接着剤の種類と使い方

 DIYにおける組み立てや補修作業をはじめ、趣味の手芸や子供の工作など、接着剤は多岐に渡って接着の作業で大活躍してくれる必要不可欠なツールです。材質に特化したものから、あらゆる材質に対応できる多用途タイプまで幅広い種類があるのは周知の事実。しかし、用途に合わせた接着剤の性質、接着方法や仕上がりは意外と知られていません。
 そこで、知っているようで実は知らないことが多い接着剤の“奥深い世界”を紹介していきましょう。

目次
1章:接着剤とは
2章:接着剤の種類
3章:接着剤を選ぶポイント
4章:接着剤の使い方
5章:使用上の注意点

1章:接着剤とは

 接着剤は言葉のとおり、材質の点と点や広い面の接着・接合で使うものです。ひと口に接着剤といっても、その種類はとても多く、一般家庭はもちろん、建築、工業、農業、医療などさまざまな分野で活用されています。
 接着のメカニズムは、「機械的接着」「化学的接着」「物理的接着」の3タイプに分かれます。

◇機械的接着

多孔質の被着材(接着される材料)の表面の細かい凹凸に接着剤が入り込み硬化し、針のような役割で接着させます。こうした現象をファスナー効果、投錨効果とも呼ばれています。

◇化学的接着(化学相互作用)

被着材に接着剤が化学反応を起こし、分子同士が結合します。こうした現象を一時結合力と呼び、強い接着力が期待される共有結合や水素結合と呼びます。

◇物理的接着(物理相互作用)

分子間力(ファン・デル・ワールス力)とも呼ばれ、二次結合力ともいって接着剤の基本的な原理とされています。接着剤には“ぬれ”という状態が必要になり、被着材の表面がぬれ、その“ぬれ”の状態が固まることで接着されます。

2章:接着剤の種類

 物と物を接合する機能を持つ接着剤は、とても種類が多く、樹脂の性質や接着方法により異なります。ホームセンターやショッピングサイトで購入できる家庭向けの接着剤は、下記のような主な成分や硬化方法から分類されます。

●主な成分の分類

1)酢酸ビニル樹脂エマルジョン系

 水性でにおいが少なく、溶剤タイプよりも硬化時間がかかります。通常の状態は乳白色ですが、硬化後に透明になります。酢酸ビニル樹脂エマルジョン系の代表的なのが、木工用接着剤。なかでも“ボンド”の愛称で絶大な支持を誇るコニシの木工用ボンドが有名です。
DIYの接着剤のマストアイテムのコニシの木工用ボンド。

2)酢酸ビニル樹脂系

 高粘度ペースト状で初期接着力があり、充填効果を持った接着剤です。木材を始め、コンクリートやタイルなど、さまざまな材質に接着できるのが特徴です。ただし、耐水性や耐熱性を必要とする被着面には不向きなので注意してください。
木材の他に、発泡スチロールやコンクリート・ストレートなどの接着が可能。

3)エポキシ樹脂系

 無溶剤で2液を混ぜると、化学反応して硬化するタイプ。耐熱、耐寒、耐久性に優れ、硬化後も弾力性を保持し、耐振動性にも優れています。硬化時間が長いほど、固くなります。
プラスチックとゴムの接着に適している接着剤。
金属・ガラス・陶磁器の接着に適している接着剤。

4)シアノアクリレート系

 接着がスピーディーな“瞬間接着剤”は、シアノアクリレート系と呼ばれる有機化合物を主成分の接着剤。空気中のわずかな水分と化学反応して一瞬で硬化します。
1963年の発売以来、瞬間接着剤の代名詞として超ロングセーラーのアロンアルファ。

5)ゴム系

 ゴム系の接着剤は、ニトリルゴム系と合成ゴム系があります。初期接着力があり、弾力性に加えて柔軟性もあります。接着する両面に塗布し、乾かしてから表面を叩く感覚で張り合わせます。
ゴム、皮革、木などに対応した合成ゴム系の接着剤。

6)塩化ビニル樹脂系

 溶剤と溶質の両方の性質を持っている接着剤。身近なものでは、男性なら子供の頃に一度は組み立てことがあるプラモデル用の接着剤もこの分類に該当されます。瞬間接着剤ほどではありませんが、速乾性があります。接着する両面に塗布した後、多少の時間をおいて接合します。硬質用と軟質用に区別されているので用途に合わせて使い分けします。
硬質塩化ビニル菅用の接着剤。水道管など塩ビパイプの接着で使用します。
雨どい補修に適した接着剤。硬質塩ビを溶かして接着する。

7)ウレタン樹脂系

 1液と2液があり幅広い接着性を備えた接着剤。建築用としては1液が主流です。ポリウレタンやプラスチックの接着が可能で、硬化後は弾力性のゴム状の樹脂で衝撃吸収性に優れた効果を発揮します。耐水性や耐熱性にも優れています。
固着スピードと透明性を飛躍的に向上させた超速硬化タイプ。コンクリートやステンレス同士の接着も可能。

