庭木の剪定は難しくない!
失敗しない手入れの方法

 木は成長するもの。植えたときには小さかったものが年月を経て大きく育ち、庭のシンボルとなって素敵な景観を作り上げていきます。ただ、庭のスペースは限られているので、ある時期からは大きさや枝葉の数をコントロールする必要があります。そのためのテクニックが「剪定」です。最初は切り方がわからず、失敗したくない不安から躊躇することがあるでしょう。そのような剪定ビギナーのために、木を傷めず、樹形が整う基本の切り方に絞って解説します。剪定する枝の選び方や切り方のポイントを押さえて、庭木の剪定を始めてみましょう。

目次
1章 目的がわかると剪定はうまくいく
2章 剪定のお手本は自然樹形
3章 落葉樹と常緑樹で異なる剪定の適期
4章 剪定で使う道具
5章 剪定ゴミや落ち葉の掃除におすすめ の道具
まとめ

1章 目的がわかると剪定はうまくいく

 庭木を庭木を剪定するときは、目の前の木がどのような問題を抱えていて、どうやって解決するのかを考えて作業に取り掛かります。そのためには剪定の目的を理解して、作業の内容や最終的な仕上がりをイメージしておくことが大切です。自分はどのような目的で剪定をするのか頭を整理しておくと、大きな失敗をすることもありません。
病害虫の発生を防ぐ
 春から秋にかけての成長期、木は新しい枝を伸ばしていきます。全体の枝が混み合い、葉っぱの数が増えると、木の内側は日が届きにくくなってしまい、光合成ができなくなった枝が枯れていきます。
 枝葉が茂りすぎていれば、当然風通しも悪くなってしまうため、ジメジメとした暗い部分が増えて虫や菌にとって居心地のよい環境となり、病害虫が発生しやすくなります。
 剪定によって枝葉を減らす作業は、成長によって悪化した環境を改善して、木全体を健全に保つことになります。
樹形を整える
 年々大きくなる木を放っておけば、庭の日陰が広くなって低木や草花が育つスペースはどんどん小さくなります。敷地の境界近くに立っている木であれば、枝が道路やお隣りにはみ出したり、枯れ葉をまき散らしたりしてご近所トラブルにつながる可能性もあります。
 数十センチの苗木で売られているもののなかには10m以上に育つ木もあります。管理しないで放置しているといずれ自分で剪定することができなくなり、プロに大掛かりな剪定を依頼しなければならなくなります。
 望む大きさに木を管理するのも剪定の役割です。大きく育つ前から太く強い枝を切る適切な剪定をしていれば、中高木や高木であっても庭に合ったサイズを保つことができます。
 また、勝手な方向に伸びた枝や、徒長して飛び出した枝を切って姿を整えれば、庭の景観もよくなります。
成長を促進する
 剪定は木の成長をコントロールするテクニックでもあります。基本的に木にはすべての枝葉に均等に栄養を送ろうとする習性があります。そのため枝の数が多いとそれだけ成長スピードは遅くなり、全体が大きくなるまでに時間がかかります。シンボルツリーとして植えた木を早く見栄えのよい大きさに育てたい場合などは、不要枝を間引いて全体の成長を促すようにコントロールします。
 花や果実を大きく育てたい場合に、枝を減らしたり、つぼみを摘んだりして間引くのも、成長をコントロールする剪定のテクニックです。

