樹形や環境耐性をチェック!
バラの種類と選び方のポイント

 バラの園芸品種は2万種とも3万種とも言われていて、そのなかの2000〜3000種ほどが市場に流通しているとされています。また、毎年新しい品種が作出される一方で、不人気種は市場から姿を消すということが繰り返されているため、初心者がバラを品種で選ぶのはとても大変な作業です。仮に育てたい品種を絞っても、お目当てのバラを店頭で見つけられないこともあるでしょう。そこでここでは、バラを選ぶときに重視したい基準と、育てる空間に適した選び方のポイントを解説します。

目次
1章 成長したらどんな形になる? 知っておきたいバラの樹形3タイプ
2章 花を長く楽しめる品種はどれ? バラの開花周期をチェック
3章 初心者がバラを選ぶ際にチェックしたいポイント
4章 品種ごとの個性を理解して適材適所でバラを選ぼう
まとめ

第1章:成長したらどんな形になる? 知っておきたいバラの樹形3タイプ

 バラは太い1本の主幹を持たず、地際から同じような太さの枝を何本も伸ばして樹形を作ります。種類によって樹形が異なるため、ひとつの分類の基準として、枝が自立して上へ伸びる木立性の「ブッシュローズ」、生育がよくつる状に枝を伸ばすつる性の「クライミングローズ」、それらの中間的な樹形で半つる性ともいわれる「シュラブローズ」の3タイプに分けられています。バラを育てる場所、育て方、見せ方に関わることなので、樹高とともにチェックしたいポイントです。
木立性のバラ/ブッシュローズ
 株元から伸びた数本の枝が自立して株立状の樹形をつくります。枝が上に向かって伸びる直立性の種類と扇形に広がる横張り性の種類がありますが、比較的幅をとらないコンパクトな形にまとまりやすく、庭の狭いスペースや鉢で栽培しやすいタイプです。基本的に四季咲き性で、中型から大型の花を咲かせるものが多く見られます。
つる性のバラ/クライミングローズ
 枝の成長が旺盛で、長く伸びた枝がつる状になります。枝が4〜5mほど伸びるタイプや10m近くまで伸びるタイプがあり、フェンスやアーチ、オベリスクなどに誘引して、庭を華やかに飾るのに適しています。一部、起源になった原種によって「ランブラーローズ」と分類される品種もあります。
 つる性といっても、枝は朝顔やアイビーのようにみずから巻き付いたり、気根を伸ばして張り付いたりすることはありません。そのため、伸びた枝をフェンスなどに誘引する作業が必要になります。花はほとんどの品種が一季咲きです。
半つる性のバラ/シュラブローズ
 シュラブには低木や灌木という意味がありますが、バラについては樹形そのもので分類するというよりも、前述した2タイプに含まれない中間の樹形をこのタイプに分類しています。そのため、枝の伸ばし方につる性の特徴はあるものの、横に長く枝を伸ばすタイプ、木立性に近いタイプ、ドーム状になるタイプなどさまざまな樹形があります。あまり樹高が高くならない、鉢植えで育てやすい品種もあります。

第2章:花を長く楽しめる品種はどれ? バラの開花周期をチェック

 バラの花というと、一般的には5〜6月ごろに見頃を迎えるイメージがあります。この時期になると園芸店やホームセンターの店頭には花のついた苗が並び、植物園もバラの開花をこぞってアナウンスします。しかし、バラの開花は初夏に限ったものではなく、秋まで何度も花をつける品種もたくさんあります。花の観賞はバラ栽培のいちばんの楽しみですから、開花周期は品種選びの際に必ずチェックしておきたいポイントです。
初心者も多く利用するホームセンターの園芸コーナーでは、春からバラの特設コーナーを作って、樹形、花の大きさ、開花周期などで分類し、選びやすい工夫がされています。
一季咲き性
 開花は1年に1度だけ、5〜6月ごろに花を咲かせます。このタイプのバラは、花が終わってからは株を充実させるためにエネルギーを使います。成長の早いつる性のバラやほとんどのオールドローズは一季咲き性です。
四季咲き性
 春から秋まで繰り返し花を咲かせます。四季咲き性は木立性のバラに多い性質で、枝を長く伸ばす性質が強くなると、エネルギーを成長に向けるために失われる傾向があります。つる性のバラにこのタイプがほとんどないのはそのためです。四季咲き性のバラは、花が終わった後に剪定すると約1カ月半後につぼみをつけるので、庭の株が一斉に咲くようにタイミングをそろえるなど、開花をコントロールする楽しみもあります。
返り咲き性
 春の花が咲いたあとに花がらを摘むと、夏や秋にちらほらと新しい花を咲かせることがあります。返り咲き性の品種のなかには、四季咲きほどではないものの、ある程度の数の花を長めに咲かせる品種もあります。
鉢底石は必ずしも敷く必要はありませんが、水抜き穴が小さい場合は1cm程度の深さで入れて水はけをよくします。

