鉢の基礎知識

 ベランダやテラスで草花や野菜を育てたり、季節の花を移動したり、鉢植えで園芸を楽しんでいる方は多いでしょう。では、みなさんは鉢についてどれだけご存知でしょうか。植物にとって鉢の中は根を成長させるための大切な環境です。植物の性質や場所の条件に適した鉢を使うことで、健全な成長をうながすことができます。植物の購入や植え替えのタイミングでどんな点をチェックすればよいのか、鉢の特徴、メリット、デメリットについて3つのポイントにわけて解説します。

目次
1章 鉢選びのポイント1:鉢の大きさ
2章 鉢選びのポイント2:鉢の素材
3章 鉢選びのポイント3:鉢の形状
4章 植え替えのすすめ
まとめ

1章 鉢選びのポイント1:鉢の大きさ

 鉢を選ぶときにいちばん気にしていただきたいのがサイズです。鉢植えは鉢という容器で植物を育てるため、根が元気よく成長できるスペースを余裕を持って確保してあげる必要があります。
 新しくプラスチックポットに入った苗を買うとき、見た目の収まりがよいからとポットと同じサイズの鉢を選んだのでは、根が伸びる余地が残っていません。鉢が小さすぎると、すぐに鉢の中いっぱいに根が張って根詰まりしてしまいます。すると根はそれ以上は成長できませんし、水や栄養が行き届かなくなるなどの影響も避けられません。
反対に根に対して鉢が大きすぎると、土が乾きにくく根腐れしやすくなるので、やはり適切なサイズとはいえません。
鉢は、根よりもひと回り大きいサイズ、成長の早い植物ならふた回り大きいサイズを目安に選ぶことをおすすめします。

鉢のサイズ

 国内で販売されている鉢の多くは、一般的に「号」という単位でサイズが表記されています。1号は口径が約3cmとなり、2号なら約6cm、3号なら約9cmという具合に、号数がひとつ大きくなるごとに3cmずつ大きくなります。
 プラスチックプランターは実サイズが表記されていることが多く、30cmの丸型プランターが「300型」、幅60cmの角型プランターが「600型」とされているのが一般的です。

土の量

 鉢の容量は、口径と高さからおおまかに計算することができます。ただし、同じ口径であっても形状や素材の厚みが異なれば、入れることができる土の量は違ってきます。その点に注意して用土を用意しましょう。

容量の簡単な計算方法
<丸型>
[半径]×[半径]×3.14×[高さ]×0.001=土の量(L)

<角型>
[横幅]×[奥行]×[高さ]×0.001=土の量(L)

丸型6号鉢(直径18cm、高さ13cm)の場合
9×9×3.14×13×0.001=3.3(L)がおおまかな土の量となります。

2章 鉢選びのポイント2:鉢の素材

 鉢を選ぶときに気になるポイントの2つ目が素材です。鉢の素材は、昔から変わらずに素焼きのものが主流ですが、以前に比べてプラスチック製の種類が増えています。最近のプラスチック鉢は洗練されたデザインの製品が目立つようになり、価格だけではない魅力があります。

 鉢の素材にはそれぞれに特徴があり、根の環境やお世話をするときの扱いやすさ、庭に置いたときの景観などにも関わってきます。素材ごとのメリットとデメリットを見比べて、使いたい鉢を絞り込みましょう。

素焼き鉢(テラコッタ)の特徴

 素焼き鉢とは、成形した粘土を700〜800℃程の温度で焼成した鉢のこと。表面をコーティングする釉薬をかけずに焼いているため、多孔質の特徴そのままに通気性、透水性に優れています。土が適度に乾いて根が水を呼吸しやすくなるなど、栽培に適した環境を作れることから、園芸初心者や素材にこだわらない方におすすめしたい鉢です。

素焼き鉢には温度管理の面でもメリットがあります。鉢に浸透した水分は蒸発するときに熱を奪うため、夏場でも土の温度が急激には上がりません。暑さが厳しい地域での栽培、暑さが苦手な植物に適した性質を備えているといえます。
ほかの素材に比べて重いため安定感はありますが、大きいサイズになると移動するのは大変です。倒したときに割れやすいところなども、扱う際のデメリットとなります。

「テラコッタ」は、本来はイタリア製の素焼き鉢のことをいいますが、ガーデニングにおいては輸入製品や装飾を施したデザイン性のあるもの、オレンジ色のものなどを総称してそう呼ぶようになっています。素焼き鉢の特徴とおしゃれなデザイン性をあわせ持った鉢といえるでしょう。