2章 剪定のお手本は自然樹形

 木には種類ごとの樹形があって、その形を作るように幹や枝を伸ばします。それを無視して人が手を加えれば、剪定をしたところから不自然な方向へ枝を伸ばして樹形を乱してしまいます。切り方によっては、以前よりも枝が混み合う結果になる場合もあるでしょう。
 剪定には球形や円錐形などに作り込むテクニックもありますが、自然樹形にならって切るのが基本です。木の習性を乱さなければ本来の美しい姿を維持して、毎年の手入れを楽にできます。
すかし剪定が基本
 「間引き剪定」とも言い、枝の数を減らす剪定方法です。枝を整理したり、木を小さくしたりする剪定は、枝を途中でぶつ切りにするものと勘違いされることがあります。しかし、剪定の基本と言えるすかしは、枝を根元で切って数を減らし、全体の樹形をキープしたまますき間を作るのが特徴です。枝葉が減って日当たりと風通しがよくなりますし、途中で切らないので細い枝先が残って、自然なままの柔らかく優しい表情を保つこともできます。
 全体を小さくしたい場合や、思い切って枝数を減らしたい場合は、古く太くなった枝を根元から切ります。すると新しい枝への更新もできて木の姿も若々しくなります。すかし剪定は自然樹形をキープできますから、剪定後に出てくる枝が大きく暴れることがなく、翌年以降も枝数を調整する程度に抑えられて管理の手間を軽減できるのもメリットです。
【すかし剪定のコツ】
(1)離れて全体を見る
 木の全体を見られるところまで離れて、枝葉が混み合っているところ、樹形を乱している枝などを確認して剪定の方針を立てます。

(2)不要な枝を見つける
 混み合っているところで剪定する枝を選びます。枯れている枝、内側を向いている枝、ほかの枝に絡んでいる枝、真上など不自然な方向に伸びている枝などを最初に剪定。並行していて重なっている枝はどちらかを切ります。また、木の根元から出てきた新しい芽も不要なので剪定しておきます。
木の内側に向かって伸びている枝
先端の一か所から何本も出ている枝。
本来伸びるのと反対の方向に向いている枝
他の枝と平行に伸びている枝。
(3)迷ったら太い枝を切る
 平行している枝などでどちらを切るか迷った場合は、周囲とのバランスを考えながら古くて太い枝を優先的に剪定しましょう。この方針で剪定していくと、枝ぶりが柔らかくなり、木が若々しく見えるようになります。

(4)バランスを確認
 見当をつけておいた枝をある程度剪定したら、離れたところから全体をチェック。混んでいるところが残っていたら、バランスを見ながらさらに剪定しましょう。
枝を剪定するコツ
【細い枝の剪定】
一方の手で枝を押さえておいて根本の近くに剪定バサミの刃を入れます。
枝の根元にあるコブ状になった太い部分を残して切り落とします。
【太い枝の剪定】
切り落としたい枝の根元から離れた場所に、下側から1cmほど切り込みを入れます。
最初に入れた切り込みよりも枝先に近いところで、切り落とします。
枝が落ちるときに下側の樹皮が一緒に剥がれますが、最初に入れた切り込みのところで止まって残す部分の樹皮を傷めません。

最後に残った枝を根本から切り落とします。
残っている枝は短く軽いので、簡単に切ることができます。

3章 落葉樹と常緑樹で異なる剪定の適期

 枝が好き勝手に伸びて見苦しくなった庭木を整える程度でしたら、年1回の剪定で十分でしょう。気をつけたいのは剪定する時期です。枝を切ることは木への負担が大きいので、体力のある時期やダメージの小さい時期を選ばないと木を弱らせてしまいます。

 木は種類によって活動サイクルが異なりますし、木の健康状態やその年の気候によってずれることもあります。すべての庭木を同じ時期に一気に剪定するのは人間の都合であって、木に優しいものではありません。木の種類ごとのサイクルを把握しておき、細い枝を間引く程度の軽い剪定ができる時期、太い枝を根本から切り落とすような強い剪定ができる時期とわけて、適切に作業するようにしましょう。
落葉樹の剪定時期
 落葉樹は冬になると葉を落として休眠します。冬の寒さをやり過ごすため、この期間は成長を止めて体内に蓄えた養分だけで過ごします。全体を小さくしたり、太い枝を間引いたりする強い剪定をするなら、体力に余裕があって枝を切ってもダメージが小さいこの時期が最適です。
 暑さの厳しい真夏は木も消耗しています。弱めの剪定をする場合でも、この時期を避けて梅雨前か、涼しくなった秋に行いましょう。
常緑樹の剪定時期
 葉を落とさない常緑樹は、冬の寒さを苦手としています。冬場に枝葉を減らすと木が弱ってしまう可能性があるので、常緑樹は冬場には剪定しないと覚えておきましょう。
 反対に、真夏は常緑樹の成長が最も活発な時期で、枝を切るとそれを補うように枝を伸ばしてかえって樹形が乱れてしまいます。

