ヒートンの種類と取りつけ方のポイント

 お気に入りの額やパネルを壁に吊り下げたり、ハンドメイドのアクセサリーにチェーンなどをつなぐ際に便利なのがヒートンという金具です。ヒートンというその名称は知らなくても、額縁の枠などにねじ込まれている環状の金具といえば、だれでも一度は目にしたことがあるはずです。
 ヒートンをDIYで製作したものなどに取りつけると、飾り方などのバリエーションも増え、楽しみ方を大きく広げてくれます。そんなヒートンについて、その種類の違いや使用するうえでのコツ、取りつける際のポイントなどをご紹介します。

目次
1章:ヒートンとは
2章:ヒートンの種類
3章:便利なヒートン回し
4章:ヒートンの取りつけ方のポイント
まとめ

1章:ヒートンとは

 額や看板などを飾る際、皆さんはどのようにしているでしょうか。棚などに立てかけるのが簡単ですが、それでは場所を取りますし飾る位置も自由に選べません。部屋の様々な場所に飾るには、壁などに金具などを介して吊り下げるというのがスマートでしょう。そしてそのようなときに使用する金具の代表がヒートンです。
 ヒートンは英語で「Eye bolts(アイボルト)」や「Screw eye(スクリューアイ)」と呼ばれています。多くの場合金属でできており木ねじのような形状をしていますが、その名の通り頭の部分には目のような環状の部分があり、そしてその反対にねじが切られています。ねじ部分を木製の額縁や、壁などにねじ込むことで、様々なものに紐やチェーンなどを通すことのできる便利な環を取りつけることが可能となるのです。
 また、手作りのアクセサリーやチャームなどに小さなヒートンを取りつけることで、チェーンなどにつなぐことが可能となりアクセサリーとしての可能性を広げることも可能です。アクセサリー用のヒートンは色やデザインのバリエーションも豊富で、それ自体にアクセサリーを装飾する役割を持たせたものなどもあります。うまく使い分けることでハンドクラフトのアクセサリーの価値を高めることができるかもしれません。
ヒートンは、額などに取りつけ、紐やチェーンなどを通し壁などに吊るせるようにする金具。

2章:ヒートンの種類

 多くの場合ヒートンは1本の金属棒でできており、片側が丸く環状に曲げられており、もう片側にねじが切られた木ねじのような形状になっています。環の部分は閉じたものが一般的ですが、輪が若干開いている口開タイプや、形が丸ではなく菱形や小判型をしたタイプなどもあります。
 また、似たような金具に洋灯吊(ようとうつり)というものもあります。こちらはねじの反対側がヒートンのような環ではなく“?”の文字のような形状をしているものです。この洋灯吊はもともと照明などを引っ掛けておくためのもので、口開タイプのヒートンに較べてフック部分の隙間が大きく開いているのが特徴です。
 またネジの反対側を単にL形に折り曲げたタイプもあります。こちらもヒートンと同じように、壁などに取りつけフックなどに使用します。こちらは洋折(ようおれ)と呼ばれる金具です。
 それぞれ様々な大きさのものがあり、材質はスチールや真鍮、ステンレス、アルミなどが使われています。クロームメッキや金メッキ、また樹脂などでコーティングされた装飾性の高いものなどもあり、取りつける額縁や看板などのデザインに合わせて選ぶことが可能です。
 さらに、ハンドクラフトで作製したアクセサリーやチャームなどに取りつけるための小型のヒートンもあります。こちらは、チェーンなどをつなげるためのもので、クロームメッキや金メッキなどが施されたり、ヒートンそのものに装飾が施されたものもあります。
 取りつけ方は、ねじ込むものだけではありません。アクセサリーなどは比較的軽量で、さほど強度が必要ないので接着して取りつけるタイプなどもあります。接着タイプでは、ピンバイスなどで小さな穴をあけてからねじの切られていないピン部分を差し込みUVレジンなどで接着するものや、ピン部分がなくヒートンを直接接着するものなどがあります。
 強度的にはねじ込みタイプのヒートンの方が優れていますが、UVレジン製のハンドクラフトアクセサリーは穴をあける際に傷をつけてしまったり、穴をあけたことで透明度が失われてしまう場合があります。ヒートンをUVレジンで接着すればそのようなミスが起こりにくいというメリットがあります。
 そのほかにも、身近なヒートンとしては、浴槽と浴槽の栓をつないでいる浴槽用ヒートンなどもあります。浴槽部分にねじ込まれている浴槽ヒートンは浴槽の種類によって簡単に交換できるものと、浴槽の裏側からナットで固定されておりDIYでは交換の困難なものがあります。交換用浴槽ヒートンも他のヒートン同様にホームセンターなどで簡単に入手することが可能です。

●ヒートン

ヒートンは環になっている部分が閉じている。カラーは金や銀のほかブロンズカラーなどもある。

●洋灯吊

ヒートンに似ているが、洋灯吊は“?”の文字のような形をしているオープンタイプ。フック部分の隙間が大きく開いている。

●洋折

L字型をした金具が洋折。壁などに取りつけてチェーンや紐などを吊り下げる。

●アクセサリー用ヒートン

アクセサリーなどに取りつける小型のヒートン。レジンでできたペンダントヘッドなどにピンバイスで穴をあけて取りつける。

●差し込みヒートン(ヒートンキャップ)