第3章:初心者がバラを選ぶ際にチェックしたいポイント

 バラの品種は市場に流通しているだけでも2000〜3000種と言われています。園芸の初心者が、あまり知識のないまま店頭に行っても、どれを選んでいいのか途方に暮れるだけでしょう。そんなときに参考にできるのが、バラの苗についている品種説明のカードです。このカードには品種名、花の色や形状がわかる写真とともに、そのバラが属する系統、樹形、開花周期、耐病性、日照条件などが記されています。入手したい品種が決まっていなければ、ここに記載された情報をもとに大まかな特性を知ることができます。次にあげるポイントを参考にチェックすれば、初心者でも育てやすい苗を選ぶことができるでしょう。
 バラの売り場で参考にできるのが、花の写真がついた品種説明のカード。専門的な知識がなくてもこれを見れば大まかに特徴を知ることができます。
花を長く楽しめるか
 バラ栽培のいちばんの楽しみは、なんといっても花の観賞です。たくさんの花を長く楽しめれば、日々の管理のモチベーションが高まり、いろいろな品種を育ててみたいと思えるようになります。
 繰り返しよく咲く四季咲き性タイプで、なかでも花数が多く、春から秋までよく咲く品種であれば、一株でもバラを育てる醍醐味を味わえます。花が中輪で房状に咲き、ボリュームがあるフロリバンダ系統などがおすすめです。
強健で病気に強いか
 バラには「病気にかかりやすいから育てるのが大変」というイメージが根強くあります。薬剤をたくさん使わなければならなかったり、病気を防げずに枯らしてしまうことは、バラを栽培する際にもっとも心配になること。とくに初心者にとっては、強健で育てやすいことは大切なポイントです。
 まず病気にかかりにくいかを知るためには耐病性をチェックします。バラの2大病である「うどんこ病」と「黒星病」への耐性が高い品種であれば、管理しだいで病気にかからず、薬剤を使うことなく育てられます。もし病気が発生しても、多くの薬剤を使わずに病気を抑えることができるでしょう。近年のヨーロッパでは、個人宅の庭で農薬の使用が禁止されるようになってきていて、病気にかかりにくいバラの育種が盛んになっています。新しい品種に病気にかかりにくい品種が増えていることは、初心者にとって安心材料といえます。
 もうひとつ強健さを示す指標としては、「樹勢」の項目をチェックするとよいでしょう。樹勢が強いということは、新しい芽をどんどん出し、枝を伸ばす強さを持っているということ。そうした品種は、たとえ病気にかかっても弱りにくく、葉を落とすほど弱ったとしても回復する力があります。また、樹勢の強い品種には、あまり日当たりのよくない庭でも育てやすいものが多くあります。
コンクールでの受賞歴はあるか
 次々に新しい品種が登場するバラは、さまざまな国で開催される国際的なコンクールで審査、表彰されています。これらのコンクールが市場から注目されているのは、花の美しさや香りだけでなく、栽培に関わるさまざまな性質まで審査しているからです。コンクールによって重視する評価ポイントが異なるので、どのコンクールで受賞しているかでその品種の優れた性質がわかります。受賞の有無が品種の優劣を決めるものではありませんが、主な賞の特徴を知っておくと、自分の求める条件に近いものかを入手時に判断する材料になります。
【主なバラコンクールとその特徴】
・ADR(ドイツ):ドイツの各地で3年間の栽培試験を行い、育てやすい品種を選ぶ。耐病性、耐寒性が重視される。

・AARS(アメリカ):アメリカ国内で2年間の栽培試験を行う。主に樹勢、樹形、耐病性が重視される。

・WFRS(世界バラ会議):加盟する各国のバラ協会の投票で、3年に1度、バラの殿堂入りが選出される。審査基準は、世界中のどの環境でも育てやすい、国や性別を超えて誰が見ても美しいと感じる、たくさんの国で長く愛されている、などです。

