腰袋の種類と選び方

 建築現場を飛び回って作業する職人さんにとって、移動のたびに工具箱を持ち運ぶのは大変な手間。そこで工具箱のかわりに活用しているのが、作業に必要な道具を入れて腰に下げておく腰袋です。腰袋にはいくつもの種類があり、そのなかから自分の用途に合うものを選んで組み合わせるのが使いこなしのポイント。職種や作業内容に合わせて腰袋を便利に使えるように、その種類と選び方、使い方のポイントを解説しましょう。

目次
1章:腰袋とは?
2章:腰袋の種類
3章:腰袋を選ぶ際のポイント
4章:腰袋の使い方

1章:腰袋とは?

 腰袋とは腰ベルトや安全帯の胴ベルトに取りつけて、道具やネジ、クギなどの資材を腰に下げておくための収納袋のことです。大工や塗装、電気、内装などの職人が現場の中を動きながら作業するときの必需品ですが、DIYでも便利に利用できます。

 腰袋にはとくに決まった形や大きさがあるわけではなく、収納量の多いものから少ないものまで幅広く、また個別の道具の形に合わせたもの、吊り下げ用の金具などさまざまな種類があり、それらを自分が使いやすいように組み合わせて使います。

腰袋を使うメリット

 建築の現場やDIYでのリフォームのように、移動しながら作業することが多い場面では、いちいち工具箱を持ち運ぶのは大変です。かといって、必要な道具をその都度取りに戻るのも効率が良くありません。そうした不便を解消できるのが腰袋です。よく使う道具を腰袋に入れておけば、その場の作業に応じて工具を取り出して素早く作業できるようになり、作業効率は格段にアップします。

 腰袋がなければ、道具を持ち歩くために手がふさがります。両手があいていれば高所の足場の狭いところを移動をするときでもバランスを崩しにくく、たとえバランスを崩してもとっさに周囲のものをつかんで危険を回避できます。腰袋の使用は、安全面でも大きなメリットがあるわけです。

2章:腰袋の種類

 腰袋はほとんどのものが腰ベルトに通して下げるようになっていて、身につけておきたい道具の量や整理のしやすさで選び、組み合わせて使います。素材やデザインの違いで種類のバリエーションは無数にありますが、基本的な種類を紹介しておきますので参考にしてください。

■汎用シンプルタイプ

 横幅と高さがそれぞれ20~25cm程度の大きさで、マチのある大きな収納部分が2~3箇所の腰袋の基本形とも言えるタイプです。工具を長さなどで大雑把に分類して放り込んでおくような使い方に向いています。

■多ポケットタイプ

 上で紹介した汎用シンプルタイプと同じようなサイズですが、ポケットやホルダーがたくさんついていて工具の種類ごとに整理して収納できます。電気工事ならドライバーやペンチ、メジャー、ミニ水平器など、内装壁紙貼りなら刷毛や定規、ローラー、カッターなど、頻繁に使う道具の定位置を決めておいて、見ないで出し入れするような使い方ができます。

■釘袋

 昔から使われているシンプルな大工用腰袋です。マチがないぶん容量は少なめですが、カナヅチやクギ抜き、定規、鉛筆、クギといった基本道具を入れておくには十分なサイズです。付属のヒモで腰に巻きつけられるので、ひとつの収納袋ですませたい用途にピッタリ。

■専用タイプ

 ドライバーやペンチなど、差す道具の形状に合わせてデザインされた専用ホルダーです。よく使う道具をほかの道具とは分けてベルトの取りやすい位置に取りつけたいときに最適です。1本差し、2本差し、ペンチとドライバーを差せるタイプなどさまざまな種類が用意されています。
こちらはノミ専用ケース。刃先が当たっても傷みにくいように、素材には厚めの皮革を使っています。
消耗品の溶接棒を腰にストックしておいて、交換時のストレスを減らすことができる溶接棒ケース。

■電動工具用

 種類は少ないものの電動工具用の専用ホルダーも登場しています。使用頻度が高いインパクトドライバーやドリルドライバーは、グリップエンドに取りつけたベルトフックを利用してベルトやフックに引っ掛けておくのが一般的ですが、写真のようなホルスタータイプを使えば本体の頭から入れることができて出し入れがとても簡単です。ビット用のホルダーもついていて、本体と一緒に交換用ビットを携行できます。
電気工事でよく使われる、ペン型インパクトドライバー専用のホルダーもあります。
数十本、数百本のネジを続けて打つ作業が珍しくないインパクトドライバーと一緒に使うと便利なバッテリーホルダーも用意されています。

■ツールフック

 腰袋ではありませんが、腰ベルトに取りつけて腰袋と併用されることの多いのが金属製のツールフックです。工具に取りつけたリングやストラップを通して下げるU型やD型のタイプ、ハンマーやラチェットレンチ、バールなどの頭部分を引っ掛けるリングタイプなどがあります。未使用時にじゃまにならないように畳んでおけるタイプ、かがんだときなどに下げた工具が引っ掛からないようにフックがスイングするタイプなども選べます。
ロックができる開閉機構を備えていて、道具が抜け落ちるのを防ぐカラビナタイプのD型。
2本のレールの間にハンマーなどの柄を通して頭を引っ掛けるタイプのハンマー差し。
大小複数の道具を引っ掛けられるリングタイプのハンマー差し。