●主な硬化方法

接着剤は、接着面に塗布した後に固まっていく硬化方法によっても分類されます。大きく分けると4タイプです。

1)乾燥型
水分や溶剤が蒸発して硬化が進むもの。

2)化学反応型
化学反応が起きて硬化が進むもの。

3)熱溶融型
常温では固形だが、熱をあてることで接着剤を溶かして液状にして放冷して固着するもの。

4)威圧型
いつまでも粘着性を保持し、被着材に押し付けることで接着するもの。代表的なのが粘着テープです。

3章:接着剤を選ぶポイント

 接着剤を選ぶ際、単に“超強力”“瞬間”“速乾”などのワードだけで選んでいませんか?
 500種類以上の中から接着する素材に適合した接着剤を選ぶ場合、剤成分別の種類や性質を理解したうえで、「何と何を接着するか」と「使用目的」「作業条件」などがとても重要になります。

①何と何を接着するか

素材の材質や接着面の状態(凹凸、吸水性、サビ、硬さ、大きさ、重さ、塗装など)がどうなっているのか、接合部の形状はどうなっているのかなどを見分ける必要があります。これからの条件によって使用する接着剤が絞り込まれ、条件が合わない場合は接着不良になってしまいます。

②使用目的や使用後の環境はどんなところか

貼り直しするか、半永久的に接着をするのか、さらに充填の効果も求めるのかなどの用途で接着剤に求められるものが変わります。また、使用後の環境を考慮しいと接着後の不具合が起きてしまうので注意してください。耐水性、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐衝撃性などの性能を考慮して選ぶようにしましょう。

③作業条件は

一般的に求められる接着剤は、作業に支障が出ない接着時間で少ない塗布ですむ簡単な1液型です。なかでも、シアノアクリレート系、合成ゴムなどの成分は短時間で接着でき、多くの素材に接着可能なことから扱いに慣れてない人にも使いやすい接着剤です。ただし、成分によっては引火性や中毒性を懸念される溶剤を含んだものや、両面塗布などの制約があるので、購入前に商品の説明書や注意書きをチェックしましょう。

4章:接着剤の使い方

 用途に合わせてさまざまな種類がある中から適した接着剤を見つけても、正しく使わないと商品本来の接着力を得ることができません。そこで、確実な接着ができる一般的な木材での使い方を紹介します。

①下地処理をする

接着面の汚れ、油分、ゴミなどを、サンダーやサンドペーパーを使って取り除きます。表面が濡れている場合は乾いた布などで拭き取ります。金属の場合は、サビの付着も取り除いてください。また、皮やゴムの汚れはサンドペーパーで磨いた後、シンナー等を布に浸して接着面を拭きます。

②プライマーを塗る

接着面の素材自体が弱く、十分な強度が得られない場合は下塗り剤のプライマーを使用します。プライマーを塗って表面強度を補強して接着効果を高めます。

③接着剤を塗布する

基本的な塗り方は、なるべく薄く伸ばして均一に塗布する「片面塗り」の方法です。ただし、接着剤の種類や材料、大きさなどによって「両面塗り」「全面塗り」「クシ目ゴテ塗り」「点状・線状塗り」などの塗り方に変わってきます。
・片面塗り
木材やガラスなど、接着する材料の片方の接着面のみに接着剤を塗布し、すぐに接着させます。

・両面塗り
ゴムや皮などの材料の両方の接着面に接着剤を塗布します。すぐに接着させるのではなく、しばらく時間を置いて接着するのがポイントです。

・全面塗り
ハケ、ブラシ、ハンドローラーなどの手工具を使って接着面全体を塗布します。

・クシ目ゴテ塗り
コンクリート、木材、床面などの表面が荒い材料の場合は、ハケ塗りでは塗布量が不足してしまうため、クシ目の形状のものを使って塗布量を調整する方法です。

・点状・線状塗り
シアノアクリレート系の瞬間接着剤などを接着する際に塗布する方法です。

5章:使用上の注意点

 接着剤は簡単に扱え、どんな材料でも接着を可能にしてしまうとても便利なツールです。しかし、その反面、接着力が強力な分、トラブルの対処も身につけておかなければなりません。
 最も多いのが、作業中に謝って衣服や指に付いてしまうケースです。木工用の水性系などは湯水と石鹸で洗い落とすことができます。一方、接着が強力といわれているシアノアクリレート系の瞬間接着剤は、付いてしまった指を熱いお湯の中にしばらく浸してもみほぐしたり、マニュキュアの除光液を使って除去します。除去が難しい場合は、各メーカに問い合わせるか、取り扱い説明書をチェックして対処してください。
 また、接着した部材から接着剤がはみ出した場合は、すぐに拭き取りましょう。木工用接着剤は、水に濡らしたぞうきんで、ゴム系の接着剤は塗料液で拭き取ります。瞬間接着剤の場合は、専用のはがし液を使ってください。

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