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消火器の使い方
消火器の使い方
1章:火事が起きた際の対応は
2章:消火器で消せる火事の程度
3章:消火器の種類
4章:消火器の使い方と注意点
5章:消火器の処分方法
まとめ
ほんの些細なミスや、ちょっとした不注意がきっかけで突然発生し、対応を間違えれば近隣を巻き込む災害にまで発展しかねないもの、それが火災です。誰にでも起きる可能性があり、また暮らしの中に潜むもっとも身近なリスクの一つと言って良いでしょう。
万が一目の前で火災が発生してしまった場合、私たちができる対処といえば消火器などを使用した初期消火です。しかし、いざとなると消火器を正しく使うことさえ簡単ではありません。
そこで基本である消火器に関して、対応できる火元の大きさの判断基準や、その使用方法、さらに使い終わった後の処分方法まで、いざというときに正しく行動できるよう、基本的な使い方に関してご紹介します。
1章:火事が起きた際の対応は
まずは周囲に知らせる。初期消火はそれから
もし目の前で火災の発生を発見した場合に、まずすることは初期消火ではありません。すぐに大きな声で周囲の人に知らせましょう。自分が出せる一番大きな声で「火事だー!」と叫び、そして119番へ電話をします。初期消火はそれからです。
2章:消火器で消せる火事の程度
天井に燃え移ったら初期消火はあきらめる
火災が発生してからどれくらいで家屋が全焼にいたるのか。建物の規模によっても違いますが、木造家屋であればおよそ20分で全焼してしまうといわれています。初期消火がかなわなければ、あっという間に全焼してしまうのです。
では消火器を使った初期消火は、どれくらいのレベルの火事まで対応できるのでしょうか。おおよその目安として言われているのが、天井に燃え移るまでというものです。その時間は、火の手が上がってからわずか数分程度でしょう。炎が天井の高さまで届き、燃え移ってしまったら、消火器などではもはや対応できないとされています。
そうなった場合は自分だけで対処しようとせず、大声で周りの人に火災であることを知らせながらすぐに避難です。あとは危険ですので消火は消防隊にまかせてください。
3章:消火器の種類
A火災、B火災、C火災とは
住宅用消火器に設置義務はありませんが、いざというときに消火活動ができるように、ぜひ家庭にも常備しておくべきでしょう。しかし、火事に遭遇しない限り、消火器はなかなか使う機会がありませんから、購入しようとなった場合、消火器にはどのようなものがあって、またどう選べば良いのか分からないという方も少なくないでしょう。
まず知っておきたいのが火災の種類についてです。火災は燃える物質によっておよそ次の3つに分類されています。
A火災(普通火災)
木材、紙、衣類などが燃える火災
B火災(油火災)
石油やガソリン(可燃性液体)、油脂類などが燃える火災
C火災(電気火災)
電気設備、電器器具など感電の恐れのある電気施設を含む火災
このA火災、B火災、C火災全てに対応している消火器がABC消火器と呼ばれているものです。もしすでに消火器を準備されている場合は、ご自宅の消火器のラベルなどで確認してみてください。そして新たに購入する際はこのABC火災全てに対応している消火器を選ぶのが良いでしょう。
さらに、住宅用消火器に使われている消火薬剤には、主に粉末タイプと強化液タイプ2種類があります。どちらのタイプもABC火災全てに対応しているものがほとんどですが、それぞれに効果的とされている火災の種類に違いがあります。
まず粉末消火器は、広範囲の消火に向いているとされています。床にこぼれた石油ストーブの灯油に火がつき燃え広がってしまった場合などに有効です。
ただし、細かい粉末が広範囲に飛び散るため、使用後の掃除に手間がかかるそうです。
もう一方の強化液タイプの消火器は、冷却効果と浸透性に優れており、天ぷら油などが原因の火災や、布団や座布団など布類の火災に効果を発揮するとされています。また薬剤が液体なので、使用後の掃除が比較的しやすいそうです。
それぞれ、粉末や液剤を放射できる時間は、消火器の種類などによって異なりますが家庭用消火器なら粉末消火器で15秒程度、強化液消火器で30~70秒程度です。詳細は消火器の本体に記載されているのでこれも確認しておきましょう。この放射時間で消火ができなかった場合は、すぐに避難するようにしてください。
消火器の入手場所として最も身近なのがホームセンターでしょう。本格的な家庭用ABC消火器の他にもエアゾール式消火器や、ボトルタイプの投擲型消火剤、粉末タイプの天ぷら火災用消化剤など様々な種類が揃っているはずです。設置しやすさ、デザインなどからご自宅に適したものを選んでください。
