1台でコンクリート、金属、木材の穴あけ、ネジの締めつけが可能
漆黒 18V充電式振動ドリルドライバー

 見た目も大きさもドリルドライバーとほとんど同じ本体に、振動ドリルの機能を加え、ドリル、ドライバー、振動ドリルの1台3役で使える多機能な電動工具、それが振動ドリルドライバーです。漆黒シリーズにもラインナップされるこのマルチツールについて、その特長と基本的な使い方を紹介します。

目次
1.振動ドリルドライバーとは
2.漆黒18V充電式振動ドリルドライバーの各部の名称と機能
3.漆黒18V充電式振動ドリルドライバーの特長
4.振動ドリルドライバーの基本的な使い方
5.ネジ締め作業での使い方
4.穴あけ作業での使い方

1.振動ドリルドライバーとは

 ドリルドライバーと言えば、ドリルによる穴あけとドライバーによるネジ締めを1台でこなせ、DIYの初心者や女性、建築のプロまでがよく使う電動工具の代表格です。ここで紹介する振動ドリルドライバーとは、このドリルドライバーに振動ドリルの機能を併せ持った工具です。

 振動ドリルは主に、石材、コンクリート、ブロック、レンガなどに穴をあけるために使われます。

 通常のドリルは回転する力を使い、ドリルの刃で素材を切りながら掘り進んで穴をあけます。プラスチックや金属は、ドリルドライバーやインパクトドライバーを使って穴をあけることができますが、石材やコンクリートは、これらの工具で穴をあけることはできません。こうした硬い素材に回転の力で穴をあけようとしても、刃が滑ってしまい、せいぜい表面に傷をつける程度にしかならないのです。これに対して振動ドリルは、回転とともに細い打撃を高速で加え、ビットの先端で硬い素材を砕きながら穴を掘り進むことが可能です。鉄筋コンクリートの室内壁、屋外ではコンクリートの基礎部分やコンクリートブロックなどに穴をあける際に必須の工具なのです。

 通常の振動ドリルは穴あけに特化したドリルで、電源にコード式を採用している機種が主流のため、用途や使用場所が限られます。それと比較して、ドリルドライバーと同じ感覚で3種類の電動工具を兼用でき、しかも充電式である振動ドリルドライバーは、プロばかりかDIYの愛好者にとっても振動ドリルを導入しやすいマルチツールと言えます。この漆黒シリーズのほかにも、マキタ、HiKOKI(旧日立工機)、パナソニックなどの電動工具メーカーが、このタイプの機種をラインナップしています。1台をより幅広いシーンで使い分けたいユーザーにとっては、チェックしておく意味のある工具と言えます。

2.漆黒18V充電式振動ドリルドライバーの各部の名称と機能

①キーレスチャック/回転部を回すと先端の3本のツメが開閉し、ビット(先端工具)を脱着できます。
②クラッチ調整ダイヤル/ネジを締めつけるときのトルクを18段階で調整します。
③モード切替えダイヤル/振動モード、ドリルモード、ネジ締めモードを切り替えます。
④速度切替えスイッチ/回転数を高速と低速の2段階で切り替えます。
⑤LEDライト/スイッチ引き金を引くと点灯し、作業箇所を明るく照らします。
⑥スイッチ引き金/引き金を引くことでスイッチのオン・オフを切り替えます。引き具合によって回転数(スピード)を調整することもできます。
⑦回転方向切替えスイッチ/押し込む向きによって、回転方向を切り替えることができます。
⑧ベルトフック/未使用時に本機を腰ベルトなどに掛けておくことができます。

3.漆黒18V充電式振動ドリルドライバーの特長

■作業能力

 製品のパッケージや取扱説明書には、モーター電圧、回転数、最大トルク、打撃数などの仕様とは別に、穴あけやネジ締めの能力が表示されています。『穴あけ能力』は、コンクリート、鉄工、木工と、作業ごとにあけられる穴の直径が記されているので、それぞれの材料で行える穴あけ作業の目安がわかります。

 また、『ネジ締め能力』は、木材に締めつけることのできるネジの太さ、長さが表示されています。漆黒18V充電式振動ドリルドライバーの作業能力は以下のとおりです。自分の用途に適応した能力であることを確認してください。
【穴あけ】
・コンクリート:径13mm
・鉄工:径13mm
・木工:径32mm
【ネジ締め(木ネジ)】
・高速:径4.2×32mm
・低速:径6.2×50mm

■バッテリー式電源の採用

 漆黒18V充電式振動ドリルドライバーは充電式のバッテリー電源を採用しているため、電源コンセントの位置に制約されることなく、屋内でも屋外でも自由に移動しながら作業できます。また、わずらわしい電源コードを気にしないで、取り回しよく使えるのも特長です。

