住環境の変化とペット飼育〜マンションで快適ペットライフ

ひとり暮らしや少人数家庭がふえ続けている現代。そばにいるだけで癒されるペットたちと暮らしたい、そう切望する人も多いでしょう。
家族同然のペットであっても、やはり人間とは異なる生態をもっているため、トラブルなく暮らしていくためには気をつけなければならない点もたくさんあります。
ここでは都会生活の中でのペットとの共同生活、特にマンションで快適に暮らすために考えておきたいポイントを見ていきましょう。

ハードルが下がったペットとのマンション生活

ペットフード教会が実施した平成15年度全国犬猫飼育率調査では、犬を飼っている家庭は全体の18.3%、猫は12.4% と過去最高となりました。それ以外のペットもあわせると、人間以外なんらかの「家族」がいる家は今や相当数に上ります。

以前は愛玩動物の位置づけであったペットたちですが、この10年間の間に室内飼いが主流となり、コンパニオンアニマル(伴侶動物)、まさに大切な家族の一員として暮らすようになりました。
またその種類も、年々多彩となってきており、犬や猫、うさぎ、ハムスターなどのこれまでおなじみの顔ぶればかりではありません。フェレットやモモンガ、ハリネズミ、ワラビ―、プレーリードッグといった動物たち、さらにフクロウ・チョウゲンボウなどの鳥類も一般的になってきています。
その一因となっているのが、ペット飼育可能なマンションの増加です。
空前のペットブームに加え、マンションの空部屋問題解決策としても注目されています。首都圏ではすでに半数以上のマンションが、ペットの飼育を許可しています。単身者向けの賃貸マンションでさえも、ペット可を売りにしている物件が目につきます。

ペットとマンション生活を楽しむために
知っておきたい5つのヒント

・ペットに優しいマンション選び

単にペットを飼って良い、というだけではなく最初からペット専用設備をもったマンションも多くなっています。現在の調べでは、ペット可能マンションの約7割がペット共生型マンションとして、ペット専用設備を備えています。例としては、「足洗い場」「ペットサイン付きエレベーター」「キャットウォーク」「グルーミング室」など。中には屋上に大型犬を走らせられるドッグランを設置しているマンションも登場しています。
専用施設がないマンションでも洗面台が広く、ヘッドシャワー付きであれば、小さなペットたちのお風呂として使えますので、物件探しの前にペットに合わせたチェック項目をつくっておくと良いですね。

・ペットのストレス軽減策

散歩が必要な大型犬の場合には、運動用のスペースが必須です。先にあげたドッグラン付きのマンションは理想ですが、そうでない場合には気軽に運動させられる場所を探す必要があります。全国のドッグラン情報を網羅したサイト、ドッグラン併設のカフェ情報案内などが便利です。

室内犬は他の犬とのふれあいが少ない環境で育つと、逆にストレスになる場合もあります。犬のしつけ教室などに相談すると、少しずつふれあいの場を提供してもらえます。
猫の場合、行動範囲は3次元的です。住居面積の狭いマンション室内であっても、キャットウォーク代わりとなるハリ、段差など昇り降りできるような工夫があると良いですね。
小さな動物たちや鳥類は、環境の変化に敏感です。通年を通してなるべく温度変化がないように、また直射日光の位置にも気をつけてあげてください。

臭覚が鋭い種属は、飼い主さんのつけているフレグランスや化粧品の香りもストレスとなることがあります。手を洗ったりして、できるだけ同じ状態で触れてあげると安心します。また、フェレットなど、アロマオイル成分が体内に毒素として蓄積する性質をもつペットもいます。

・マンション生活で便利なペット用品は

ジョイントコルクマット:安価でつなぐ形状が自由自在。階下への防音対策にもなります。

ビターアップルスプレー:家具などへの噛みつき防止に。りんご由来の安全な苦味成分で、犬・猫から小動物にも使えます。

トリートメントグローブ:ひんぱんにお風呂に入れられないときの、汚れ対策に。お散歩から戻った際の汚れ落としにも便利。

すべり止め床剤:フローリングのキズ防止効果もある自然由来のすべり止め剤です。

猫用ハンモック:椅子の下にくくり付けて使える、省スペースハンモック。

暖突:小動物のケージ用ヒーター。おだやかなぬくもりでペットが火傷する心配がありません。

・お留守番?連れて行く?悩ましいペットと旅行

マイカーでの旅行であれば、かなり融通がききますが公共機関を利用するときは、ペットにもかなりストレスがかかります。無理に同行させるよりは、ホテルやシッターを選択する方が負担をかけずにすむことも。今は毎日ペットの様子を動画や写真で知らせてくれるサービスも提供されています。ペットシッターは慣れた自分の家で世話をしてもらえるので、ペットにとっては一番良い方法ですが、自宅のカギを預けるため抵抗を持つ飼い主が多いようです。知人の紹介や契約書類が完備された、信用のおける業者を選ぶ必要があります。

旅行に連れて行く際は、フード、飲み水など万全に備えます。乗り物酔い用のビニール袋やウェットティッシュも忘れずに。旅行の予定がある場合には、少し前からフード関連に注意を払いましょう。一例をあげると、犬に対しては低タンパク高炭水化物の食事はセロトニン濃度を上昇させ、精神を安定させる効果が認められています。移動先で興奮状態にならないように、食事内容を考える必要があります。

・近隣トラブルを回避するために

ペット共生型マンションは別としても、ペット可のマンション住人すべてが動物に理解があるわけではありません。また、犬は好きでも他の生き物が苦手という人もいます。
ペットが原因でトラブルになりやすいのは、鳴き声、臭い、音など。とくに窓を開放する夏場には注意しましょう。風向きによっては自宅よりも隣家に臭いが入ってしまう場合もあります。慣れてしまうと気づきにくいので、友人などから率直な意見を聞けると参考になります。小動物の場合には、少々高額ですがアクリルケージを利用することで外に臭いが漏れません。

鳴き声については、窓の開閉によってどれくらい外に聞こえるかを確認しておくと、安心です。鳥類も早朝の声が気になっている住人がいるかもしれません。ケージの覆いなどで起こす時間を調節する気遣いが大切です。
トイレ砂やペットシーツなど、ペットに関連するゴミ処理は、自治体のゴミの分別ルールに従って行う必要があります。毎日の些細なことほど、トラブルの原因を作るものです。トイレに流せる猫砂も、マンションの排水設備によっては詰まる場合があります。

まとめ

無機質なマンションの部屋に、生き物の息づかいがあることはこの上ない癒しとなります。一方で命あるものを飼う責任が重大であることを、常に意識しなければなりません。愛するペットへの、そして周囲への気遣いが、幸せなペットライフをもたらしてくれます。

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