タップの特徴と種類とは?
構造上の仕組みと加工方法

 DIYではオリジナルのものづくりや演出のために様々な素材を使用します。既存の製品をアレンジするという方法もありますが、木材やプラスチック、さらに金属などを一から加工して何かを作るケースもあるでしょう。
 素材がさほど硬くなければ加工もさほど難しくありませんが金属となると簡単ではありません。特に金属同士を繋ぐということには工夫が必要です。例えば連結のための専用のパーツを使用したり、リベッドで留めたり、さらに溶接してしまうという方法もありますね。
 でも、一番スマートなのはボルトやネジなどで留める方法でしょう。これなら後で分解するのも容易ですし強度も期待できます。さらに素材が金属であるなら、ナットを使わなくても、素材そのものにネジ山を直接刻みネジで留めるという方法もあります。
 これなら素材の表面にナットが露出することもなくとてもスマートですし、両手を使ってナットとボルトを押さえる必要もなく作業性も高まります。
 金属にネジ山を切る工具がタップです。そんなタップについて、種類の違いやその使い方、ネジ山を切る際の注意点など、役立つ情報をお届けします。

1章:タップとは?
2章:タップの構造
3章:タップの種類
4章:タップ加工の方法
まとめ

1章:タップとは?

金属素材に直接ネジ山を切るための工具

 タップとは簡単にいえば金属加工のための工具の一種です。その役目は、金属やアクリルなどの素材にボール盤などで穴をあけた後、その穴の内側にネジ山(雌ネジ)を刻むというものです。
 大量の加工が必要な工業製品の場合はフライスや、放電加工などによってネジ山が作られていますが、こういったものは研究用の試作品作りやDIYなどの少量の加工には向いていません。しかしタップなら個人でも簡単に使用でき、安価でまた特にハンドタップなら扱いも簡単なことから、DIYなどでよく利用されています。
 ちなみに、そんなタップを使ってネジ穴を加工することを「タップを立てる」などとも言うこともあります。
 タップには、形状やその用途によって様々な種類があり使用するにも正しい知識が必要です。特に気をつけなくてはいけないのが破損です。タップは金属に溝を切るための工具なのでとても硬く、その分もろくもあります。
 そのため正しく使用しないと簡単にタップが折れてしまうこともあります。折れたタップが穴の中に詰まってしまえばDIY作業そのものが台無しになってしまうこともあるでしょう。タップの構造や使い方などを理解して、うまく活用してください。
 タップでネジ山を刻みやすいのは、金属でもさほど硬度の高くないアルミや真鍮、軟鉄、また樹脂としては硬い素材である、アクリル板などです。

2章:タップの構造

金属を削り、溝から削りくずを排出

 タップそのものは電動ドリルのビットのような形をしています。タップはネジ部の先端となる食い付き部があり、さらに削りくずの通る溝部、そしてネジ山を刻むネジ部、ホルダーで保持するシャンク(柄)部の4つの部位で構成されています。
 素材にネジを刻む(立てる)ネジ部の先端が食い付き部で、先がテーパ(先細り)状となっていいてこの部分のネジ山が削られています。これは加工した穴にスムーズにタップの先端が食いつくようにこのような形になっています。
 切りくずを排出する溝の形には直溝型、ねじれ溝型などがあり、溝の数は2溝、3溝、4溝が一般的です。

3章:タップの種類

DIYにはハンドタップが適している

 タップには、溝部がありますが、その溝の形によって大きく、ハンドタップ、スパイラルタップ、ポイントタップ、盛り上げタップ(ロールタップ)の4種類に分かれます。


穴が途中までの「止まり穴」か、貫通している「通り穴」か、などの形状によって使い分けますが、それぞれの特徴は、以下になります。

①ハンドタップ

 ハンドタップは手動で使用するハンドツールでDIYや試作品など、大量生産の必要のないものへの加工に使用されるものです。
 ハンドタップはサイズによって違いますが主に4つの溝部があり、この溝部に切りくずを抱え込むようにしてネジ山を刻んでいきます。新しいネジ山を刻む他、ネジ山が潰れてしまったものの修正にも使われます。切りくずを溝部に抱え込むので、止まり穴にも通り穴にも使用可能です。

②スパイラルタップ

 溝部がねじれ溝になっているタップがスパイラルタップです。ネジ山を刻んでいく際、素材の切りくずをタップの進行方向とは逆に排出するため、あらかじめあけておいた下穴へ食いつきやすいという特徴があります。プラスチックなどの樹脂素材などにネジを刻むのにも向いています。主に止まり穴に使用されます。