 バッテリーの性能は電圧(V/ボルト)が目安になります。充電式の振動ドリルドライバーには、バッテリー電圧が10.8V、14.4V、18V、36Vなどがあり、この数字が大きいほど電圧が高く大きなパワーを発生させることができます。漆黒18V充電式振動ドリルドライバーは、プロが使用する機種の標準と言える18Vバッテリーを搭載しているので、パワフルな作業を連続して行う場合にも安心して使うことができます。

 また、同シリーズの18V充電式工具でバッテリーパックを共用できるので、複数の工具を揃えたときにバッテリーパックの管理がしやすくなります。

4.振動ドリルドライバーの基本的な使い方

■バッテリーの充電方法と取りつけ方

漆黒セーバーソーの使用には18V 3.0Ahの漆黒シリーズ専用バッテリーパック「BP-18RLi」と18V専用充電器「BC-18RLi」が必要です。これらは別売となっているので、別途用意する必要があります。また、バッテリーパックは購入時には十分に充電されていない場合があります。使用前に専用充電器で正しく充電してから使用しましょう。
使用前にバッテリーを充電します。まず充電器の電源プラグをコンセントに差し込みます。充電器の緑ランプが点灯していることを確認してください。緑ランプは充電器の通電中、点灯したままになります。
充電するときは、バッテリーパックと充電器の溝を合わせて、スライドさせてセットします。カチッと音がするまでしっかりと差し込んでください。
充電がはじまると、赤ランプが1秒間に1回のサイクルで点滅します。バッテリーを充電器にセットしても、赤ランプが消灯している場合、そのバッテリーは充電済みです。また、赤ランプが短点滅(1秒間に3回点滅)を繰り返す場合は、バッテリーパックが故障している恐れがあります。
充電は約90分で完了します。ランプが赤の点滅から点灯に変わったら充電完了です。バッテリーパックのリリースボタンを押し、本体からスライドさせて取り外してください。

■本体へのバッテリーパックの取りつけ、取り外し

バッテリーパックを取りつけるときは、本体と溝の位置を合わせて、前から後ろへバッテリーパックをスライドさせます。
カチッとはまるところまでしっかり押し込みます。不意に始動すると危険です。スイッチをロックするか、指で引かないように注意して取りつけましょう。
バッテリーパックを取り外すときは、スライドボタンを押しながら前にスライドさせて引き抜きます。

■ビット(先端工具)の取りつけ、取り外し

 ビットの着脱は、不意に始動するのを防ぐため、バッテリーパックを取り外した状態で行いましょう。
チャックの回転部を反時計方向に回して、チャックのツメを開きます。
3本のツメの中央に、使用するビットを奥まで差し込みます。
ビットがずれないように片手で持ったまま、チャックを時計方向に回して、ビットが固定されるところまでツメを閉じます。
チャックをきつく締めつけ、ビットを確実に固定します。最後にビットを指で引っ張ってみて、緩んでいないことを確認しましょう。

■スイッチのオン/オフ

スイッチ引き金を指で引くとLEDライトが点灯するのと同時に、電源が入って先端が回転します。スイッチの引き加減で、作業内容に合わせた回転数(スピード)の微妙な調整が可能です。

■回転方向の切り替え

回転方向切替えスイッチを押し込むことで、ネジの締めつけや穴あけができる正転、ネジの緩めができる逆転を切り替えます。中央に合わせると、スイッチ引き金を引いても始動しないロック状態になります。

■モードの切り替え

モード切り替えダイヤルを回転させて、本体の▲マークに使用したいモードのマークを合わせます。(左)ドリルマーク/ドリルモード、(中)ネジマーク/ネジ締めモード、(右)ハンマーマーク/振動モード、です。

■回転速度の切り替え

速度切り替えスイッチを後ろにスライドさせて<1>が見える状態にすると低速に、前にスライドさせて<2>が見える状態にすると高速に切り替わります。低速のほうがトルク(回転方向の力)が高いので、大きい穴をあけるときや長いネジを締めつけるときは、低速に切り替えて使用することをおすすめします。

■クラッチの調整

ネジを締めつけるときには、材料の硬さやネジの長さに合わせてトルク(回転方向の力)を調整しておきます。すると設定以上の力が加わらないため、締めつけすぎによるヒビ割れやネジの破損を防ぐことができます。トルクは18段階に設定でき、数字が小さいほうがトルクは低く、数字が大きくなるほどトルクは高くなります。

最初は低めのトルクで試し、ネジの入り具合を見ながら順に高くしていき、最適な設定を見つけるのがネジ締めのコツです。同じ材料とネジで作業する場合、一度適正トルクに設定すると、その後は調整し直す必要がなく、連続してネジ締め作業をすることができます。

