ガーデニングのお手入れに必需品の
植木鋏(ばさみ)の選び方と種類について

目次
1章 植木鋏とは
2章 各部名称紹介と構造
3章 主な植木鋏の種類
4章 お手入れ方法
まとめ

 ガーデニングや園芸を楽しむのに欠かせないのが草花や枝の剪定で使う園芸用の鋏(はさみ)。庭木の不要な枝を落とし、高さを抑えながら美しい樹形を保つ。また、古くなった枝を切り戻し、新しい枝を育てて樹を若返らせるなど、剪定には大切な役割があります。剪定の作業で最も一般的に使われているのが、植木鋏です。
 庭木をはじめ、草花から盆栽まで使える万能鋏として日本古来から愛用されている植木鋏は、用途によってさまざまな種類があるので特徴と共に紹介します。

1章 植木鋏とは

 剪定作業の鋏(はさみ)の中で、スタンダードな植木鋏は、庭師などの職人の間では「木鋏(きばさみ)」と呼ばれています。指を入れる柄の部分が大きく、独特の形をしているのが特徴です。柄の形を大きくしているのは、枝を切ったときに他の枝を挟んで傷めない工夫です。
 先が尖ったストレート刃が2枚合わせられていて、小回りがきき、細かい枝や盆栽の手入れに使いやすい鋏といえます。剪定鋏のようにバネがなく刃を自由に動かすことができるので長時間使っても手が疲れにくいのも特徴です。植木鋏で枝を切断できるのは直径10mm以下の細い枝で、5mm以下は刃の先を使い、5mm以上の太さの枝は刃の根元で挟んで手前に回すようにしてカットします。
[植木鋏と剪定鋏の特徴]
植木鋏
・柄の部分が大きく独特の形をしている。
・長時間使っても手が疲れにくい。
・切れるのは直径10mm以下の細い枝。
剪定鋏
・果樹剪定用として使われることが多い。
・切れ味が良く、太めの枝も切れる。
・切れるのは直径15mm程度の枝。

2章 各部名称紹介と構造

①切刃/
植木を切るように刃合わせをしています。植木以外ビニールシートなどの場合はうまく切れない場合があります。
②裏/
研ぎ目が細かく揃っているのが良い鋏だといわれています。
③裏先/
刃を閉じたときに、裏側の刃先が少し出ている形状になります。
④カジメ/
ネジでナットを締めて刃を固定している部分。ガジメ部がガタつかず、開閉しやすい締め具合に調整します。
⑤アゴ/
⑥表の平(ひら)/
⑦裏の平(ひら)/
⑧肩/
⑨ため(ふところ)/
⑩輪/
指を入れる部分。環状の大きな柄を「わらび手」と呼びます。

3章 主な植木鋏の種類

 植木鋏は、収穫用、小枝切り用、切り花用、盆栽用など、目的によって専用の鋏が揃っています。さらに、刃の長さや厚み、柄の大きさなど用途に合わせて機能を絞り込んで作られているので種類が豊富です。
 選ぶポイントは、目的に合わせて握る部分を選ぶのはもちろんですが、手に取ってみてよく馴染むものを選ぶようにしましょう。また、刃の切れ味で選ぶのも1つの方法です。刃の切れ味は製造方法で異なり、「つけ鋼」「全鋼」「ステンレス」に分類されます。
●つけ鋼製
日本刀の伝統技術を採用した製造法。刃部に鋼と鉄を組み合わせることにより、鋼の硬さと鉄の柔軟性が組み合わさり、独特の切れ味を実現します。

●全鋼製
鋼のみの製造法。硬度に優れていて頑丈ではあるが、無理に使うと刃が欠けたり割れやすい。つけ鋼よりも切れ味は劣ります。鋼のみで仕立てるので一般的にリーズナブルです。

