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接合金物の種類と特徴
接合金物の種類と特徴
あたたかな木のぬくもりが感じられる木造住宅。見た目にも味わいがあり、日本の気候風土にも合っているうえ、木材は建材として価格も手ごろな点も非常に魅力的です。
それに、耐久性や耐震性に関しても最近の木造住宅にはあまり心配はいりません。なぜなら、柱や梁などの接合部には、効率よく緊結し、しっかりと補強してくれる
接合金物
が使われているからです。
接合金物は、家の外からは見えないものなので、普段はほとんど目にすることはありません。しかし、安心、安全な家づくりにはとても重要な役割を持っています。そんな、接合金物について、一体どのようなものなのか、その役割や種類、特徴などについてご紹介します。
目次
1章:木造住宅に接合金物が使用されるようになった理由
2章:接合金物とは
3章:接合金物の規格について
4章:接合金物の種類
まとめ
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1章:木造住宅に接合金物が使用されるようになった理由
柱を使って家を建てる、木造軸組工法(在来工法)の強度が問題視されるきっかけとなったのが、平成7年に発生した阪神淡路大震災です。この地震では数多くの木造住宅が倒壊しました。それは古い建築基準で建てられた住宅だけではありません。築年数の浅い、比較的新しい住宅でも、同じように地震の力に耐えきれずに、いくつもの住宅が倒壊してしまったのです。
その後に行われた被害調査結果では、住宅を支える重要な構造物である柱や梁などの接合部が、地震の力によって抜けて(ホゾ抜け)しまっていたことがわかりました。そのために建物はその構造を保つことができず、倒壊してしまったのです。
当時の木造建築は、基礎の上に土台が乗っており、土台にほぞ穴という穴があけられ、柱はこのほぞ穴に上から差し込まれ、かすがいなどで抜け防止が行われていました。
しかし、かすがいだけでは、地震の大きな揺れには耐えられずに柱がホゾ抜けを起こしてしまい、住宅が倒壊してしまったというケースが少なくなかったのです。
このことがきっかけとなり、以後、木造住宅の柱や梁、継ぎ手、筋交いなどの接合方法や、その強度が大きく見直されることになりました。
そして、平成12年(2000年)5月に
建築基準法施行令
の改正と告示の制定・改正がなされ、同年6月に新たに
『建設省告示1460号』
が施行されたのです。
これによって、木造住宅(木造軸組工法の建築物)の柱などが、地震時や台風時に抜けないようにするための柱頭(柱の上部)と柱脚(柱の下部)の補強方法や、接合金物によって補強することが法律で定められました。合わせて接合金物についても、厳しい品質基準が設けられています。
この建設省告示1460号が施工された後に建設された木造住宅は、厳しい基準をクリアした接合金物によってその木造の構造が支えられるようになり、耐震性が大きく向上しています。そのため、阪神大震災の以後も、日本はいくつもの大きな地震に見舞われましたが、地震による木造住宅の倒壊に関しては大幅に減少したとされています。
2章:接合金物とは
現在の木造住宅では、柱や梁、筋交いなどの継ぎ手部分に金物が使用されており、接合強度が大きく補強されています。そして、その補強のために使用される金物が接合金物です。補強金物や構造金物とも言われています。
接合金物には、壁の筋かいの端に使用するもの、柱の頭や脚部に使用するもの、また継手などに使用するものや、仕口に使われるものなどいくつもの種類があります。
これらは使用する場所や種類によって使い分けなくてはならず、また、性能や品質の確かな接合金物を選ぶことが重要となります。そのために接合金物には明確な規格が設けられているのです。
3章:接合金物の規格について
木造建築の住宅に使用する接合金物は、品質が高く、耐力等の性能に優れた、建設省告示1460号に対応したものを使用しなければならないと定められています。そして、建設省告示1460号に対応した接合金物には、その品質や強度を保証するいくつかの規格があります。
そのうち国土交通省・農林水産省が設立する、公益財団法人日本住宅・木材技術センターが定めた接合金物規格をクリアし、安定的に供給できると評価され、さらに製造の承認を受けたものが『Zマーク金物』です。製品にはZマークが表示されています。
また、同じ日本住宅・木材技術センターで性能試験を行い、Zマークと同等の品質と性能であると認定された接合金物が、『Dマーク金物(同等認定金物)』です。
さらに、公的評価機関によって品質や性能を確認され、日本住宅・木材技術センターにより評価、認定されたものが『Sマーク金物』です。
接合金物は、製品ごとにこれらZマークやDマークの刻印が表示されています。そのためそのマークを確認することで、その製品が建設省告示1460号に対応した接合金物であるかどうかがわかり、安心して使用することができるのです。
4章:接合金物の種類
接合金物は、土台や柱、梁、屋根など、接合する箇所に応じて、様々なものが使い分けられています。その中でも代表的なものをいくつか紹介しましょう。
●筋交い金物
筋かい(柱と柱の間に斜めに入れて建築物を補強する部材)と柱を接合するために使用する金物が筋交い金物です。筋交いプレートや山形プレートなどがあります。
●かど金物
柱と土台、柱と横架材の接合に使われる金物がかど金物です。T型やL形などがありコーナー部分に使用されます。
●短冊金物
梁の接合部や、柱を介しての接合部を連結するための短冊形をした補強金物が短冊金物です。平(ひら)金物とも呼ばれています。
●ホールダウン金物(引き寄せ金物)
地震時や台風時など建物が水平方向の力を受けた際に、柱が土台や梁のホゾがから抜けるのを防ぐ補強金物。柱脚(柱の下部)と柱頭(柱の上部)の両方に取りつけます。
●羽子板金物(羽子板ボルト)
地震や台風などで、建物に外からの力が加わった際に梁がホゾから脱落するのを防ぐための補強金物が羽子板金物です。梁の両端部に取りつけます。
●かすがい
柱と横架材(梁や桁、柱などに対して、直角に渡す部材のこと)などの緊結(金具などで結合すること)に使うコの字形の接合金物。
まとめ
木造住宅の耐久性や耐震性の向上に大きな役割を果たしている接合金物。現在の木造建築では、その使用が必須であり、形や種類に様々なものがあるということがお分かりいただけたでしょうか。
接合金物は家の構造を支えるとても大切な金物ですが、あくまで裏方の存在であり、完成した家では住人が目にすることはまずありません。しかし、そんな接合金物がなければ私たちは安心して木造住宅に住むことはできないのです。
建築にかかわる人間でないかぎり、接合金物を使用する機会はないかもしれませんが、このような存在が私たちの安全な暮らしを支えてくれているということは知っておいて決して損はないはずです。
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