農作業の必需品、鍬(くわ)の選び方と使い方

目次
1章 鍬とは
2章 鍬の種類
3章 鍬の選び方
4章 鍬の使い方
5章 鍬のお手入れ方法
6章 鍬のお手入れ方法
まとめ

 農業が盛んな日本において、古くから広く使われてきた農具の代表が鍬(くわ)です。弥生時代にはすでに木製の鍬の原型が使われていたともいわれていますし、今も地鎮祭では鍬入れの儀式が行われるなど、鍬は日本人の暮らしにとって欠かせない農具とされてきました。しかし、現代では鍬を使用する機会はあまり多くありません。そのためその形などはイメージできても正しい選び方や使い方についてきちんと理解しているという方はなかなかいないのではないでしょうか。そこで、うまく使いこなすことができれば家庭菜園でも非常に頼りになる存在となる鍬について、その選び方や使い方などをご紹介します。

1章 鍬とは

 鍬は昔ながらの農作業では欠かせない農具です。長い柄を両手で握り、先端に取りつけられた刃を土に振り下ろして土壌を耕したり、掘り起こしたりすることで整地します。鍬は様々な農具がある中でも特にその歴史が古く、農耕が始まった当初から世界中で使われてきました。
 長い柄の端に、平らな刃が60~80度の角度で取りつけられている最も一般的なものが平鍬と呼ばれるもので、畑の耕作から土ならし、草取りや畝作りなど農作業には欠かせず、また様々な用途に使えます。
 ほかにも土の掘り起こしや穴掘りなどに使う唐鍬、さらに土を砕いたり掘り起こしたりするための備中鍬などがあります。また道路工事などで使用されるツルハシなども、鍬(唐鍬)の一種とされています。
 基本的にどれも土を耕したり掘り起こしたりすることに特化した農具となっており、本格的な農作業には欠かせないものですが、農作業だけでなく、家庭菜園やガーデニングなどでもうまく使いこなせば作業の効率を高めることが可能です。

2章 鍬の種類

 鍬と一口にいってもその種類には様々なものがあります。平らな1枚刃で構成されたものが平鍬で、肉厚で丸みを帯びた刃を持つものが唐鍬。そして、刃がフォークのように3本や4本に分かれているのが備中鍬です。また片手で扱える小型の片手鍬などもあります。
 それぞれの用途を簡単に分類すると、畑を耕したり、土寄せ、畝立てをしたりするのには平鍬が向いており、備中鍬や唐鍬は固い土の掘り起こしや開墾、整地などに適しています。そして片手鍬は軽作業や園芸などに向いているとされています。
 これらを、植える作物や畑の状況、土の質に合わせて使い分けることで作業の効率化を図ることが可能です。この中で初心者が使いやすいとされているのは平鍬か備中鍬ですが、基本的には1本の鍬で全ての作業ができるということはありません。
 重く頑丈な刃を持つ唐鍬で、土の掘り起こしを行い、塊になった土をほぐすときは備中鍬、そして平鍬を使って畝を立てるなどといったように作業によっていくつかの鍬を使い分けるのが理想的です。しかし、家庭菜園レベルなら固い土を深く掘り起こすこともあまりないでしょうから軽く扱いやすい平鍬や片手鍬などが1本あれば十分に役に立ってくれるはずです。
平鍬
1枚刃で構成された比較的軽量な鍬が平鍬。粘土質の土や柔らかい土に適しており、畑を耕したり、畝立て、土寄せ、草取りをしたりするのに役立つ。
唐鍬
唐鍬は厚みがあり丸みを帯びた1枚刃鍬。頑丈な作りなので、固い土でも掘り返すことが可能。耕すだけでなく木の根切りなどもできるので荒れた土地の開墾などにも適している。
備中鍬
フォークのように刃の先が3本や4本に分かれているのが備中鍬。固い土を砕いたり、かたまった土をほぐしたりするのに向いている。
大正鍬
刃の部分が細長く、先端が湾曲した形状をしているのが大正鍬。北関東地方を中心に昔から使われてきた刃の薄い平鍬の一種で、効率良く土を集めることできるので畝を立てる際などに役立つ。
鋤簾(ジョレン)
鋤簾(ジョレン)は鍬とシャベルの機能を併せ持つ農具。土や泥をすくい上げるのに効率が良いようフチ部分が高くなっており、雑草かきや土寄せ、水分を含んだ土運びに使う。
三角ホー
鍬ではないが、農作業に便利な鍬に似た農具が三角ホー。三角形の刃の左右に鋭利な刃がついており、畑を耕すためではなく地面の雑草を効率良く削り取るための農具。
片手鍬
家庭菜園やガーデニングに便利な小型の鍬が片手鍬。土起こし、除草などに使える。
イカ型片手鍬
刃が両方についた小型の鍬。刃のそれぞれが平型と爪型になっており様々な作業に役立つ。