5.ネジ締め作業での使い方

■ビットの種類

 ドリルドライバーでよく使うプラスのドライバービットには、1番(小)、2番(標準)、3番(大)と3種類のサイズがあります。サイズの合わないビットでネジを回すと、頭の溝を傷めやすいので、必ずネジの溝に合うサイズのビットを使いましょう。サイズがよくわからないときは、サイズの大きい方のビットから試すようにします。
写真上がいちばんよく使う2番、下が小ネジなどに使う1番です。一般的な作業では、3番はほとんど使うことがありません。

■ネジの締め方

ネジのサイズに合ったドライバービットを取りつけて、ネジ締めモードに設定。クラッチ調整ダイヤルを操作して、最初はトルクがいちばん弱い<1>に設定します。
ネジを締めつけたい位置に先端を合わせ、ネジの首の近くを指で軽くつまんでネジを立てます。ネジの溝にドリルビットの先端を合わせ、本体をまっすぐに保持した状態でスイッチ引き金を引きます。
ネジが自立する程度まで打ち込めたら、ビットが溝から外れないように力を入れて押しましょう。
クラッチが作動してもネジの締めつけが足りないときは、トルクを少しずつ高くして締め直してください。材料の表面とネジの頭が揃うように締め込めると、仕上がりの見た目がきれいです。

■木割れしやすい場合の方法

 軸の太いネジを使うときや硬い木材にネジを打つとき、そのままネジを締めつけると木が割れる可能性が高くなります。先に下穴ビット使って穴をあけることで、木割れを防ぐことができます。

6.穴あけ作業での使い方

■ビットの種類

木工でよく使われるドリルビットにもさまざまな種類があります。左から、下穴ビット(名前のとおりネジの下穴をあけるためのドリルで、先端に行くほど細くなるテーパー形状をしています)、座彫りビット(皿取りビットとも呼ばれ、ネジを締め込んだときに頭が木材の面から飛び出さないように、あらかじめ掘り込んでおくときに使います)、ダボ穴ビット(ダボを埋める穴を1cmほど掘り下げるための専用ビット)、ボア(フォスナー)ビット(底が平らな止め穴を掘ることができ、ボルトやナットを通す穴の座彫りなどに使います。サイズが豊富で、大きい穴あけにも重宝します)、穴あけビット(もっとも一般的な木工用ドリル)です。
ある程度以上の大きさの丸穴をあけるのに便利なのが、外周についたノコ刃で円形に切り抜くタイプのホールソーです。DIY用としては、数サイズの刃をつけ替えて使えるセットのものを、ひとつ用意しておくと便利です。
アクリル用(左)や金属用(右)、コンクリート用など、素材に適したビットを使うことで、さまざま材料に穴をあけることができます。

■木材に穴をあける

木工用ドリルビットを取りつけ、ドリルモードに設定します。穴をあける位置にドリルビットの先端をあて、本体をまっすぐに保持した状態でスイッチ引き金を引きます。穴あけ作業をするときは、材料が動かないようにクランプで作業台に固定しておきましょう。
押す力が強すぎると、ビットを傷めたり、モーターに余計な負担を掛けることになります。掘り進むスピードに合わせて、押し込むようにしましょう。
材料の下に端材などの捨て木をあてておくと、裏側にバリが出ることなく、きれいに貫通穴をあけることができます。

■金属に穴をあける

鉄工用ドリルビットを取りつけ、ドリルモードに設定します。ドリルの刃が滑らないように、ポンチなどを使って穴をあける位置にくぼみをつけておきます。
材料をクランプで作業台に固定し、ドリルビットがまっすぐに立つように本体を保持してスイッチ引き金を引きます。
一般的な鉄工用ドリルビットは、鉄、銅、アルミ、プラスチック、木材などに穴をあけることができます。ステンレスに穴をあけるときは、ステンレス用のドリルビットを用意してください。

■コンクリートに穴をあける

 ここでは振動モードを使用する一例として、コンクリートに穴をあけて、アンカーボルトを打ち込む手順を紹介します。
使用するのは上部に飛び出た心棒を叩き込むと、穴の中で埋め込み部分が開いて突っ張るアンカーボルト、ボルト指定サイズのコンクリート用ドリルビットです。
アンカーボルトの埋め込み深さがわかるように、ドリルビットにテープを巻いて印をつけます。深さは、ドリルビットの先端からではなく、刃の肩から後ろの部分で合わせてください。穴が浅いと心棒を打ち込めないので注意しましょう。
コンクリート用ドリルビットを取りつけて、振動モードに設定。固定するものの穴の位置に、印の深さまで穴をあけます。
穴の中にコンクリートの切り粉がたまっているとアンカーボルトが奥まで入りません。穴をあけ終えたら、ブロアーなどを使って残っている粉を吹き飛ばしておきます。
穴の中にアンカーボルトを差し込みます。実作業では、固定するものを穴に合わせ、その上からアンカーボルトを差し込むことになります。
アンカーボルトの心棒をハンマーで叩きます。心棒を打ち込むと、穴の中でアンカーが開いてしっかり固定できます。

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