 常緑樹の場合は、新しい枝が伸び始める前の3〜4月上旬、新しい枝が出て落ち着く6〜7月上旬にかけてが剪定の適期です。夏に伸びた枝を軽く調整する剪定は、9〜10月に行うとよいでしょう。剪定の回数を減らしたければ、切った後の伸びが少なく樹形を維持しやすい夏前に行うのがベストです。
花木の剪定時期
 木は種類によって花芽をつける時期が異なります。花を鑑賞したくて植えている花木は、落葉樹や常緑樹としての適期に剪定すると花芽を落としてしまい、次に咲く花の数を減らす場合があります。強い剪定をする場合は剪定適期に行うほうがよいですが、細い枝を間引く程度の場合は花後など樹種ごとの適期を調べて剪定すると、花の楽しみを残すことができます。

4章 剪定で使う道具

 剪定に使う道具は切る枝の太さや剪定方法によって使い分けます。道具が用途に適していれば、当然作業をしやすく疲れも抑えられます。逆に用途に適していないと、木を傷めたり、道具を傷めたりすることになります。サイズや重さの種類がありますから、手の大きさや体力に合う使いやすいものを選びましょう。
手袋
 園芸作業ではトゲなどによる切り傷、毒を持った虫との接触、かぶれなどから手を保護するため、剪定に限らず手袋の着用をおすすめします。作業用手袋のなかでも手のひら側にゴムを張ってあるものが使いやすいでしょう。このタイプは綿素材の軍手に比べて保護性能が高いだけでなく、道具を使うときのグリップ性が高かったり、土や樹液などの水分が染み込まないなど、さまざまなメリットがあります。背側は通気性があるので蒸れることもありません。
剪定バサミ
 太さ1.5cm程度の枝まで切ることができる、庭木剪定の基本道具といえるもの。サイズバリエーションも豊富で左利き用などもラインナップしているので、自分の手の大きさに合った疲れにくいものを選びましょう。
植木バサミ
 太さ0.5〜1cm程度の細枝用。刃先が細く狭いところでも取り回しやすいので、混み合った部分のすかし、つる性植物の剪定などに活躍します。
剪定ノコギリ
 生木を切っても木くずが目詰まりしにくい刃を採用していて、太い枝や幹を切るために使います。刃渡りが30cmほどの長いものまでありますが、庭木の枝をすかして調整する用途でしたら、刃渡り20cm前後のものが使いやすいでしょう。コンパクトに収納できる折り込みタイプがおすすめです。
刈込みバサミ
 生け垣やコニファーなど、外側を整えながら広い面を刈り込むための両手で使うハサミです。枝先の細い部分を刈る道具で、枝を切り落とすような剪定には不向き。剪定バサミと使い分けましょう。木柄のほか、柄にアルミパイプを使った軽量タイプも選べます。
脚立
 高いところの枝は脚立に登って剪定します。園芸用の三脚タイプは低木のすき間などに脚を入れられ、植栽が混んだ場所でも安定して設置できます。一般的な四脚タイプの脚立も、芝生やアプローの上のように脚元が開けた場所であれば問題なく使用できます。
高枝切りハサミ
 地上に立って高いところの枝を切ることができる柄の長い剪定バサミ。脚立を立てられない場所や脚立を使っても届かない高い枝の剪定に使用します。操作方法は、手元のハンドルを握って先端部のハサミを動かすマジックハンドのようなタイプが主流です。作業エリアが広い伸縮タイプ、軽量な固定タイプ、剪定ノコギリを取付可能なタイプなどさまざまな製品が用意されているので、メリットとデメリットを比べてご自分の用途に最適なものを選びましょう。
癒合(ゆごう)剤
 剪定によってできた切り口に雑菌が入るのを防ぎ、ふさがるまで保護する殺菌剤入りのペーストです。太い枝や幹を剪定した後の切り口に塗っておきます。
刃物クリーナー
 剪定作業に使ったハサミやノコギリは、ヤニがついたままにしておくと動きが重くなったり、切れ味が悪くなったりします。次回も気持ちよく作業できるように、使用後はメンテナンス剤を使って汚れを拭き取っておきましょう。