③ポイントタップ

 切りくずを穴の下へと落とす構造になっているのがポイントタップです。切りくずが作業のじゃまになりませんが、その性質上、通り穴の加工にしか用いることができません。ハンドツールではなく主に加工用の機械に装着し、量産品などの製造に使われるタップです。

④盛り上げタップ(ロールタップ)

 穴をあけた素材に対して、他のタップのように切削しながらネジ山を刻むのではなく、タップのネジ部に圧力をかけて押し込みネジ山を盛り上げる、転造という方法でネジ溝を作るタップです。切削するのではなく金属に圧力をかけ変形させることで山を盛り上げるので、切りくずが出ないのが大きな特徴です。強いトルクが必要なため手動の工具ではなく機械に装着し、使用します。加工された雌ねじの強度が他のタップよりも高いという特徴もあります。

4章:タップ加工の方法

タップが折れないように慎重に作業を進める

 DIYで金属の素材にネジ山を刻むという作業をする場合、ほとんどのケースではハンドタップを使うことになるはずです。またホームセンターなどでもハンドタップ以外のタップは、あまり入手性も高くありません。
 そこで、ハンドタップを使用して、ネジ山を刻む方法の手順を追って説明していきましょう。ハンドタップは一般に先タップ(または1番)、中タップ(または2番)、上げタップ(または3番)の3本で一組となっています。
 これらの違いは先端の食い付き部の違いです。先タップはその先端から9山ほどのネジ部が削られています。そして同じく中タップは5山、上げタップは1.5山ほど削られています。先タップ先端に9山もネジがないので、下穴に対して抵抗なく深く垂直に差し込むことが可能なのです。
 まずはこの先タップである程度のネジ山を刻んでから、順に中タップ、上げタップと同じ作業を繰り返すことで失敗なくきれいなネジ山をまっすぐ刻むことができるというわけです。順番に使うことが重要なので覚えておいてください。
 他にタップ立てに必要な道具は、電動ドリルかボール盤、タップハンドルかダイス、機械油です。

①下穴をあける

 まずは金属などの素材に、電動ドリルやボール盤を使って下穴をあけます。使用するネジのサイズによって穴のサイズは決まっていますので注意してください。ダイスのパッケージに書かれている寸法を確認しましょう。
 たとえば、M6のネジを使用する場合は下穴のサイズは φ5.0mmとなります。大きめのネジでしっかりと留めたいという場合は、いきなり大きな穴をあけるのではなく、初めに小さな穴をあけてからドリルビットのサイズを大きくして、2~3回に分けて穴を徐々に広げてゆくとうまくいきます。
 さらに下穴は必ずまっすぐにあけてください。そうでないとネジ山が斜めに切られてしまい、作業の途中でタップが折れてしまう危険があります。

②タップをダイスタップハンドルに取りつける

 次にタップを用意して、ダイスやタップハンドルに取りつけます。さらにタップには機械油を塗ってください。油を塗っておかないと切りくずによる目詰まりなどが起きやすくなり、また抵抗が増えタップが折れてしまうこともあります。必ず機械油も用意しておいてください。

③タップを噛ませる

 タップは前述したように折れやすいので作業は慎重に行いましょう。下穴に対して、タップを垂直に差し込み押しつけながら回します。タップが斜めに噛んでしまうと、ネジが斜めになってしまいますので慎重に、丁寧に作業してください。差金などを使ってタップがまっすぐになっているか確認しても良いでしょう。

④タップをねじ込む 

 下穴に対してまっすぐ噛ませることができたら、タップを時計回りに回しながら少しずつねじ込んでいきましょう。回していく過程で、タップの回転が重くなりますが、その場合はいったん逆方向に少しだけ戻してから、さらに先に進めていきます。また途中油を差すのも忘れないでください。

 タップは折れやすいのでとにかく焦らず慎重に作業します。重くなっているのに無理に回してしまうと、簡単に折れてしまいます。1回転ねじ込んだら、半回転戻すというようなイメージで作業すると良いでしょう。
 先タップでの作業を終えたら、次に中タップ、最後に上げタップと同じことを繰り返します。

⑤タップを抜き取って終了

 目的の深さまでネジ山を刻むことができたら、タップを逆方向に回して抜き取ります。下穴の入り口部分にできたバリをヤスリなどで取ったらこれで終了です。

まとめ

 タップを使ったタップ立ての作業は、それ自体はとても簡単です。しかしタップ自体が折れやすいのでとにかく慎重に作業を進めることが肝心です。一度やり方のコツを覚えてしまえば、DIYのものづくりの幅もきっと広がるはずです。また、タップは新たに何かの素材にネジ山を刻むだけでなく、ナメてネジ山が潰れてしまったものを修正するといったことにも応用が可能です。DIY作業でも何かと便利ですのでぜひその使い方を覚えてみてください。

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