ねじが切られていないアクセサリー用ヒートン。接着剤やUVレジンなどで固定する。キャップ状になっていて装飾性も高い。

●貼りつけヒートン

脚の部分がない貼りつけタイプのヒートン。穴をあける必要がないので繊細なものにも取りつけられる。UVレジンなどで接着して使用する。

●浴槽用ヒートン

浴槽の栓につながるチェーンを浴槽に吊り下げるための専用ヒートン。

3章:便利なヒートン回し

 一般的なヒートンは、取りつける対象にヒートンのねじ部分を押しつけ回転させながら、ヒートン自体でねじを切るようにして取りつけます。ねじ込む対象に十分な厚みと強度があり、またヒートン自体をしっかりと奥まで垂直にねじ込むことができれば、高い強度が期待できます。しかし、何本ものヒートンを取りつける場合、素手で作業するのは手も滑りやすく力も必要なので大変です。そのような場合は専用の「ヒートン回し」という工具を使用するのがオススメです。
 ヒートン回しは、ドライバーのグリップのようなものに直線の溝が刻まれただけのとてもシンプルな工具です。このグリップの頭にある溝部分にヒートンの頭を挟み、グリップを回転させてヒートンをねじ込んでいきます。素手では滑りやすいヒートンですが、ヒートン回しがあれば溝部分がしっかりとヒートンの頭部分をつかむので、滑ることもなくスムーズに力を加えることができます。いくつものヒートンをねじ込む必要がある場合にはとても便利な工具といえるでしょう。
 もし、ヒートン回しが手元にない場合は、ドライバーの軸部分を使用します。ヒートンの環の部分にドライバーの軸を差し込み、ドライバーを時計の針のように回転させれば大きな力を必要とせずヒートンを深くねじ込むことが可能です。ドライバーを使用する際はヒートンが曲がらないように垂直を保つように注意しながらねじ込むようにしてください。
ヒートン回しはこのようなドライバーセットのグリップと兼用になっているものが多い。樹脂のパーツに溝が刻まれていて、ここにヒートンの頭を挟み回転させる。

4章:ヒートンの取りつけ方のポイント

 額などにヒートンを取りつける際のポイントをご紹介します。まずはヒートンを取りつける箇所に、キリなどで下穴をあけます。下穴はヒートンの軸部分よりも少し細めの径にしてください。太すぎるとヒートンのねじ部分が食い込まずしっかり固定できないので注意してください。
 またこの下穴が、ヒートンをねじ込む際のガイド穴にもなるので、できるだけ垂直に穴をあけるようにしてください。
 下穴をあけることができたら、その下穴をガイドとして、ヒートンのねじ部分を穴に差し込み、軽くねじ込みます。最初は素手で回していきましょう。ここは完全にねじ込むのではなく、位置決めのための仮固定程度にします。手で回すのが硬くなったと感じたら、ヒートン回し、もしくはドライバーの軸を使ってしっかりとねじ込んでいきます。
 ペンチなどでヒートンの環部分をつかみ、ねじ込んでも構いませんが、その場合はペンチでヒートンを傷つけてしまう可能性があるのでペンチの先にウエスなどをかませてヒートンに傷がつかないように注意しながら施工しましょう。最後までしっかりとねじ込むことができたら、ヒートンを軽く引っ張り抜けないことを確認し取りつけ完了です。

■ヒートンの取りつけ方

●まっすぐに下穴をあける

キリなどを使用して下穴をあけます。穴が斜めにならないよう注意してあけてください。

●手でヒートンを軽くねじ込む

キリであけた穴にヒートンを差し、素手でヒートンを回し仮固定します。

●ヒートン回しかドライバーの軸でしっかりねじ込む

ヒートン回しを使い、ヒートンが斜めにならないようにしっかりと回転させながらねじ込みます。ヒートン回しがあれば軽い力でねじ込むことが可能です。
ヒートン回しがない場合は、このようにドライバーの軸をヒートンの環に差し込み回転させると楽にねじ込めます。

●軽くひっぱり抜けないことを確認して取りつけ完了

最後に取りつけたヒートンを指で引っ張り抜けないことが確認できたら取りつけ完了です。額に取りつける場合は左右バランスよくヒートンを2つ取りつけましょう。

まとめ

 ねじ込むだけで簡単に取りつけられる環状の金具ヒートンは、額縁や飾りボードなどのDIY作品や、ハンドクラフトで製作したアクセサリーに取りつけることで楽しみ方を大きく広げてくれます。
 本来は額や鏡などを吊り下げるのための実用的な金具ですが、ブロンズ風、アイアンタイプなど表面の仕上げやデザインなどに凝ったものなども豊富に揃っているので、DIY作品にちょっとした装飾を加える目的に使用しても面白いでしょう。紹介したように取りつけ方もとても簡単なので、フックなどのついていない道具に取りつけてみても便利でしょう。ぜひうまく活用して生活の様々なシーンでヒートンを役立ててみてください。

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