●ステンレス製
ステンレスを使用し、完全熱処理を施す製造法。錆びることなく長い間使用できます。鋼に比べると切れ味は少し劣ります。

 また、選ぶ際に左利きの人は、左利き用の鋏を選ぶようにしましょう。用途に合わせた代表的な種類とオススメのアイテムを紹介します。
一般的な右利き用(写真下)と左利き用(写真上)があります。刃の向きが逆になっています。
[植木鋏]
庭木をはじめ、草花や生垣などにも使える万能の鋏です。指を入れる柄の部分が大きく、独特な形をしているのが特徴です。
●岡恒 植木鋏A型
刃の先端は、小枝の隙間に入れやすいように細く作られています。そのため、横からの力が加わると刃先が左右に曲がります。曲がっても力を緩めると、バネのように元に戻ります。太くて硬い枝を切る場合は、刃の根元で切断するようにします。
●花鋏 花屋さんも愛用 ミニクリエーション
生け花などに使う切り花や細い枝を切り揃えたり、観葉植物を剪定したりする室内園芸向きの鋏。ハンドルも刃も厚めで、力を入れやすくできています。刃は丈夫で厚く幅広いので茎や枝を力を入れずに切ることができます。
[大久保鋏]
ガーデニングや草花の手入れに最もよく使われる昔ながらの伝統的な鋏です。長刃タイプの刃長大久保鋏もあります。滑らかな曲線で握りやすいのが特徴です。植木鋏と同じ形状ですが、重量は植木鋏よりも軽いので女性にも扱いやすくなっています。
●長雲斉 足長大久保鋏(200mm)
庭木の剪定や切り花だけでなく、刃が長いので生垣や樹木の草刈りにも使用できます。グリップ部分も大きめなので、手にフィットして作業性に優れています。
[古流鋏]
華道やフラワーアレンジメントなどで草花や切花用に使うのに最適な鋏です。生け花だけでなくナスなどの野菜の収穫作業にも使えます。鋭角な刃で植物を傷つけずに切ることができます。
●千吉 金 ステンレス 古流鋏(165mm)
サビに強いハイカーボン(高炭素)ステンレス鋼を使用。耐久性も抜群で切れ味が長持ちします。ステンレスの刃物は切れないという従来のイメージを覆す切れ味です。
[盆栽鋏]
盆栽など生木のお手入れに広く使用されます。全体的に細型なので細かい枝のお手入れに最適です。狭いところの枝も切断できる柄が長くできた足長盆栽鋏もあります。
●長雲斉 足長盆栽鋏(210mm)
盆栽や小型の植木などの生木の切断に使用する鋏。柄が長いので、枝葉の込み入った部分に差し込んで使用することができます。ステンレスネジを採用し、分解してメンテナンスをすることも可能です。
[小枝切鋏]
小枝を切る鋏。枝が細く混み入った枝葉に入れ込んで剪定することができます。他の枝を傷つけずに作業できます。
●ロングリーチ芽切小枝切鋏(190mm)
サビに強い高級ステンレス鋼を使用。ロングリーチ形状なので軽い力で枝や茎を切断できます。本刃づけなので、切断の抵抗が少なく、軽い切れ味ときれいな切り口で植物を傷つけません。
[池之坊鋏]
生け花やフラワーアレンジメントで使う鋏で、花鋏とも呼ばれています。他の鋏と比べて、柄の長さが刃よりも長くなっているのが特徴です。鋭角な刃で切断した植物は、水の吸い上げが良く、活けた花を長く楽しむことができます。
●千吉 金 池之坊鋏(165mm)
サビに強い高級ステンレス鋼を使用。柄に輪がなく、大きな力を加えられます。サビに強く、切れ味抜群です。
[又枝切鋏]
幹から枝を切り落とすときに使用します。太さも数種類あるので枝の太さによって選びます。鋏で枝を切り落とすのと異なり、枝を根元から切断することができます。盆栽などのお手入れに使います。
●長雲斉 又枝切鋏(大)
盆栽などの又枝切りに最適。刃幅が広く切断面がまっすぐで、割れが入りません。

4章 お手入れ方法


 植木鋏を使っていくと、サビやシブなどの汚れがつき、切れ味が悪くなってしまいます。普段のお手入れは、使用後にタオルで拭き取ったり、油やクリーナーを塗布するだけで十分です。それでも切れ味が悪くなってきたら、ハンディタイプの砥石で刃先を研ぐようにしましょう。
●専用クリーナー
ミネラル酵素配合の刃物用クリーナー。ヤニやシブなどの樹液をきれいに落とすことができます。汚れたところに吹きつけるか、スポンジで塗って20秒くらい放置した後に、布で拭き取ります。
●ハンディタイプの研ぎ器
鋏専用研ぎ器。園芸用の植木鋏をはじめ、花切、刈込、剪定用の鋏を研ぐことができます。鋏以外の刃物、包丁、ナイフなどは使用できません。研ぐ方の刃の柄をしっかり握り、刃に沿わせて矢印の向きで2〜5回ほど軽くスライドさせながら研ぎます。
●専用ケース
植木鋏を安全に使用するために、専用のケースを持っておくと作業中でも役に立ちます。専用ケースは、ほとんどが本革でできているのでとても丈夫です。また、ポケット部分が型崩れしにくいので出し入れが楽です。鋏によっては、専用のケースが用意されているのでチェックしてみてください。 

まとめ

 家庭菜園やガーデニングを始めると植物に愛着が湧きます。草花を枯らせないように美しく見せたり、果物が傷まないように収穫したりと、お花や植物の世話にも細心の注意を払うはずです。作業に欠かせない道具の植木鋏の特徴などを理解しておけば、用途に応じて種類を増やして、より一層、家庭菜園やガーデニングを楽しめるはずです。

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