4章:消火器の使い方と注意点
火が消えたと思っても消化剤は全て使い切る
火災に備えて自宅に消火器を準備していても、いざ火災発生というときに使い方がわからないのでは意味がありません。その時に備えて、あらかじめ消火器の正しい使い方を予習しておくことが大切です。
そのためにはまず消火器の保管場所を把握しておきます。物置やクローゼットの奥など、すぐに取り出せない場所には保管せず、誰もが発見しやすく使いやすい場所に設置します。例えば玄関付近や階段付近、居間、台所などです。注意しなくてはいけないのが、消火器は保管場所によって寿命が変わってくること。極力湿気の多い場所や日の当たる場所を避け、なおかつ転倒しないように置いておきます。
次に消火器の使い方です。まずは燃えている物から3~5メートル程度の距離を取ります。さらに万が一消火できなかった場合を考えて、できるだけ出入り口を背にして、すぐに逃げられるように避難路を確保しておきます。
そして消火器の黄色い安全栓(安全ピン)を上方に向かって強く引き抜いてください。これでレバーが握れるようになります。
次にホースを外して先端を火元に向けます。ホース先端のノズルをしっかりと握りながら、放射の圧力でホースが振られないように狙いを定め、レバーを強く握ります。すると消火器内の消火薬剤が火元へ放射されます。手前からほうきで掃くように放射しながら消火しましょう。
火が弱くなってきたら火元に近づきつつさらに放射し、火が消えたと思っても消化剤をすべて使い切ります。完全に火が消えるまで気を抜かないようにしてください。
5章:消火器の処分方法
家庭用消火器の使用期限は5年
消火器には使用期限があります。家庭用消火器の使用期限は、おおむね5年です。家庭用の消火器であれば本体の裏面などに使用有効期限が記載されているはずです。この使用期限を過ぎると正しく機能しない場合があります。使用せず早めに取り替えましょう。
さらに、使用期限内でも高温、多湿の環境に保管されていたり、本体にサビやキズ、変形がある場合、使用の際に思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。危険なので使用せず、この場合も取り替えた方が良いでしょう。
交換の際、古くなった消火器はどう処分すれば良いのか。
不燃ゴミなどで出すことはできません。国内で製造されたものであれば、消火器リサイクル推進センターが指定する方法でリサイクル処分してください。処分は以下の3つの方法が利用できます。
①特定窓口に引き取り依頼をする
消火器の販売代理店や防災・防犯事業者に依頼でき全国に約5,200ヵ所あります。お近くのリサイクル窓口は消火器リサイクル推進センターのWEBサイトより検索可能です。リサイクルシールがついていない場合は、シール代とさらに引き取りの運搬費用がかかります。
②指定引き取り場所に持ち込む
特定窓口や指定引き取り場所に直接持ち込むこともできます。指定引き取り場所は、消火器メーカー営業所や廃棄物処理業者が担当し、全国に約210ヵ所あります。こちらも消火器リサイクル推進センターのWEBサイトより検索可能です。持ち込みの場合でもリサイクルシールがついていない場合は別途シール代が必要です。
③ゆうパックによる回収依頼
薬剤量3kg以下または3L以下の消火器のみ対象ですが、電話での事前申し込みをすることでゆうパックによる回収を頼むことも可能です。申し込むと消火器発送用の専用箱が送付され、代引で運搬料金を支払います。運搬料金は全国一律2,200円です。リサイクルシールがついていない場合は別途シール代が必要です。
他にも、その消火器のメーカーが分かる場合は、問い合わせてみてください。料金はかかりますが、そちらでも引き取りをお願いできるはずです。また、ロイヤルホームセンターをはじめ、多くのホームセンターでも引き取りをお願いできるようです。その場合、消火器1本購入につき1本を無料で引き取るという形が多いようです。
ただし、店舗によっては消火器の引き取り処分を受けつけていない場合もありますので、詳しくはお近くのホームセンターに問い合わせてみてください。
まとめ
現状では設置義務はありませんが、消火器は家庭でも常備しておくべきものです。しかし、用意しておいても、いざという時にうまく使えないようでは意味がありません。
使い方を予習しておき、もし可能であれば、自治体や自治会の防災訓練などで消火器を使った初期消火の指導を受けておくと良いでしょう。一度実際に消火器を使っておけば、火災の際にも的確な行動が行えるはずです。機会があればぜひ参加してみることをオススメします。
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