陶器鉢

 釉薬をかけて焼成してあり、表面がコーティングされています。化粧鉢とも呼ばれるように、色や柄を自由に入れることができて、高級感や華やかさで植物を引き立ててくれます。素焼き鉢と違って通気性がないので、水やりや温度管理が少し難しくなります。

プラスチック鉢

 プラスチック製の鉢は、安価で軽く割れにくく、誰もが使いやすいことが特徴です。以前はテラコッタ鉢に似せたデザインが一般的でしたが、最近はモダンな色と形状を取り入れたデザインなど、ほかの素材では作ることができないタイプが増えて園芸コーナーをにぎわせています。

水はけが悪く、熱が伝わりやすいというデメリットはありますが、水やりの回数を控えたり、移動して日当たりを調整したりと、プラスチック鉢の特性を踏まえた管理をすれば上手に使いこなすことができます。

木製鉢

 木材をタガにはめて円形や楕円形に作った鉢です。ほかの素材にはない柔らかくナチュラルな質感が特徴で、木材ならではのぬくもりや風情が感じられます。中型から大型のタイプが一般的で、単体で使うのはもちろん、ほかの鉢と並べてもアクセントになって面白いでしょう。

鉢としては通気性と排水性に優れ、土中温度の変化も起こりにくいため、植物の生育には適しています。
木製品ですから、劣化、腐食は時間とともに進みます。長く使いたい場合は、雨のあたる場所に置かない、定期的に防腐塗料を塗るなどの気づかいが必要になるでしょう。傷みを遅らせたければ、土を入れずに鉢カバーとして利用するのもおすすめです。

3章 鉢選びのポイント3:鉢の形状

 鉢の深さによって3タイプに大別できます。鉢の口径と深さがほとんど同じものをスタンダード鉢、口径の半分程度の深さのものを浅鉢、口径より高いものを深鉢といいます。

スタンダード鉢

 鉢の高さが口径の70〜80%ほどになり、どんな植物にでも使いやすい基本となる鉢です。上で紹介したサイズごとの土の量も、このスタンダード鉢を基準にしています。迷ったらこのタイプを選んでおけば間違いありません。

浅鉢

 「平鉢」「皿鉢」ともいいます。鉢が浅いので根を深く伸ばす植物には向かず、草丈が低く横張りする植物の栽培に適しています。多肉植物や小さい株の寄植えをすると植物と鉢のバランスがとれるため、アレンジメントを楽しむときに用意しておきたいタイプです。

深鉢

 深鉢は太い根を縦に伸ばす直根性の植物、背の高い観葉植物に適しています。

プランター

 長方形や楕円形の横長でプラスチック製のコンテナを、一般的にプランターと呼んでいます。横幅が65cmの大きさが標準的で、軽くて丈夫なことから家庭園芸で広く使われているタイプです。深さも十分にあり、支柱を立てたり、さらにネットを張ったりして誘引する栽培にも対応しています。

4章 植え替えのすすめ

 鉢植えという限られたスペースで植物が成長していくと、やがて鉢の中は根でいっぱいになり「根詰まり」といわれる状態になります。次にあげるような現象が見られたら根詰まりを起こしている可能性があるので、根をチェックしてひと回り大きい鉢に植え替えてあげましょう。

・植物の地上部分に対して鉢が小さく感じるようになった。
・鉢底の穴から根が出てきた。
・水やりをしても、水がなかなか土にしみ込んでいかない。
・土が乾くのが早くなった。

 植え替える場合は、ひと回りかふた回り大きな鉢を選びましょう。鉢のサイズは号数を目安にして、使っている鉢が4号鉢であれば5号鉢が、7号鉢であれば8号鉢が植え替える適正なサイズになります。
 古い用土は土の粒がつぶれて粉状になり、水はけが悪くなっています。植え替え時には傷んだ根を取り除き、新しい用土に入れ替えておきましょう。

まとめ

 鉢の素材それぞれに長所と短所があります。植物の生育環境を優先するとやはり素焼き鉢を選ぶと安心ですが、育てる場所の条件や世話のしやすさ、室内ならインテリアとしての見栄えのよさなどを重ねて選びたいところです。最近はどの素材の鉢にもおしゃれな製品が増えていますから、デザイン性もチェックポイントに加えて鉢選びを楽しんでください。

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