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プライマーとは? 防錆などの種類と塗り方のポイント
プライマーとは?
防錆などの種類と塗り方のポイント
内装、家具の補修やリフォーム、リメイクで、よく使われる仕上げ方法が塗装です。簡単に雰囲気を変えられるので、DIYであれこれ利用したいと考えている方も多いことでしょう。ただ、内装のペイントリフォームには要注意。そのままでは塗装できないものが意外と多いのです。そうした素材は、一見塗れたように見えても剥がれやすく、基本的には直接の塗装はできません。こうした難ありの素材に有効なのが「プライマー」という塗装材です。ペイント好きなら知っておいて損はないプライマーについて、その役割や使い方を説明しましょう。
1章:プライマーとは塗装で使われる材料
2章:プライマーの役割
3章:プライマーの種類
4章:シーラー、プラサフとの違いは?
5章:プライマーの塗り方とそのポイント
まとめ
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1章:プライマーとは塗装で使われる材料
塗装の流れは3工程が基本
プライマーの説明をする前に、まずは塗装の基本をおさらいしておきましょう。
木材や金属、樹脂など、塗られる素材のことを塗装では下地と言います。木材のように塗料の密着性が良い下地を塗る場合をのぞいて、塗装は「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3工程で仕上げるのが一般的です。
第一段階の下塗りには、もろくなった下地の表面を固めたり、上に塗る塗料の密着性を高めたりして、塗膜を長持ちさせる役割があります。次の中塗りは、一度の厚塗りによるタレやシワを防いだり、上塗りの塗りムラができにくいようにします。そして最後の工程である上塗りが、最終的な見た目を決める仕上げになります。
プライマーが活躍するのは、このなかの下塗りの工程です。塗装が定着しにくい下地の状態を整えて、塗料との間をつなぐ材料なのです。
ちなみに「プライマー(primer)」には英語で「最初の〜」という意味があり、下塗り材の一般的な呼び方です。塗料以外にも、漆喰や珪藻土などの左官材料、粘着シート、シーリングなど、それぞれに専用の下塗り用プライマーがあります。
2章:プライマーの役割
塗装の仕上がりは下地しだい
塗装をきれいに仕上げるには、塗り方以前に下地の状態がとても大切です。表面が凸凹していれば平らに塗り上がりませんし、サビやアクが発生していれば塗膜は剥がれやすく耐久性も低くなります。では、表面がツルツルの下地はどうでしょうか。
プラスチックのように表面に光沢がある下地は密着が良さそうに見えますが、実際には塗料にとって悪条件といえます。プラスチックにそのまま塗料を塗ると、マスキングテープと一緒に簡単に剥がれたり、軽い衝撃でひび割れたりし、塗膜の密着が弱いことがわかります。
そこでプラスチックに塗装をする場合は、下地を180〜240番のサンディングペーパーで擦って細かく荒らしてから塗装を行います。塗料の密着力は接触面の表面積に比例するので、細かい傷をたくさんつけることによって密着力を高めるのです。これを塗装用語で「足付け」と言い、プラスチックの他にも金属などを塗装する際に下地処理として行います。
プライマーは接着剤
広い面積や細かい凹凸のある下地に足付けをするのは、とても手間と時間がかかる作業です。こうした面倒な調整作業をしなくても、下地と塗料の間で接着剤となって間を取り持ってくれるのがプライマーです。接着する以外にも、傷や凹みを埋めて表面を平らにならしたり、金属用であればサビを抑えたりするなど重要な役割を果たします。
塗ることができる下地の素材もさまざまです。屋内では冷蔵庫の扉、システムキッチンの扉、アルミ製玄関ドア、化粧合板を張った家具、ビニール壁紙などを、外壁塗装ではモルタル、サイディング、ブロックなどの外壁材などを塗装できるようになります。リフォームやリメイクをするために、既存のものを塗り替えてアレンジしたいとき、塗装の剥がれ・色落ちを直したいときなどに広く利用できるものなので覚えておくと良いでしょう。
缶入りの液状タイプが一般的ですが、広範囲に均一に塗布しやすいスプレータイプもあります。
3章:プライマーの種類
プライマーは各種の素材によりよく密着させるために、素材ごとに使い分ける必要があります。アルミニウム用、鉄用、メッキ面用、それぞれの樹脂用(ABS用、塩ビ用、ポリカ用など)、ガラス用などの種類があります。これらを適材適所で使っておけば、「塗料がのりにくい」「すぐにはげる」と言われる下地にもしっかりと塗装をすることができます。
さまざまな下地に対してマルチに使えるタイプ、素材によって使い分けるタイプがあるので、プライマーは用途に合わせて選びましょう。
●
マルチプライマー
密着の悪いアルミ、ステンレス、クロムメッキなどの金属、ガラス、プラスチックなどの樹脂、焼付け塗装面など、1つでさまざまな素材に対応し、上塗りを可能にしてくれるとても便利なプライマーです。
●
プラスチック用プライマー
ポリプロピレン、ナイロン、ABS、FRP、硬質塩ビ、アクリル、PETなど、各種のプラスチック素材に使用できるプライマーです。塗料メーカーの他、自動車補修用品メーカーなどから発売されています。
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メタルプライマー
銅、真ちゅう、アルミニウム、ステンレス、クロームメッキ、亜鉛メッキ、ブリキなどの非鉄金属や鉄の下塗り用として使用できるプライマーです。
●防錆プライマー
鉄は無処理のままでは必ず錆びるものです。塗り直すときに少しでもサビが残っていると、一般的な塗料をただ塗るだけでは内部でサビの範囲が広がって、塗膜を剥がしてしまいます。防錆プライマーはサビの進行を抑える働きをするため、下地に凸凹がないようにサビを落とした上に塗るだけで、サビ止めと接着の両方に効果を発揮してくれます。
4章:シーラー、プラサフとの違いは?