■ミニポーチ

 スマートフォンやメモ、ペンなどをいつも身につけて持ち歩きたいときに重宝するのがミニポーチです。ベルト通しのほかにカラビナがついていると、ズボンのベルトループなどに吊り下げるなど携帯方法も自由自在。作業中はもちろん、普段遣いの小物入れとしても活躍します。

3章:腰袋を選ぶ際のポイント

 作業内容や作業する人の道具の使い方によって、使い勝手の良い腰袋は異なります。自分にピッタリの腰袋を選ぶためにはどのようなところに注意すれば良いのか、いくつかのポイントを見ていくことにしましょう。

■POINT1:収納する工具に合ったサイズか

 腰袋はサイズが大きくて道具をたくさん収納できれば良いというものではありません。大きすぎてじゃまになったり、重くなって腰への負担になってしまうようでは、かえって作業の効率が落ちてしまいます。反対に収納スペースが小さすぎて道具を押し込むようになっては、出し入れしにくいうえに、道具を落としやすくなりかねません。持ち歩きたい道具が全部入ることを前提としつつ、使いやすさとのバランスを考えたサイズを選びましょう。

 また、道具の長さにポケットの深さが適しているかを確認することも重要なポイントです。カナヅチやドライバーを入れておくのにポケットが浅いと、ちょっとしたはずみで飛び出してしまう可能性があります。逆にクギやネジ、ビットなどを入れておくポケットが深すぎると、取り出しにくく不便です。収納したい道具の量や大きさを考えて、全体の収納量、ポケットの数や大きさなどをチェックしましょう。

■POINT2:整理しやすいか

 何種類もの道具を収納する場合、道具ごとに定位置を決めておくと作業中に素早く出し入れできます。自分の道具の使い方に合わせて整理しやすくできているかを確認しましょう。ひとつの腰袋で細かく整理したいのでしたら、収納スペースの仕切りや大小のポケット、ドライバー用やハンマー用のホルダーがついているタイプがオススメです。

 また、複数の腰袋を組み合わせて整理する方法もあります。頻繁に使うドライバーやペンチ、ラチェットレンチなどを個別のホルダーに収納するのでしたら、大きめの腰袋は仕切りの少ないシンプルなタイプにして使用頻度の低い道具をまとめて入れるようにしても良いでしょう。

■POINT3:耐久性はあるか

 腰袋に使われている素材は、一部に帆布がありますが、ポリエステルと皮革が主流です。ポリエステル製は価格が安価で種類が豊富。たいていの製品はしっかりとした厚みのある生地を使っているので、ちょっと引っ掛けたり、こすったりした程度で切れることはありません。ペンチやノミなどの刃先が当たる底部分にプラスチックを入れるなどの補強がされていると、長く使うにあたって安心です。

 ポリエステル製に比べて重くなるデメリットはありますが、革製も腰袋として十分な耐久性を備えています。刃物やネジ、クギを入れて使っても、簡単に穴があくことはありません。使い込むうちに柔らかくなったり、色が変わったりしますが、そうした経年変化を楽しみながら愛着を持って使いたい場合にオススメです。

4章:腰袋の使い方

■腰ベルトに取りつけるのが基本

 作業を始めるときにその都度、ズボンのベルトに取りつけるのでは手間がかかって仕方ありません。腰袋用の腰ベルトや安全帯の胴ベルトに取りつけて常にセットにしておき、腰ベルトを巻くだけで作業に取りかかれるようにしておきます。
腰袋を取りつけるために使う腰ベルト。写真のようなワンタッチ式のバックルは着脱が簡単です。
腰ベルトと一緒に使われることが多いのがクッション入りのサポートベルトです。収納する工具の数が多く重くなる場合に腰ベルトの内側に巻くと、腰の痛みを和らげることができます。
腰ベルトと組み合わせて使い、重量を分散して腰への負担を軽減するサスペンダーも用意されています。

■使いやすい配置に取りつける

 腰袋には通常の作業でよく使う本当に必要な道具だけを入れて、見なくても取り出せるように整理しておくのが理想です。腰袋を腰ベルトに取りつけるときには頻繁に使う道具ほど手を伸ばして無理なく届く位置にあるようにします。そのときに長い道具を手前、短い道具を後ろ寄りにしておくと、出し入れしやすくなります。

 またドライバーやペンチ、ハンマーなどの利き手で持ちたい道具と、ネジやノミなどの利き手と反対の手で持ちたいものを、それぞれ左右に振り分けて取りつけるのも使い勝手を良くするポイントです。こうした基本ルールを参考にして腰袋を取りつけてみて、実際に使いながらスムーズに作業できる配置を見つけましょう。

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