鋤(すき)の種類と特徴

目次
1章 鋤とは
2章 すき焼きの語源は鋤?
3章 鋤の種類とその使い方
4章 鋤とスコップの違い
5章 鋤のお手入れ方法
まとめ

 ガーデニングや家庭菜園などで、深く地面を掘り返し本格的に土づくりをするためには用途に見合ったしっかりとした農具が必要です。そのための農具の代表が鍬(くわ)や鋤(すき)です。どちらもその外観は似ていて、またその用途に関しても近いものがあります。そのため農業を生業とされていても特に鋤に関しては詳しくその違いや使い分け方についてはわからないという方も珍しくありません。そこで、古くからある農具なのに、どのようなものなのかあまり知られていない鋤に関して、その種類の違いや使い方について詳しく紹介します。

1章 鋤とは

 鋤(すき)とはどのようなものなのか。すぐにその形は思い浮かばなくても名前は一度くらい聞いたことがあるのではないでしょうか。もしかしたら気づいていないだけで見かけたこともあるかもしれません。鋤は鍬(くわ)などと同じ農作業で使われる道具(農具)のひとつですがその役割は、畑などの土を掘ったり、起こしたりするというもの。また、草などの茎や土の中の根などをその鋭い刃先で切断し取り除くときなどにも使用します。
 形状はボートなどをこぐ際に使用するオール(櫂)のようで、木製の長い柄の先に金属製の平たい刃がついています。鍬のように刃の部分が直角に取りつけられてはおらず柄と一直線上になっているか、緩い角度がつけられています。その先端の刃の部分を地面に深く突き刺して先端をはね起こすことで土を掘り起こします。同じような用途のスコップなどに近い形をしているので、それが鋤だと知らなければ畑などに置かれていてもスコップだと勘違いするかもしれません。
 また、おなじ“すき“という名の農具として昔から使われてきた馬や牛などに引かせる犂(すき)というものもあります。双方とも発音は同じですがまったく別の道具で、鋤が人力で土を掘り起こすのに対してこちらの犂は牛や馬などに引かせて田畑を耕すために使うものです。いうなれば現代のトラクターのようなもの。ただ現在はトラクターなどに役割を奪われあまり使われることはありません。
 対して鋤は鍬と同様に古代から農耕に欠かせない農具として使用され、現在も畑作業などでは重宝されています。ただしその用途はスコップなどと重なる部分もあるため、スコップなどがその役割を果たしているケースが少なくありません。また、家庭菜園などでは絶対に必要とはいえないでしょう。しかし、硬い土などを深く掘り起こし耕すなどの用途には非常に重宝するため本格的に畑作業などを行いたいという場合には鋤が活躍してくれるはずです。

2章 すき焼きの語源は鋤?

 鋤は古くから日本で使用されてきた農具ですが、実は食文化にも深く関わっているといわれています。その食文化とは、日本を代表する肉料理として世界中に知られている「すき焼き」です。このすき焼きの語源が、農具である鋤であるとされているのです。
一説によると江戸時代に農夫達が仕事中にお腹が減った際に、作業に使っていた農具の鋤の刃の部分を鉄板の代わりに使い魚や豆腐を焼いて食べていたといわれています。このことから鋤で焼いた料理のことが鋤焼(すきやき)と呼ぶようになり、やがてその名が日本中に広まったとされているのです。確かに鋤の刃の形を見ると鉄板焼きに向いているように見えますね。
 ただし、これはあくまで諸説ある中の1つであり、ほかにも農具の鋤ではなく薄く切った肉を意味する剥身(すきみ)から剥き焼き→すき焼きになったとすることもあるようです。

