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溶接機の使い方と使用の際の注意点
溶接機の使い方と使用の際の注意点
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独特の風合いが魅力的なアイアン素材を使った棚やテーブル、また金属を組み合わせた雑貨などをDIYで制作する際、難しいのが強度を保ちつつスマートにかつ確実に接合する方法です。
ビスやナット、接着剤ほか便利なDIY用パーツを使う方法もありますが、ディテールにこだわりオリジナルのアイデアを生かしたり、一歩踏み込んだアレンジを施そうとすると、それだけではどうしても限界があります。そのような金属素材を使ったDIYの際に、うまく使いこなすことができれば、とても便利な道具が溶接機です。
しかし溶接のバチバチッという激しい火花や、金属を溶かすというその仕組みを考えると、初心者にとってはどうしてもハードルが高いというイメージがあります。何をそろえればいいのか、どんな溶接機を選べばいいのか、肝心の使い方はなど、分かららないことばかりでしょう。
しかし、最近はDIYに向いた家庭用の電源で使えるシンプルな溶接機もあり、アーク溶接ならば資格なども不要。さらにその使い方も安全を確保して基本を守れば決して難しくありません。そこで、ここではDIYに便利な溶接機使い方と作業の際に気をつけるポイントなどを分かりやすく紹介していきます。
1章:溶接の仕組み
2章:主な溶接の種類とは
3章:溶接には保護具は必須
4章:アーク溶接機の使い方
5章:溶接機の選び方
まとめ
1章:溶接の仕組み
金属同士を一体化することで高い強度を得る
溶接の仕組みを簡単に説明すると、金属素材どうしに何らかの方法で熱や圧力を加え一体化し接合することです。強度の高い金属素材を一体化してしまうので、ボルトやビスを使った接合のように外れてしまう危険性も低く、また溶接すると接合面が埋まり素材が一体になるのでとても高い強度が得られます。
溶接は一般的には2つ以上の金属素材そのものを溶かして、一体化することだと思われていますが細かく溶接方法を分類すると次の3つに分かれます。
一つがいわゆる一般的に溶接と思われている融接(金属を熱で溶かす)です。アーク溶接などがそうです。そしてもう一つが金属どうしに圧力をかけしてガスなどで加熱して一体化する圧接です。さらに、ろう付けや半田付けなどとも言われる金属母材よりも低い融点の金属の溶加材(ろう)を溶融させ接合面のすきまを埋め接合をするろう接も溶接の一種です。
この中でDIY向けの溶接とされているのが最も一般的な融接であるアーク溶接です。溶接の種類を細分化するととても沢山の方法があるのですが、DIYに向いているのはごく一部だけです。そこで、ここではこのアーク溶接を中心に紹介していきます。
2章:主な溶接の種類とは
一般的なアーク溶接にも色々な種類がある
細分化するととても紹介しきれないほどの種類がある溶接ですが、ここではその中でも代表的な溶接方法のいくつかをピックアップしてご紹介します。
●アーク溶接
もっとも一般的な溶接がアーク溶接です。このアーク溶接はアーク放電が利用して金属を溶かし接合します。アーク放電は放電現象の一種で離れた絶縁体である空気で隔てられた2つの電極に電圧をかけると、電極間に電流が発生し、同時に強い光と高い熱を発生するというもの。
この熱利用した溶接方法です。
消耗式(溶極式)のアーク溶接では、母材となる金属と同時に、溶接棒も溶かしながら溶接するため、作業中に溶接棒を交換が必要となります。アーク溶接機には、直流インバーター溶接機や交流アーク式溶接機、電源不要なバッテリー式溶接機、エンジン(ウェルダー)溶接機などがあります。
●半自動溶接
消耗式(溶極式)のアーク溶接をさらに使いやすくした、非消耗式(非溶極式)のアーク溶接が半自動溶接です。スイッチを押すと溶接機のトーチから自動的で溶接ワイヤー(電極)が供給されるため、頻繁に溶接ワイヤーを交換する必要ありません。また自動で溶接ワイヤーがでてくるのでトーチを両手に握って作業することが可能です。そのため初心者でも扱いやすく、またDIY向けの半自動溶接機なども発売されています。
さらに使用するガスの種類によって、MIG溶接(アルゴン)、MAG溶接(混合ガス)、CO2溶接(炭酸ガス)などがあります。
作業の際にガスが必要ですが、ノンガスワイヤー、フラックス入りワイヤーと言われるガスが封入された溶接ワイヤーを使用するとガスがなくても使用可能で、屋外作業などにも利用されています。
●TIG溶接
TIG溶接は電極にタングステン電極棒を使用するもので電極から発生する高温のアーク光を、母材に当てる事で、金属を溶かし液体にして金属同士を接合します。アーク光で金属を溶かした際に、母材が酸素に触れ酸化してしまうので、作業の際にはアルゴンガスを出しながら溶接する必要があります。
