させようとした時に窒素飢餓を起こすこともあります。また、有機物を分解するときに発生する熱やアンモニアガスなどで植物の根を傷める恐れもあります。できる限り完熟したものを使い時間をかけましょう。くれぐれも焦って次の工程に進まないように注意してください。
 野菜の生育中に起こる肥料不足は急を要し、有機肥料では間に合いません。家庭菜園では、化成肥料を用いて救済し収穫量を上げることをオススメします。

9章:まとめ

 野菜作りで大事な土作りは簡単ではありません。農家さんでさえ日々試行錯誤しながら、その畑に合った土作りをされているようです。気長に、根気よく、楽しみながら有機肥料を使って健康な土を作り、美味しい野菜作りにチャレンジしてみましょう。家庭菜園に行くのが待ち遠しくなるはずです。

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