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蜂対策
蜂対策
初夏から秋にかけては、庭の草花の手入れをしたり、菜園で収穫に精を出したり、キャンプやハイキングに出かけたりと、屋外で活動することがとても気持ちよい季節。
ただ、屋外ですごす時間が増えると、蜂と遭遇する可能性も高まります。蜂の種類やご自身の体質によっては、刺された場合に重症化することもあります。蜂にどう対処すればいいのか、蜂の巣をどうやって駆除するのか、むやみに怖がるのではなく、安全にできる対処方法を知っておきましょう。
1:蜂による被害
通常、蜂に刺されると、毒によって刺されたところが腫れて痛みますが、痛みは1日程度で引き、残ったしこりとかゆみも数日で消えます。
ただ、刺されたときの毒の量が多かったり、毒性が強かったり、以前に刺されたことがある場合は、毒に対するアレルギー反応(アナフィラキシーショック)として、じんましんや呼吸困難、発熱、血圧低下などの症状があらわれ、生命を脅かす危険な状態に至ることがあります。
2:身近な蜂の種類と特徴
日本には4000種類以上の蜂が生息しているといわれていますが、被害が多いのはスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチによるものです。この3種の蜂の特徴を解説します。
●スズメバチ
種類によっては体長が最大40mmにもなる最大級の蜂で、とても攻撃性が高い性質です。巣を守るためには積極的に攻撃行動をおこし、巣の近くを通っただけで襲われるケースもあります。毒性は非常に強く、重症例も多いもっとも危険な蜂です。なかでもキイロスズメバチ(写真)は都市にも順応しやすい性質で、木の枝のほか、軒下や屋根裏にもよく巣をつくるため、被害例の多くをしめています。
キイロスズメバチの巣はマーブル模様が特徴の球形で、大きいものは直径50cm以上にもなります。
●アシナガバチ
よくスズメバチと間違えられますが、すらりと細身で長い後ろ脚を持った都市部でもよく見かける蜂です。体長は最大で25mmほど。スズメバチに比べると性質もずっとおとなしく、巣に近づいたり刺激したりしない限り、襲われることはまずありません。毒はあまり強くありませんが、痛みを引き起こす成分を含んでいます。
アシナガバチの巣は、巣穴がむき出しになった半球状の小さいものです。
庭やベランダなど人の気配のある開放的なところでもかまわずに巣をつくるので、気づかずに近づかないように注意が必要です。
●ミツバチ
体長12mmほどで、通常はおとなしく、体内に持っている毒も微量です。ただし、ひとつの群の数は数万匹にもなるので、巣を刺激して集団に襲われると被害は大きくなります。養蜂のために飼育されている巣箱に近づかない、花に寄ってきたミツバチをお子さんが触らないようにするなど、注意しましょう。野生のミツバチは、樹木の空洞などのほか、まれに家の屋根裏などに巣をつくることがあります。
3:蜂の被害にあいやすい時期は?
