ドリルドライバーの選び方と使い方

 最近は木工でもクギよりネジを使うのが一般的ですし、壁に棚やカーテンレール、フックなどを取り付ける簡単な模様替えでも、ネジを使うことが多くあります。ネジ締めと穴あけを1台で効率よくこなせるドリルドライバーは、DIYに興味を持ったら、最初に揃えておきたい電動工具です。ここでは、その基本的な選び方と使い方を紹介します。

目次
1.ドリルドライバーとは?
2.ドリルドライバーの各部の名称と機能
3.ドリルドライバーの基本的な使い方
4.ネジ締め作業での使い方
5.穴あけ作業での使い方
6.ドリルドライバーの種類と選び方
7.インパクトドライバーとの違い

1.ドリルドライバーとは?

 ドリルドライバーは『ビット』と呼ばれる先端工具を交換することで、主に穴をあけるためのドリル、ネジを締めるためのドライバーの2種類の工具として使うことができる電動工具です。
 ネジを使って家具を組み立てたり、棚を取り付けたりするとき、手回しのドライバーでも作業はできますが、握力の弱い方の場合やネジが多い場合は、単純なネジ締めでも疲れる作業になります。電動のドリルドライバーが1台あると、ネジ締めなどを大幅に効率アップできるので、こうした作業が短時間で楽に行えるようになります。

 DIYでよく行う木工では、ネジを使って木材を組み立てたり、ネジの下穴をあけたり、丸棒などを通す貫通穴や止め穴をあけたりする工程がよくあるため、ドライバーとドリルは使用頻度がとても高くなります。ドリルドライバーは、DIY初心者が最初に揃えておきたい基本の電動工具と言って良いでしょう。

2.ドリルドライバーの各部の名称と機能

①変速スイッチ/回転速度を高速と低速の2段階で切り替えます。

②クラッチ/最大の締めつけ力を調節することができ、材料が変わってもネジの締めすぎを防ぐことができます。穴あけ作業をするときは、ドリルマークに合わせます。

③キーレスチャック/ビットの装着、取り外しをするときは、ここを手で回してチャックを開閉します。

④チャック/3本のツメ状のパーツが、ビットをつかんで固定します。

⑤スイッチ/握ることで電源のオン・オフを切り替えます。レバーの引き加減で、回転速度を調整できるものが一般的です。

⑥バッテリー/コードレスタイプは、充電式バッテリーを電源としています。ほとんどの機種はバッテリーが着脱式で、予備バッテリーを使うことができます。

⑦正転・逆転スイッチ/回転方向を切り替えたり、回転をロックしたりすることができます。

3.ドリルドライバーの基本的な使い方

■ビットの装着方法

 ドリルドライバーは先端のビットを交換することで、大きさの異なるネジを回したり、さまざまな種類、大きさの穴をあけることができます。ドリルビットを交換するときは、安全のため、間違ってスイッチが入らないように、バッテリーを外してから行いましょう。
ビットを取り付けるときは、キーレスチャックを手で握って反時計回りに回し、チャックを開いて使用するビットをいちばん奥まで差し込みます。
キーレスチャックを時計回りに回して締めつけ、ビットをチャックで固定します。手で引っ張ってビットが抜けないことを確認しましょう。

■スピードの調整方法

あらかじめ変速スイッチで、回転の最高速度を選ぶことができます。一般的な作業は高速側で行いますが、長いネジを打ったり、大きい穴をあけたりする作業は、トルクが強い低速側に切り替えて行います。使い慣れないうちは低速側に設定しておくと良いでしょう。
作業途中の回転速度の微調整は、スイッチレバーの引き加減で行います。

4.ネジ締め作業での使い方

■ビットの種類

 ドリルドライバーでよく使うプラスのドライバービットには、1番(小)、2番(標準)、3番(大)と3種類のサイズがあります。サイズの合わないビットでネジを回すと、頭の溝を傷めやすいので、必ずネジの溝に合うサイズのビットを使いましょう。サイズがよくわからないときは、サイズの大きい方のビットから試すようにします。
写真上がいちばんよく使う2番、下が小ねじなどに使う1番です。一般的な作業では、3番はほとんど使うことがありません。

■トルクの調整方法

ネジを締めつける力は、クラッチの数字が大きいほど強くなります。木材の質に合わせて調整しておくと、連続して同じ強さでネジを打つことができます。最初に打つときは弱めにセットしておき、ネジの入り具合を見て必要に応じてセットしなおし、最適な強さを見つけるようにしましょう。
ネジの締め込み具合を比較した写真です。左はトルクが強すぎて頭が沈みすぎた状態、右はトルクが足りずに頭が浮いている状態です。まん中のようにネジの頭が材料の面と揃うように打てると、仕上がりがきれいです。きれいなネジ締めをするために、トルクの調整機能を利用しましょう。

■ネジの締め込み方

ネジの頭の下のあたりを指で軽くつまみ、材料に対してまっすぐに立てます。はじめはレバーを軽く引いて低速で回し、ネジが自立するところまで締め込みます。
ネジが自立するようになったら、力いっぱい押しながら最後までネジを締め込みましょう。押す力が弱いと、ビットが外れてネジの溝を傷めます。回転が速いときほどしっかり強く押してください。