下地に直接塗って、塗装に適した状態にする下塗り材全般をプライマーと呼ぶことができますが、商品としては性能によって「シーラー」「プラサフ」などと名称が分かれています。おかげで混乱しやすいのですが、プライマーと呼ばれるタイプは、金属や樹脂など塗料がのりにくい下地に塗って、密着性を高める接着剤だと思っておくと良いでしょう。
ここではプライマー以外の主な下塗り材について、特徴と用途を紹介します。
●シーラー
シーラーという名称のものは、主に内外装の塗装をするときの下塗り材に使われます。シーラーは粘り気が弱く、水のようにさらさらした液状をしていて、下地に塗布して吸収させる浸透性のプライマーです。あらかじめシーラーを塗った塗装面は上塗りする塗料の吸い込みが抑えられ、仕上がりがムラになるのを防ぎます。主な用途は、コンクリートやモルタル、コンクリートブロックなどの外壁材、カラーベスト、セメント瓦などの屋根材の下塗りです。
●フィラー
フィラーは下地の凸凹を調整したり、段差を埋めたりして、平らにするために使います。塗布する際はローラーを使って厚く塗り、平坦な面を作ります。主な用途は、モルタル外壁材の下塗りです。
●サーフェイサー
役割はフィラーと似ていますが、下地の表面にある小さい傷や細かい凸凹を調整して滑らかにするのがサーフェイサーです。また、仕上がり面の色合いを均一にし、発色を良くする効果もあります。主な用途は、自動車のプラスチック部品やプラモデルなどの下塗りです。
●プラサフ
プライマーとサーフェイサーを兼ね備えた役割を果たす塗装剤のため「プラサフ」と呼ばれます。作業効率が良く利便性は高いのですが、鉄以外のものには接着効果がないという弱点があります。プラスチックやアルミなどに使うときには、別に専用プライマーを塗布しておく必要があります。主な用途は、自動車の金属外装に発生した傷や塗装剥がれを補修する際の下塗りです。
5章:プライマーの塗り方とそのポイント
プライマーを利用してプラスチック素材を塗り替えるリフォーム例として、ここではスイッチプレートを塗ってみることにしましょう。スイッチプレートは部屋のあちこちについているので、小さくて作業が手軽なわりに高いアレンジ効果が期待できるインテリアパーツです。今回はアイアンペイントで重厚なイメージに仕上げます。
●必要な材料
スイッチプレート
スプレー式マルチプライマー
水性塗料
●必要な道具
スポンジ
マスカーなど養生用シート
(1)プライマーを噴きつける
スイッチパネルの塗装面についているホコリや油汚れをよく拭き取るか洗い流し、プライマーを噴きつけます。1ヶ所に噴きつけ続けるとプライマーが垂れてくるので、一定のスピードで動かしながら2〜3回で全体に塗布するつもりで行いましょう。そのまま20〜30分程度おいて乾燥させます。
プライマーは表面がベタついているため、ゴミやホコリが付着しやすくなります。密着不良の原因になりやすいので、長時間放置しておかずに早めに塗装に移りましょう。
(2)1回目を塗る
プライマーが乾燥したら、アイアンペイントで1回目を塗ります(中塗り)。アイアンペイントは小さくカットしたスポンジを使い、軽くたたくようにして塗りつけます。
(3)2回目を塗る
1回目の塗料が指で触ってつかない程度に乾いたら2回目を塗ります(上塗り)。ぽってりとアイアンらしい風合いに仕上げましょう。
まとめ
DIYでは、めんどうなプライマーの下塗りを省略したいと思うことがあるかもしれません。ですが、そうして仕上げた塗装は、遅かれ早かれ無残な結果になってしまいます。プライマーでの下塗りをていねいに行うほど完成度も強度もアップします。慣れてくれば作業スピードも上がります。最初は小さいもので試しながら要領をつかみ、大きいもののペイントアレンジにも挑戦してみましょう。
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