3章 鍬の選び方

 鍬は便利な農具ですが、実際に使用する畑や庭の大きさ、土質に合ったものを選ぶ必要があります。庭の小さな家庭菜園で、大型の備中鍬などを使用するのは扱いづらく、かえって作業ははかどりません。土壌がそれほど固くなければ平鍬1本で十分役に立ってくれるはずです。また、鍬を購入する際はホームセンターなどの売り場で刃の厚みや長さ、柄の角度など、必ず手に持ってみて確認してみてください。鍬の刃は大きいため思いのほか重量があります。良いものを購入してもうまく使いこなせなければ意味がないので注意してください。
 鍬の中でも初心者向きとされているのは平鍬や片手鍬です。これらを使い、不足を感じたら別の鍬を買い足すようにするのがオススメです。ガーデニングや小さなスペースの家庭菜園などでは、手軽に使用でき、収納にもじゃまにならない片手鍬が使いやすいかもしれません。

4章 鍬の使い方

 鍬は力いっぱい振り下ろすのではなく肩ぐらいまで持ち上げたら重さを利用して土に刃先を入れます。鍬が入ったら土を削る感覚で立ったまま後退しながら手前に引いていきます。これが「引き鍬」という基本動作です。引き鍬によって土を耕したり、土寄せや除草をしたりすることで身体に負担がかかりにくくなります。鍬の持ち方や構え方などは次の通りです。右利きの方をモデルに説明していますので参考にしてください。


作業の際は安全のため肌の露出しない服を着用し、手袋と長靴なども装着しておきましょう。そして正面を向いて立ち、両足を肩幅くらいに開きます。さらにつま先を前に向け真っ直ぐに立ってください。


次に左足を半歩ほど下げて、さらに外側に軽く45度程度開いてください。


左手で柄の後端の方を握ります。そして右手はその前方、左手から拳1つ2つ分ほど空けて柄を握ります。目線は鍬の刃先を見てください。


軽くヒザを曲げ重心は股関節に置きます。左右のバランスは左足7:右足3くらいのイメージで鍬を肩の高さに持ち上げたら、重さを利用して土に刃を入れます。


後退する際の移動は左足から行います。まずは左足を引き、次にすり足で右足を引きます。そして右足を引く際に左手で鍬を手前に引きます(引き鍬)。右手は添える程度で力はあまり入れません。その際目線は刃の先から離さないよう注意してください。これを繰り返して耕します。

5章 鍬の保管方法

 鍬を使用した後は水洗いして泥などをきれいに落としましょう。泥と水分がついたまま放置するとサビの原因となるので注意してください。さらに泥にはカビや細菌が潜んでいる可能性もあります。他の畑などで使用した際にその細菌が別の作物に移ってしまう可能性がありますから必ず汚れを落としてください。
 水を使い、汚れを落としたら水分を拭き取り、風通しの良い日陰に吊るして管理するのが良いでしょう。くれぐれも地面などに放置しないようにしてください。土の水分で刃が錆びたり、柄の木の部分が腐ったりすることがあります。できれば汚れを落とした刃は乾いた布などで巻き保護しておくことをオススメします。

6章 鍬のお手入れ方法

 鍬は刃物です。ある程度使い込んだら摩耗してしまうので手入れが必要です。鍬の刃は通常2本のボルトとナット、もしくはクサビで固定されています。これらを緩め、刃を取り外してから専用の砥石などで刃を研ぎ直すことができます。ただし、刃そのものがゆがんでしまったり、サビがひどかったりする場合には刃を交換してください。
また、鍬は使用の際に柄や刃を固定するクサビなどにも大きな力がかかるので、徐々に固定が緩んでしまうことがあります。しっかりと刃が固定できていないと思わぬ事故につながりかねません。危険なので緩みが確認できたらクサビや柄を交換しましょう。ホームセンターなどには交換用部品として柄やクサビなども売られていますので、DIYで交換することも可能です。ただし、クサビや柄は、鍬によってサイズが違うので購入する場合は使用中の鍬の柄を差し込む部分のサイズを確認してください。
もしこういった鍬のメンテナンスに自信がないという場合はホームセンターの一部の店舗で提供しているメンテナンスサービスを利用するのがオススメです。刃研ぎやパーツの交換などを有料で依頼することが可能です。店舗によって扱っていない場合もあるので、詳細は各店舗に問い合わせてください。

交換用のクサビ。鍬によって使われているサイズが違うので購入の際は間違えないように注意してください。

まとめ

 農作業には欠かせない便利な鍬は、うまく使いこなすことができれば本格的な農作業だけではなく、ガーデニングなどにも非常に重宝します。ただし鋭い刃を持つだけに誤った使い方をすればケガを負ってしまうこともあるのでその扱いには慎重さが求められます。扱いにはくれぐれも注意し、小さなお子さまの手の届く場所に保管するのは絶対に避けてください。
 また、金属でできた刃は日々の手入れも欠かせません。少なくとも使用後は刃についた汚れをしっかりと落とし、水分を拭き取ってサビの発生を防ぐようにしてください。

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