・JRC(日本):花色、花形、香り、成長性、新奇性などを審査し評価する。

※コンクール名の表記は略称です。

第4章:品種ごとの個性を理解して
適材適所でバラを選ぼう

 ここまでを読んで、バラは花の色や形、香りだけではなく、品種によって樹形や成長の速さ、花の周期などの違いがあることをおわかりいただけたでしょう。こうしたバラの個性をいかして育てれば、管理する手間が少なく、元気に花を咲かせてくれます。
 一戸建てやマンションでバラを育てる場合、植える場所によってスペースや観賞のしかたなど、求められる条件が異なります。成長がゆっくりで樹形がコンパクトなを植えたいことがあれば、ボリュームがあって華やかなものがほしいこともあるでしょう。楽しみ方をイメージして個性が当てはまるバラを配置すれば、ストレスなくバラを育てられます。
玄関・アプローチ
 家の顔になる場所ですから、訪れる人の目を楽しませる、中輪から大輪の鮮やかな花色の四季咲き性のバラがおすすめ。日陰の時間が長いようなら、耐陰性が強くて明るい花色の品種を選ぶとよいでしょう。家族以外もよく通るので、枝が広がらないこともポイント。木立性か半つる性でコンパクトな樹形を保てるものなら、花後の基本的な剪定だけですみます。
 スペースに余裕がなければ、木立性のバラを鉢植えで管理します。花後や休眠期に季節の花と入れ替えて、植栽全体のコントロールをすることもできます。
 玄関までのアプローチがあれば、フェンスやトレリスを利用すると、通行の邪魔にならずにボリュームのある花を楽しむことができます。つる性のバラは春にはたくさんの花をいっせいに咲かせて、アプローチを華やかに彩ります。
主庭
 日当たり、風通しなどの条件が整った場所に、好きなバラを植えていけます。最初は育てやすい四季咲き性の品種から始め、つる性や半つる性の花つき、花もちのよい品種を入れていくと、株が少ないうちから花のボリュームを楽しめます。日陰になりがちな場所には、やはり耐陰性、耐病性の強い品種を配置しておくのが無難です。株が増えてきたら、一季咲き性でも憧れのバラを加えるなど、楽しみ方を広げていくとよいでしょう。
 主庭は室内から見ることが多い場所ですから、観賞ポイントからの眺めをイメージして色や高さのバランスを考えながら配置することが大切。また、窓の近くに香りのよい品種を植えると、室内に居ながらバラを楽しむ要素が増えます。
外周・境界
 家の外周を華やかに演出するには、フェンスにつる性のバラを誘引するのがいちばんです。つる性の品種は一季咲きですが、春に多くの花をいっせいに咲かせるさまは見事です。また、成長が早いため、目隠しを兼ねる目的で植栽するのにも最適です。
 一方、公道に接する場所では、ご近所や通行人への配慮が必要です。花もちのよい品種や散っても目立たない花びらの小さい品種は、掃除の手間を軽くできます。もし、春以降も花を見たいということであれば、つるバラのなかから返り咲き性が高い品種を選ぶとよいでしょう。返り咲き性が高くなると枝が固くなる傾向がありますが、小輪〜中輪の品種は枝が細めで誘引しやすく、つるバラらしい柔らかな景観作りにも向いています。
ベランダ
 コンクリートのベランダは、夏は暑く冬は寒く乾燥しやすいという、バラにとっては厳しい環境です。空間的な制約とともに、こうした条件を考慮して品種を選ぶことが、長く育てるポイントになります。基本的には狭いスペースで管理しやすいコンパクトな樹形のものがおすすめ。できるだけ薬剤を使いたくないので、耐病性のあることも条件に入れましょう。そのうえで、南向きの日当たりのよい条件には厚さや乾燥に強い品種、日陰の時間が長い条件には耐陰性の強い品種がより適しています。

まとめ

 バラの品種の多さは、個性の豊かさでもあります。花や枝などの外観ばかりでなく、耐病性、耐暑性、耐陰性といった生育に関わる要因も異なり、特性はまさに十花十色。品種ごとの特性を調べようと思ったら大変な作業です。まずお気に入りの花をつけるバラを見つけてから、次にどのように成長するのか、植えたい場所に合うのか、栽培条件に照らしながら育てやすい品種かチェックするとよいでしょう。
ここで紹介したポイントを参考に、素敵なバラとの出会いにつなげてください。

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