5章 剪定ゴミや落ち葉の掃除におすすめの道具

 剪定作業、とくに生け垣の刈り込みなどをすると、小枝や葉っぱが散らかります。また秋から冬にかけてはしばらくの間、落ち葉が散り続けます。どちらも量が多いと掃除をするのも大変。できれば庭掃除に適した道具を使って、少しでも楽に済ませたいですね。

熊手(レーキ)
 道路やアプローチなどの舗装された地面で落ち葉などを集めるには、強くてしなやかな竹ぼうきが最適です。しかし、土の地面で竹ぼうきを使うと土まで一緒に集めてしまいます。土や芝生の上での掃除には、ツメの間隔が適度に空いていて葉っぱだけをかき集められる熊手やレーキを使いましょう。
昔ながらの竹製の熊手のほか、金属製やプラスチック製のものが選べます。写真の製品は、柄の長さとツメの幅を調整できて未使用時にはコンパクトに収納できます。

使用時は身長に合わせて柄を伸ばし、落ち葉を引っ掛けられる幅にツメの間隔を調整します。

ブロワー
 ブロワーは先端から強い風を吹き出して、落ち葉やゴミを吹き飛ばしながら集める道具です。広い庭に大量に散らばった落ち葉を集めたり、砂利の上を掃除したりするシーンでは、ほうきや熊手では効率があがりません。そうした庭では地面の状態に関係なく使えるブロワーが活躍します。コード式と充電式があるので、取り回しや作業時間を考慮して選ぶとよいでしょう。
写真のモデルはブロワーと集じん機の2つの機能を備えた2ウェイタイプ。トリガースイッチの引き加減でパワーを調整することができます。

ブロワーモードでは芝生の上に散らばった落ち葉を強い風で一方向に集めることができます。接触しないで作業できるので、芝や土を傷めません。

集じんモードに切り替えると、掃除機のように落ち葉を吸い取ることができます。植栽のすき間の落ち葉を掃除したいときなどに最適です。

ガーデンバッグ
 落ち葉などが多い場合、集めたものをその都度ゴミ袋に入れるのは手間がかかって作業のペースがあがりません。開口の大きいガーデンバッグがあると、落ち葉などをぽんぽんと放り込むことができて作業がはかどります。素材が軽いので移動もらくらくです。
薄くて丈夫な生地を使っているため、使用しないときはコンパクトに折りたたんで収納しておけます。

バッグはたっぷり大容量。堆肥づくりに使う落ち葉を少しずつ集めてまとめておくのにも便利です。

まとめ

 庭木が大きくなるのを放っておくと、数年後には自分で手入れをするのが難しくなります。そうなる前に剪定を始めましょう。剪定で大きな失敗をしないポイントは、木を傷めないことと木が育ちたい姿を妨げないことです。参考にするために、散歩のついでに大きな公園や里山などで木の自然な姿を観察しておくのもよいでしょう。慎重に剪定をしてそれでも失敗してしまったとしても、翌年以降に木の成長を見ながら調整しなおせばよいだけのこと。怖がらずに、混み合った枝を何本か切ってみましょう。

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