化成肥料の特徴と成分・選び方

目次
1章:化成肥料とは?
2章:野菜や植物を育てるのにおすすめ
3章:化成肥料の成分
4章:化成肥料のメリット・デメリット
5章:有機肥料との違い
6章:化成肥料の使い方
まとめ

 畑や花壇、ベランダなどで植物を育てる際、欠かせないのが肥料です。ひとくちに肥料と言っても、原料や養分などさまざまな種類があるので、園芸店の肥料売り場などでは何を選んだら良いのか迷うことも少なくありません。
 そこで今回は、ガーデニングや家庭菜園でよく使われる化成肥料の種類や特徴、選ぶためのポイントなどをご紹介します。

1章:化成肥料とは?

 肥料とは、植物の生育を促進させるために土壌に施す栄養物質です。

 植物が生育するために必要な成分は15とも17とも言われています(酸素、水素、炭素、窒素、カリウム、リン酸、カルシウム、マグネシウム、硫黄、マンガン、亜鉛、鉄など)。このうち、窒素、リン酸、カリウムは肥料の三要素と呼ばれ、植物の生育に欠かせない重要な成分です。この3つの成分は植物の根を通じて多く吸収され、土中に欠乏しやすくなるため、肥料として人工的に土の中に補う必要があります。肥料には、窒素、リン酸、カリウムのうちの1種類以上が含まれています。

 肥料は、原料によって有機肥料と化成肥料に大別されます。
 有機肥料とは、動植物から作られた肥料です。油かすや魚粉、家畜の糞、鉱物質の石灰などの有機物を原料にした肥料のことです。
 
 無機物を原料として化学的に製造した肥料を化成肥料といいます。原料は窒素やリン鉱石、カリウム鉱石など、自然界に存在する無機物質で、化学物質ではありません。
 肥料の三要素(窒素、リン酸、カリウム)の中の1つを主成分にしたものを単肥、2つ以上を配合しその合計の割合が15%以上になるものを化成肥料といいます。
 
 単肥を混合して作った肥料を混合肥料または配合肥料と呼んで、化成肥料とは区別していましたが、さまざまな肥料が作られるようになり、これらを区別するのが難しくなったことから、1956年、肥料取締法により、これらを統括して複合肥料と呼ぶようになりました。

2章:野菜や植物を育てるのにおすすめ

 ホームセンターや園芸店などの肥料売り場に行くと、さまざまな種類の化成肥料が並んでいます。化成肥料は、肥料に含まれる成分の違いで種類が分かれます。どの化成肥料を選んだら良いかで悩んだら、まずは成分をみてみましょう。
 化成肥料は、成分の分量や配合によって、植物に与えるメリットに特性があります。葉物の野菜や観葉植物など葉に栄養を与えたい、花をたくさんきれいに咲かせたい、果物などの実つきを良くしたいなど、それぞれに合った配合の肥料を選ぶことが重要です。
 単肥を、育てたい植物に合わせて配合することもできますが、上級者でないと配合は難しいでしょう。特にカリウムは副成分が土中に残留してしまうと言われていますので、配合の際には充分な知識が必要です。
 化成肥料は、植物の生育に欠かせない成分を配合してありますので、購入してそのまま使うことができます。野菜用、花用、観葉植物用、果樹用など、化成肥料の効果にはそれぞれに特徴がありますので、目的に合ったものを選ぶことが重要です。
 例えば野菜用では、トマトやなす、ピーマンなどの実ものに適したもの、葉物に適したもの、根菜に向いたものなど、野菜に合わせて配合されたものがあります。購入の際にはパッケージをよく見て、どんな植物に向いた肥料なのかを確認するようにしましょう。

3章:化成肥料の成分

 では、化成肥料の成分の主な働きにはどんな違いがあるのでしょうか?
 肥料の主な成分である三要素についてそれぞれの特徴をご紹介します。

【窒素】

葉肥と言われ、植物の生育に重要な栄養素です。主な働きは、葉や茎、根の成長を促すことです。
窒素が不足すると、葉が小さくなったり色が薄くなったりします。逆に、多すぎると葉や茎だけが大きくなって花や実がつきにくくなってしまいます。

【リン酸】

花肥、実肥と言われ、植物が花や実をつけるのに必要な栄養素です。リン酸が足りないと花や実が少なくなったり小さくなったりします。

【カリウム】

根肥と言われ、根の発育に欠かせない栄養素です。カリウムはもともと土中にほとんど存在していないので、植物を育てる際には肥料として施す必要があります。病害虫や環境の変化に対する抵抗力を高める効果があります。

 化成肥料のパッケージには「N8-P8-K8」などと書かれたものがあります。これは、この肥料の中に窒素(N)8%、リン酸(P)8%、カリウム(K)8%がそれぞれ含まれるという意味です。この場合は全部足すと24%になり、100gあたり24gの肥料成分を含んでいるということになります。
 この100gあたりの成分量が、15g以上30%未満のものを普通化成肥料といい、一般的に根を傷めにくく家庭菜園向きといわれています。
 「14-14-14」など、合計すると100gあたりの肥料成分量が30%以上になるものを高度化成肥料といいます。肥料成分が多く含まれるため量が少なくてすみますが、その反面、根が傷みやすくなるので、肥料を施す際には注意が必要です。