蜂に刺される事故の多くは4~11月におきていて、7~10月に増大します。これは蜂の活動期間によります。スズメバチは女王蜂だけが越冬し、働き蜂が増えるのにともなって7月ごろから巣が大きくなり、攻撃性も高まります。巣の大きさが最大になる9~10月は、もっとも危険な時期です。
アシナガバチは7~8月に活動が活発になり、攻撃性が高まりますが、9月ごろになると巣づくりを終えて働き蜂はおとなしくなります。
ミツバチは女王蜂以外の蜂も越冬します。もともとおとなしい性質ですが、寒い時期に攻撃性が高まるといわれています。冬であっても、ミツバチの巣には近づかないようにしましょう。
4:蜂に襲われないために注意したいこと
蜂の活動が活発になる期間は、庭や菜園で作業をするときや、キャンプやハイキングで山や森林に入るさいには、次のようなことに気をつけましょう。
●蜂を寄せつけない対策
蜂は、黒、赤、青などの濃い色に対して攻撃する傾向があります。白っぽい長袖シャツなど、薄い色で肌の露出が少ない服装を選び、帽子をかぶって髪の毛を隠すようにします。甘い匂い寄ってくるので、匂いの強い香水や整髪料を使わないようにしましょう。バーベキューやキャンプでは、ジュースなどを放置しないでふたを締めておくほうがよいでしょう。
山や森林では、複数の蜂を見かけたら注意します。近くに巣がある可能性があるので、蜂の行動を観察し、警戒しているようなら静かに引き返すほうがが安全です。
●蜂に出会ったときの対処方法
巣が近くにある場合をのぞけば、単独行動している蜂は偵察などの最中で、襲ってくることはまずありません。部屋に入ってきたり、近寄ってくることがあっても、攻撃されることはないでしょう。危険なのは、大きな音を立てたり、激しい動きをして蜂を刺激することです。
蜂がすぐそばに飛んできても、大声を出したり、慌てて手で振り払ったり、急に走り出したりしないで、ゆっくり静かに離れるようにします。部屋に入ってきた場合も、窓を開けて蜂が出ていくまで静かに待ちましょう。
5:蜂の巣を見つけたら|駆除と予防の方法
自宅や近隣で蜂をよく見かけるようになったら、周辺に巣をつくっている可能性があります。できれば離れたところから観察して、蜂の種類や巣の有無を確認します。蜂の巣を見つけても、棒でつつき落とすようなことはしないでください。
見つけた巣がスズメバチのものであった場合は、専門の業者に依頼しましょう。自治体によっては役所が対応したり、業者を紹介してくれる場合があります。相談してみるとよいでしょう。
すでに巣が大きく、蜂の数が多いと、駆除するときの危険度が高まります。スズメバチ以外の種類であっても、自力で駆除するのは、10cm程度までの小さいものまでにし、自己責任のもとで行ってください。
●駆除の装備
・白っぽい長袖シャツ、長ズボン、帽子など、肌の露出が少ない服装。
・噴射距離の長い蜂用の殺虫剤
●駆除の方法
巣の駆除には、日中に出かけていた蜂が戻り、活動が鈍くなる、夕方以降の時間帯が適しています。できるだけ離れた場所から、巣に向けて殺虫剤を30秒以上噴射します。翌日以降に巣を観察し、残っている蜂や戻ってきた蜂がいないことを確認してから、長い棒を使って巣を落としてください。
敷地内に巣がないのに蜂がよく飛来する場合は、蜂用の殺虫剤を直接噴射するか、誘引捕獲器を試してみましょう。
●巣をつくらせない予防方法
蜂が好む場所があり、違う群が同じ場所に巣をつくることがあります。以前に巣をつくられたことがある場所に、春以降、定期的に蜂用の殺虫剤を使っておくと、蜂が近づきにくくできます。
5:蜂に刺された場合の対処方法
●毒液を体外に出す
傷口を流水にさらしながら指で圧迫して毒液をしぼり出します。刺したのがミツバチなら、傷口に残っている針をツメやカードなどでかき落としてから毒液を出します。アウトドア用品として販売されている専用の吸引器があると、かんたんに毒を吸い出すことができます。
●軟膏を塗る
抗ヒスタミン剤を含むステロイド系の軟膏を傷口に塗り、毒による炎症をおさえます。
●冷やす
濡らしたタオルなどを患部にあてて冷やし、傷みをおさえます。
●医療機関を受診する
蜂に刺された場合は、すみやかに医療機関で診察を受けてください。ショック症状があらわれたら、大至急で医療機関を受診してください。
まとめ
里山などまで住宅開発が広がったことがあり、自然の生き物と人間の生活圏が接近したといわれています。郊外の住宅街では、スズメバチが庭に飛来したり、軒に巣をつくられることも珍しくありません。
スズメバチに関する話を聞いたことがある地域では、いざというときに安全に対応できるように、対処や駆除の正しい方法を知っておきましょう。巣の駆除には危険をともないます。無理をしないで、業者へ依頼するほうがよいでしょう。
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