3章 鋤の種類とその使い方

 鋤は鍬ほどではありませんが、いくつか種類があります。鋤は大きくは普通鋤と踏鋤(ふみずき)に分けることができます。普通鋤は柄の取りつけ角が刃に対して180度、つまり柄に対してまっすぐに刃が取りつけられており、手の力で鋤の刃先を土に押し込み柄を手前に起こすようにして土をすくい上げます。
 さらに、普通鋤はその構造の違いによって金鋤と風呂鋤があります。金鋤は柄の先に一体型の金属でできた刃が取りつけられたもので見た目にはほぼスコップと一緒です。
 風呂鋤は木製の柄の先端に作られた風呂と呼ばれる板状の部分に刃がはめこまれたものです。使い方は変わりません。
 加えてこの風呂鋤の一種として柄のつけ根が少し湾曲した江州鋤(ごうしゅうすき)というものもあります。江州鋤は風呂鋤に似ていますが柄と刃が同一面になく、少しオフセットしています。そのため土をすくい上げるのに便利な構造となっています。ほかにも金鋤には刃の部分が三つ股になった股金鋤などもあります。
 踏鋤は普通鋤よりも非常に柄が長く、刃には緩やかな角度(150度前後)がつけられています。そして足を掛ける部分が柄に対して直角に取りつけられており、ここに足をかけ刃先を斜めに土に差し込んで使用します。普通鋤とは逆に手前ではなく柄を前方に押し倒すようにして深く土を掘り起こします。
 古くから使われてきた踏鋤は、現在は日本ではあまり使われていません。しかしこの踏鋤に現代的な解釈を加えた新たなデザインを取り入れた踏鋤というものも販売されています。
 こちらは普通鋤に近い形状で、酪農で使用される麦や干草などをすくうピッチフォークのようなデザインとなっています。違いは刃の裏側に一体となったテコ足かけが設けられていることで、フォーク状の刃を土に突き刺したらこの足かけに片足を乗せることでさらに刃先を深く突き刺すことができます。さらにこの足かけ部分を接地させテコの支点として使うことで、腰をかがめることなく小さな力で土を深く掘り起こすことができるというものです。刃が錆びにくいステンレスでできており、比較的軽量なため家庭菜園などにも向いているといえるでしょう。

4章 鋤とスコップの違い

 前述したとおり、鋤とスコップは、その形や用途がとても似ています。その違いは、鋤が地面を深く掘り起こし、耕すための農具であるのに対して、スコップは土を掘り起こし、運ぶための道具ということ。農業や家庭菜園などの専用の農具であるのが鋤なのに対して、スコップはより幅広い用途に向いているということでしょうか。
 鋤は畑作業のために土を深く掘り起こしたいという場合や、じゃがいもやさつまいもなど、根菜類の収穫をするときにも鋭い刃先が便利です。また、本格的に畑を耕したいという場合にもスコップ以上の働きをしてくれるはずです。
 しかし、家庭菜園レベルではあればスコップでも十分その役割を果たしてくれるでしょう。使用目的が家庭菜園やガーデニングで、すでに持っているスコップなどで不自由なく作業ができているのであれば無理に鋤を手に入れる必要はないかもしれません。

5章 鋤のお手入れ方法

 鋤の刃は頑丈な鉄でできています。そのため効率良く土を掘り起こすことができるのですが使用後にその土や汚れを落としておかないと刃がすぐに錆びてしまいます。使用後には必ず土などの汚れを取り水分もしっかり拭き取っておきましょう。濡れたままにしておくとサビが発生し刃先が劣化してしまいます。なおケガ防止のために、刃先をお手入れする際は、手袋などで手を必ず保護してください。
 刃先に土などの汚れがこびりつき、取れにくい場合は、水で薄めた中性洗剤を用意し、布などを浸してからよくしぼり汚れを拭き取ってみてください。汚れが取れたら水拭きをして洗剤分を取り除いてから乾いた布で乾拭きします。最後にサビ防止のために刃の金属部分に、サビ止め油やミシン油を薄く塗っておくと効果的です。
 ただし油は塗りすぎると木製の柄の部分を劣化させてしまうので塗りすぎには十分注意して、余分な油はしっかり拭き取っておきましょう。
 使い終わった鋤は風通しの良い冷暗所にしまってください。直射日光の当たる場所で保管すると柄の歪みの原因になります。また、湿度の高い場所では、金属部分がサビやすくなるので注意してください。

まとめ

 鋤は鍬と同様に古代から日本の農業には欠かせない農具として大切に扱われてきました。しかし、現在では農業も機械化が進んでおり、鋤はあまり使われなくなっています。また、その用途のほとんどがスコップなどで代用できるため家庭菜園などでも使われるシーンはあまり多くないようです。
 しかし、人力で固い土を深く掘り起こし、効率良く耕すには今でも鍬や鋤が大いに役立ってくれます。これから家庭菜園を始めてみたいけれど、まだスコップなどを持っていないのであれば、この昔ながらの農具である鋤に目を向けてみてはいかがでしょう。スコップほどの幅広い用途には向いていませんが、農具であることから畑作業にはきっと大いに役立ってくれるはずです。

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