アルゴンガスが必要で、なおかつ溶接機自体も高価なため導入のハードルが高くDIYではあまり使われません。
●スポット溶接
板状の金属同士を接合するのに適した溶接方法で、自動車のボディの製造などにも用いられています。
接合したい金属の板の双方に電極を当て、圧着しながら大電流を流して熱で金属を溶かして溶接します。
薄板同士の接合に最適で、溶接速度も速いのですが大規模な設備が必要でDIY用途には向いていません。
●ガス溶接
アセチレンガスと酸素を使って燃焼による高温の炎を作り出し、その熱で金属を溶かします接合する方法がガス溶接です。使用するガスであるアセチレンは、引火性があるので扱いに注意が必要で初心者には向いていません。
●レーザー溶接
レーザー光を使用して行う溶接がレーザー溶接です。大規模な設備が必要なため、一般的ではなくもちろんDIYでも使用されることはまずありません。
3章:溶接には保護具は必須
目や肌、衣服を守るために必要なもの
溶接時に発行する光は強力な紫外線です。直接裸眼でこの光を見てしまうと目を傷めてしまいます。ですから溶接の際には必ず目を保護する遮光溶接面を使用してください。
遮光溶接面には手持ち面とヘルメット型の面がありますが、初心者であれば両手を使用できるヘルメット型がオススメです。万が一、強い紫外線を直接目に浴びてしまうと、角膜の炎症や赤外線による網膜や角膜のやけどが発生することがあります。また白内障や網膜の損傷を受けることもありますので、遮光溶接面とあわせて保護メガネも使用すると良いでしょう。
飛び散った火花などで、火傷をしたり、衣服などに穴などが開いてしまうこともありますので合わせて溶接用手袋(革手袋など)やエプロンなども用意しておきましょう。
4章:アーク溶接機の使い方
作業の際はアークを肉眼で見ないように注意を
ここでは家庭用の100V電源で使用できる半自動溶接機の使い方を紹介します。溶接用遮光面や革手袋、エプロンなど保護用具の準備を整えてから溶接をはじめましょう。
①電源を接続する
まずは溶接機の電源をコンセントに繋ぎます。次に溶接物にマイナスの電流を流すためのアースグリップを挟みます。
②表面の付着物を取り除く
溶接する部品に油や塗装、ごみなどが付着している場合は取り除きます。
③スイッチを押し溶接ワイヤーを出す
手袋をしてから溶接機スイッチを押し、溶接ワイヤーを適度に出します。
④溶接棒先端をスタート点に持っていく
次に溶接ワイヤーの先端を、溶接のスタート点に持ってゆきます。右利きの場合なら溶接は向かって左から右に行うことになるので左端がスタート点となります。準備ができたら溶接用遮光面もしくはヘルメットで顔を覆います。
⑤溶接開始
先端ノズルのスイッチを押すと電気火花(アーク)が発生します。
⑥溶接機の先端を動かしていく
溶接ワイヤーは軽く当てるだけでかまいません。その際アークは絶対に肉眼で見ないでください。強力な光線と紫外線で目を痛めます。
溶接棒は進行方向に対して45°~60°程度倒した状態で動かしていきます。
⑦溶接完了
しっかり接合できたらこれで溶接完了です。
5章:溶接機の選び方
家庭で使用するなら100V対応の溶接機がオススメ
DIY目的で溶接機を購入する場合、通常であれば家庭用の100V電源に対応したアーク溶接機もしくは半自動溶接機となるでしょう。溶接棒を交換するタイプのアーク溶接機は構造がシンプルなため頑丈で、なおかつ価格もお手頃です。ただし使いこなすのにコツが必要だといわれています。
対して半自動溶接機は、価格が少し高めですが溶接棒の交換などが不要で、作業性に優れており、扱いも比較的容易なので使いやすいでしょう。最近はDIY用途に向いたオシャレな半自動溶接機なども発売されています。そちらのほうがオススメです。
溶接は慣れていないとはじめは上手くいきません。いきなり本番に挑むのではなく、練習用の鋼材を用意してコツをつかんでから本番の作業を行うことをオススメします。また家庭用のコンセントは15A仕様のため使用できる電力もかぎられます。そのため100V電源で使用できる溶接機では、溶接できる鋼材の板厚も限られます。その点も注意が必要です。
溶接機を購入する際は、DIYで実際にどれくらいのものを溶接したいのか確認しておき、お近くのホームセンターなどで相談の上選ぶようにしてください。
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まとめ
溶接の技術を手に入れれば、DIYで作ることのできるもののバリエーションが一気に広がります。感電や火傷などに注意は必要ですが、十分に安全に気を配り正しく扱えば決して難しいものでもありません。
ちなみに溶接作業には免許が必須と思われているかたもいますが、ガスを使用しないDIY目的のアーク溶接の場合は特に免許、資格は必要ありません。ワンランク上のDIYスキルを手に入れるために機会があれば是非挑戦してみてください。
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