5.穴あけ作業での使い方

■ビットの種類

木工でよく使われるドリルビットにもさまざまな種類があります。左から、

下穴ビット/名前のとおりネジの下穴をあけるためのドリルで、先端に行くほど細くなるテーパー形状をしています。

座彫りビット/皿取りビットとも呼ばれ、ネジを締め込んだときに頭が木材の面から飛び出さないように、あらかじめ掘り込んでおくときに使います。

ダボ穴ビット/ダボを埋める穴を1cmほど掘り下げるための専用ビットです。

ボア(フォスナー)ビット/底が平らな止め穴を掘ることができ、ボルトやナットを通す穴の座堀りなどに使います。サイズが豊富で、大きい穴あけにも重宝します。

穴あけビット/もっとも一般的な木工用ドリルです。

ある程度の大きさ以上の丸穴をあけるのに便利なのが、外周に付いたノコ刃で円形に切り抜くタイプのホールソーです。DIY用としては、数サイズの刃を付け替えて使えるセットのものを、ひとつ用意しておくと便利です。
アクリル用(左)や金属用(右)など、素材に適したビットを使うことで、さまざま材料に穴をあけることができます。

■穴のあけ方

クラッチを回してドリルの表示に合わせ、ドリルモードにセットします。
木材に穴をあけるときは、材料をクランプで作業台に固定した状態で作業します。穴の中心位置にビットの先端を合わせ、垂直であることを確認してスイッチを引き、掘りはじめます。無理に押さないようにして、掘り進む具合に応じて押し込むようにしましょう。貫通穴をあけるときは、写真のように材料の下に捨て板をあててください。
穴の下に空間がある状態で貫通穴をあけると、必ずバリが出ます(左)。
捨て板を敷いておくと、きれいに穴をあけることができます(右)。

6.ドリルドライバーの種類と選び方

 ドリルドライバーは、使用する電源によってコード式(AC電源式)とバッテリー式(電池式/充電式)の2タイプがあります。

■バッテリー式の特長

 現在、ドリルドライバーの主力となっているタイプです。電源コンセントにコードをつなぐ必要がないので、電源がない屋外でも自由に移動しながら作業ができます。ただ、バッテリーの容量が限られるため、バッテリー残量がなくなると動かなくなり、作業を続けるためには充電をする必要があります。連続して長時間の作業をするためには、バッテリーの交換ができるカセットタイプがオススメです。

【バッテリーの種類】

 電動工具に使われているバッテリーには、リチウムイオン、ニッケル水素、ニカドなどの種類があります。最も新しく高機能なのがリチウムイオンバッテリーで、主要機種はどんどんこちらに切り替わっています。リチウムイオン電池は、ほかの充電池に比べると軽く、自然放電しにくく、継ぎ足し充電ができるなどたくさんのメリットがあります。使いたいときに放電して電池切れになっている可能性が減る。パワーが弱くなったら、すぐにバッテリーを交換して充電しておける。ちょっとしたことのようですが、リチウムイオン電池の機種は、DIYレベルの使用でも扱いやすいといえます。同じメーカー、同じ電圧の工具同士で互換性があるものも多いので、これからほかのバッテリータイプの工具を揃えていくつもりなら、とくにリチウムイオンバッテリーを採用した機種がオススメです。

【バッテリーの電圧】

 バッテリーの電圧はV(ボルト)で表示されます。電圧には、7.2V、10.8V、12V、14.4V、18V、36Vなどがあり、一般的にはこの数字が大きい方が大きなパワーを発生させられます。DIYであっても木工製作に広く使いたいのであれば、10.8V以上のものを選んでおくと作業能力の点で安心です。市販の家具の組み立てや棚つけなどにたまに使う程度なら、7.2Vなどでも不便はないでしょう。

 バッテリー式の場合、電圧が大きくなるのに比例してバッテリー自体が大きく、重くなります。どうしても作業する人への負担は増すので、力の弱い人や連続してネジ締め作業をしたい人は、パワーと取り回しやすさのバランスを考えて電圧を決める方が良いでしょう。プロであっても誰もがハイパワーの18Vや36Vを選ぶわけではなく、専門の作業内容に合わせて、より小さい機種を好んで使う場合もあります。店頭で実物を持ち比べてチェックしましょう。

■コード式の特長

 コード式の場合は、電源コンセントにプラグを差し込んでおけば、途中でバッテリー残量がなくなる心配をすることなく連続して作業することができます。作業台の上でだけ使うなど、作業場所が固定されていて、比較的手元の作業が多い場合にオススメです。一方で、コードが物にひっかかったり、動きがコードの長さに制約されるので、リフォームのように室内を移動しながらの作業や屋外での作業では、ストレスを感じるかもしれません。

7.インパクトドライバーとの違い

 形状や用途が似ていて、ドリルドライバーとの違いがわかりにくい電動工具として、インパクトドライバーがあります。こちらもドライバーとドリルという2種類の工具として使うことができるので、使い分け方をはっきりと決めるのは難しいところですが、それぞれに特長があり、得意な作業が異なるので、より自分の用途に適した方を選ぶと良いでしょう。

 両者が構造的に異なるのは、ドリルドライバーが回転力だけを使うのに対し、インパクトドライバーが回転力に加えて打撃力を使う点です。ウッドデッキづくりなどで厚い木材に長い木ネジを打つ場合、回転力では締めつける力が足りないときに、打撃を加えて木ネジを最後まで締め込んでくれます。ただ、インパクトドライバーはトルクを調整するクラッチ機構を搭載していないので、柔らかい木材や薄い木材にネジを打つときに割れてしまう可能性が高く、デリケートな作業にはあまり向いていません。厚みのある2×4材を使って頑丈な家具やウッドデッキを作るときにはインパクトドライバーを、厚さ20mmほどの1×4材などを使うときにはドリルドライバーを使うなど、主な用途によって選ぶと良いでしょう。

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