変圧器の種類と使い方

電動工具や溶接機のパワー不足を解消

 DIYの作業場所や、工事の現場などで、コンセントに電動工具や電気溶接機をつないでいるのにパワーが足りない、また溶接がうまくできない、ということはないでしょうか。もしかしたらそれは電圧降下が原因かもしれません。例えば長いドラムリールで電源コードを延長していませんか。実はそれだけでも数Vの電圧降下は起きてしまいます。電圧降下を防ぐにはどうすれば良いのか? そんなときに便利なのが変圧器(トランス)です。

目次
1.変圧器とは
2.各部紹介
3.変圧器の使い方
4.変圧器の種類

1.変圧器とは

 変圧器(トランス)は、電圧を自由に変えることができるとても便利な装置です。海外旅行用のグッズとしてもおなじみですが、DIYや工事現場では、電動工具や電気溶接機に接続して使用する、ポータブルトランスというものが使われています。基本的な構造はとてもシンプルで内部には、枠状の鉄芯に入力側の1次コイルと出力側の2次コイルが巻きつけられたものが入っています。
 そして入力側の1次コイルに、コンセントや配電盤を通じて交流の電気を流すと、交流の電気は極性が一定の周波数(東日本は50Hz,西日本は60Hz)で入れ替わっているので、ちょうどコイルの中に磁石を近づけたり遠ざけたりするのと同じ状態になります。
 すると、レンツの法則によって1次コイル側に電圧が発生。そしてその電圧によって鉄心に磁界が発生し磁束が、出力側の2 次側のコイルを通過します。すると、コイルを通過した磁束によって2 次側のコイルに電圧が発生します。この現象のことを電磁誘導作用といいます。
 コイル巻き数が多いほど、発生する磁束も多くなるので2次側のコイルの巻き数を、1次側の倍にしたり、または半分にしたりなど、変えることによって、2次側の電圧は上げたり、下げたりすることができるというわけです。
 つまり、変圧器を使えば、入力側の200Vの電圧を、出力側では100Vや115Vに下げることもできますし、また逆に100Vの電圧を110Vや115Vに上げることができます。これが変圧器の仕組みです。
 変圧器は例えば、屋外などで電動工具を使用する場合に長い延長コードなどの使用により降下した電圧を補うことが可能です。昇圧のできる変圧器、アップトランスを使用すると、100Vの電圧を15%もしくは25%昇圧することができます。例えば延長コードの先のコンセントで電圧が85Vに低下してしまった場合でも、変圧器を介せば本来の100Vの電圧が得られるのです。これで電動工具は本来の機能を果たしてくれるのです。
 さらに、100Vではパワー不足を感じる、電動工具や電気溶接機の使用の際に、アップトランスで昇圧した115Vや125Vで使用することで、パワー不足や溶接の不具合を解消するといった使い方も可能です。
 逆に、降圧のできる変圧器、ダウントランスでは、例えば工場など、主電源が動力電源(三相200V)を使用している現場で、家庭用の単相100Vの電動工具の使用が可能になります。このように電動工具や電気溶接機などを、安定して使用できるように、電源の電圧を昇降させる装置が変圧器なのです。
1次側のコイルに交流電圧をかけると磁界が発生し、磁束が出力側の2 次コイルを通過して電圧が発生する。この現象のことを電磁誘導作用という。

2.各部紹介

①115Vコンセント/昇圧の場合100Vの入力で115V、87Vの入力で100Vの電源が取り出せます。降圧の場合200V入力で115V、174Vの入力で100Vの電源が取り出せます。

②100Vコンセント/昇圧の場合100Vの入力で100V、87Vの入力で87Vの電源が取り出せます。降圧の場合200V入力で100V、174Vの入力で87Vの電源が取り出せます。

③ブレーカースイッチ/電源スイッチです。

④電源ランプ/電源が入ったことを知らせるランプです。

⑤出力電圧計/出力電圧が表示されます。100Vコンセントは表示通り、115Vコンセントは表示の1.15倍の電圧となります。

⑥アース端子/電源コンセントからアースが取れない場合に、アース線を繋ぎアースします。

3.変圧器の使い方

 変圧器を使用する際は、下記のポイントに注意して目的に合ったものを入手してください。まず確認するのは変圧器を接続する元の電源です。単相の100Vか、単相の200Vか三相の200Vなのかを確認してください。
 次に変圧器を使用する地域の周波数(50Hzか60Hzか)を確認します。周波数は変圧器の切り替え機能で変更できるものもあります。
 さらに変圧する1次電圧(入力側)と2次電圧(出力側)を確認します。最後に必要な機器が十分に接続可能か、変圧器のコンセントの数もチェックしましょう。
 以上の項目を確認し、目的に適した変圧器を用意できたら、次に変圧器の電源コードを、入力電圧に合わせて正しく接続します。200Vに接続する場合は、変圧器に付属しているプラグを使用するか、配電盤の三相200Vもしくは単相200Vに直接繋ぎます。一般的な単相100Vの場合は、市販の電源プラグでつなぐか、または配電盤の100Vブレーカーに直接つないでください。
 接続が完了したら、本体の電源ブレーカースイッチをONにして、表示板の電源ランプが点灯し、電源が出力されていることを確認します。確認できたら変圧器の前面パネルにあるコンセントに、使用したい電動工具や電気溶接機を繋ぎます。
 接続する電動工具は、変圧器の定格容量を超えないように注意してください。例えば定格出力3kVAの変圧器であれば、コンセントの合計出力は30アンペア以下で使用します。また、1つのコンセントから取り出せる最大出力電流も変圧器によって決まっています。説明書を確認し、使用する電気機器のアンペア数が、その最大出力電流超えていないか注意してください。
 100V仕様の電気機器は、通常100Vのコンセントに接続します。電動工具など通常100Vで使用する電気製品は±10%(90~110V)で使うよう設計されているので、この範囲を超えないように適切に使用しましょう。延長コードの使用などで、電圧が低下している場合や、電動工具などの力不足を感じる場合には115Vコンセントを使用します。
 作業を終えたら、変圧器の電源ブレーカースイッチをオフにして工具の電源プラグをコンセントから抜きます。最後に変圧器の電源を、コンセントまたは配電盤から外し、本体を保管しましょう。なお、変圧器に電源を繋いだままにしておくと、電気を消費して本体の温度が上昇してしまいます。注意してください。
単相100V、単相200V兼用タイプは、このようなネジの差し替えによって入力電圧を切り替えます。
100Vで使用する電気機器は通常100Vのコンセントにつなぎます。電圧が低下している場合や、電動工具などのパワーが不足している場合に115Vコンセントを使用します。
コンセントからアースが取れない場合には、本体に装備されているアース端子でアースを取ってください。
出力電圧計に表示された電圧通りの電圧が、100Vのコンセントから出力されます。115Vコンセントは表示から115%昇圧された電圧が出力されます。

4.変圧器の種類

 変圧器には、電圧を昇圧する(電圧を上げる)アップトランス、逆に電圧を降圧する(電圧を下げる)ダウントランス、そして電圧の昇降兼用タイプがあります。
 電圧降下による電動工具のパワー不足を解消したいのか、または工場などで、100Vの工具を使いたいのかなど使用目的に合わせて適したものを選びましょう。
 また対応する電源の種類に合うものを選ぶ必要もあります。一般家庭であれば通常は単相100Vか単相200Vの電源が使用されているので、単相100V用、もしくは単相100V、200V兼用を使用します。
 工場などでは、単相ではなく、三相200Vなどの交流電流が使われているケースが多いので、三相200Vに対応できる変圧器が必要となります。

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