4章:化成肥料のメリット・デメリット

 植物に合った栄養分が配合されていて、手軽に使うことのできる化成肥料ですが、使う上でのメリット・デメリットをしっかり知っておきましょう。

 化成肥料のメリットは、肥料効果がすぐに現れる速効性肥料であるという点です。葉色が薄くなった時、花芽がつく時期などのタイミングで追肥をすることができ、効率的です。ただし一部の化成肥料には、ゆっくりと肥料効果のでる緩効性のものもあります。緩効性のものは、植えつけのときなどに元肥として使用するなどして、使い分けるようにしましょう。
 そして、前章でもご紹介したとおり、育てる植物に合った肥料を選びやすいという点です。目的がはっきりしていれば、肥料選びに悩むことはありません。成分量が明確なので、与える肥料の調節がしやすいことも化成肥料のメリットです。
 化成肥料は、匂いが少ないことも特徴です。集合住宅のベランダなど、周囲への匂いが気になる場合は化成肥料が向いています。
 また、工場で化学的に作られるので大量生産が可能です。そのため、安定して比較的安価に購入することができます。
 小さな粒状や希釈タイプの化成肥料は、小さな袋や容器に入っているものも多くあります。肥料の置き場がない小さなベランダなどには便利な肥料です。

 その反面、いつでも簡単に施すことができる化成肥料は、必要以上に与えすぎてしまうことがあります。肥料はたくさん与えれば良いというものではありません。化成肥料に含まれる栄養分を過剰に与えてしまうと、根を傷めたり、病害虫に弱くなったりします。肥料のパッケージに書かれた分量や与える時期を守って、適量を与えるようにしましょう。
化成肥料は、土の中の微生物を活発に働かせることができないため、土が固くなりやすいというデメリットもあります。
 土の中に溶け込んだ肥料成分が大雨などで流されてしまうこともあります。
 化成肥料だけで育てた野菜は、有機肥料を使って育てた野菜に比べ、多少色つやが劣るといわれています。

5章:有機肥料との違い

 有機肥料と化成肥料の違いは、まず原料です。
 有機肥料とは、1章でご紹介したとおり、油かすや魚粉、家畜の糞、鉱物質の石灰などの動植物性有機物を原料にした肥料のことで、化成肥料は空気中の窒素やリン鉱石、カリウム鉱石などの無機物を原料に化学的に作られた肥料です。

 有機肥料と化成肥料は、メリットとデメリットが逆になります。
 化成肥料は即効性があるのに対し、有機肥料は土中の微生物によって分解されてから植物に吸収されるため、肥料効果はゆっくりと現れ、即効性はありません。これも有機肥料と化成肥料の大きな違いです。
 肥料効果の持続性に欠ける化成肥料に対し、有機肥料の成分は土中で分解されて吸収されるため、効き目が長く続きます。
 このような違いを活かし、植えつけなどのときには長く効果が持続する緩効性の有機肥料を、生育中の追肥には即効性のある化成肥料を使うなど、組み合わせて使うこともできます。

6章:化成肥料の使い方

 草花や野菜を育てるために必要なものを用意します。慣れるまでは、数種類の用土や肥料が配合された培養土を使うと良いでしょう。培養土を使って植えつけを行う場合、元肥は不要です。ただし、肥料の配合されていない培養土には、緩効性の化成肥料を適量施します。
 プランター等に底石を入れ、2分目くらいまで培養土を平らに入れます。元肥を入れて土と良く混ぜ、上から新しい培養土をかぶせたら鉢から出した植物を置き、周りに培養土を入れて植えつけます。
 基本的に、元肥は根につかないようにしますが、肥料によっては土に混ぜて使えるものもあります。施す分量は、使う肥料のパッケージを見て確認しましょう。
マグァンプは根に肥料がついても肥料やけを起こさないので、混込む元肥としてオススメです。
 元肥の効果がなくなる頃や、花芽がついてきた頃などに追肥をします。即効性のある化成肥料を使いましょう。固形や粒状の置肥でも良いですが、さらに即効性を高めるなら、液体肥料がオススメです。そのまま使えるストレートタイプや、水で薄めて使う希釈タイプなどがあります。鉢の大きさに合わせた分量や希釈の割合がパッケージに記載されていますので、しっかり確認してから追肥しましょう。過剰な施肥は禁物です。
希釈タイプ
ストレートタイプ
置肥タイプ

まとめ

 いかがでしたか?ひとくちに肥料といっても、種類や特徴、使い方などさまざまなものがあります。原料の違いや配合、与え方次第で、植物の育ち方も変わってくる肥料の使い分けは園芸の知識として欠かせません。いろいろな要素が組み合わさってできている化成肥料。上手に使ってガーデニングや家庭菜園にご活用ください。

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