ゴムスポンジの種類と特徴

 柔らかく弾力性があり、内部にたくさんの気泡があってつぶしてもすぐに復元するスポンジ(スポンジゴム、ゴムスポンジ)。暮らしの中の様々なシーンで欠かせないものといえるでしょう。キッチンの洗い物用スポンジから椅子のクッション。ほかにも建築材や機械製品などの吸音材にフィルターや保冷材など様々な用途で使用されています。
そんなスポンジですが、実はその機能や構造、原材料の違いによって様々な種類があるのをご存じでしょうか。

 また、なじみ深いゴムスポンジとウレタンフォームは、見た目は似ているけれど同じものなのでしょうか。身近なものなのに意外に知らないスポンジについて、その種類の違いや特徴をご紹介します。

目次
第1章:スポンジとは
第2章:独立(単独)気泡スポンジと連続気泡スポンジ
第3章:ゴムスポンジの硬度とは
第4章:ゴムスポンジの種類
まとめ

第1章:スポンジとは

 そもそもスポンジとはなんなのでしょう。一般的にはゴムやウレタンなどの素材を、人工的に発砲させ、フォーム状にしたものというイメージではないでしょうか。しかし、本来スポンジとは海に住む水生生物である海綿動物(英語でsponge)のことなのです。海綿は無脊椎動物の一種で、体中に孔のあいたクラゲのような生き物で体は海綿質繊維(柔らかいスポンジ状の繊維質)のみでできています。

 ヨーロッパなどで古くから実用的なスポンジとして主に使用されてきたのはモクヨクカイメンといわれている海綿で、それを繊維状の骨格のみに加工したものがパッキンや体を洗う素材として使用されていたのです。今でもモクヨクカイメンを加工したスポンジが高級なスポンジとして販売されています。100%天然素材でありきめが細かく、肌に優しいソフトな感触が得られるということから、高級ボディスポンジやメイクスポンジとして愛用されている方も少なくありません。

 そして、そんな天然のスポンジ(海綿動物)を模して、ゴムやウレタンなどで作られたのが人造の合成スポンジ、いわゆるゴムスポンジ(スポンジゴム)なのです。どのようにスポンジ状にするのかというと、ゴムに有機発泡剤や架橋剤、軟化剤、補強剤を練り込み密閉された型に注入します。すると発泡剤の熱分解によって内部でガスが生じ、そのガスが多孔性の発泡構造を形成するのです。

 また、ラテックスなどを機械的に泡立てて、スポンジ状にふくらませ、そのまま固めるという方法もあります。製造方法や構造が違いますが一般的にはどちらもゴムスポンジとして扱われています。

第2章:独立(単独)気泡スポンジと連続気泡スポンジ

 ゴムスポンジは内部に細かな孔が無数に空いた多孔質構造を持っています。さらにゴムスポンジは孔(気泡)の構造の違いによって大きく2つに分けることができます。1つが独立気泡スポンジと呼ばれるものです。このタイプは気泡がそれぞれ完全に独立して並んでおり、ゴムスポンジ内部を気体や液体が通過することができません。そのため、液体が入りこまず水にも浮くため水泳用の補助具やライフジャケット、液体や気体を収める容器のシーリング材(パッキン)などに使用されています。

 さらに熱伝導率が低いため保湿や保冷材・断熱材としても優れた効果を発揮します。ただ、物理的な強度は高いですが限界を超えて圧縮すると中の気体が外へ出てしまい構造が破壊されてしまいます。

 もう1つのタイプが連続気泡スポンジです。こちらは気泡同士が繋がっており、スポンジ内部を気体や液体が通過することが可能です。そのため吸水性、吸湿性に優れています。キッチン用の食器洗いスポンジや洗車用スポンジなどはこちらのタイプです。また、気体なども通過できるため気泡内に音を取り込み反射させ熱エネルギーに変換することが可能です。この特性を生かして消音、防音効果を持たせた吸音フォームなどとして使用されています。

 独立気泡スポンジと違い、圧縮すると中の空気が排出され、圧縮を解放すると再度空気を含んで元に戻るため復元力に優れています。その特性を生かしてクッション材やフィルター、吸音材などに使用されています。

第3章:ゴムスポンジの硬度とは

 家庭で使用されるキッチン用スポンジなどではあまり意識することはないかもしれませんが、シール材やクッション材、建材などに使われるゴムスポンジには様々な高度のものが用意されています。スポンジの硬度は、専用のスポンジ硬度計(主に使用されているのはアスカーC型[SRIS-0101]デュロメータ)によって測定されており、製品パッケージやメーカーのカタログなどに記載されています。

 その硬度は20や65など2桁の数字で表記され数字が大きいほど硬度が高いということになります。この数字だけ見ても比較対象がないとどれくらいの硬さかイメージしにくいですが、大まかに硬度15で事務椅子のクッション材程度の硬さ。硬度20が人の手のひらの硬さで、消しゴムがだいたい硬度53くらいとされています。業務用で使用されるゴムスポンジでは、このような高度の数値とゴムスポンジ自体の厚み、さらに素材の特性などを考慮して、使用目的に適したゴムスポンジが使用されています。

第4章:ゴムスポンジの種類

 ゴムスポンジは、天然ゴムや様々な合成ゴムが原料として使用されています。そして、使用されるゴムの種類によってその特徴が変わってきます。主なゴムスポンジの特徴は以下のようになります。

●NRスポンジ(天然ゴム)

NRは天然ゴムのことで、NRスポンジは天然ゴムスポンジのこと。特徴は合成ゴムでは得られない弾性や耐摩耗性、耐寒性や引張強度を持ち加工性も高いということ。しかし耐熱性、耐油性、耐候性、耐オゾン性はあまり高くありません。主に耐摩耗性や強度を必要とする工業用パッキンや防振ゴム、大型タイヤなどに使用されています。

●CRスポンジ(クロロプレンゴム)

CRゴムスポンジは幅広い用途に使用されているゴムスポンジです。ある程度の耐油性や耐熱性を持ち、さらに耐候性や耐オゾン性にも優れています。とびぬけた特徴はないのですが幅広い条件に平均的に優れた特性を持つため、耐油性や耐候性を必要とする一般工業用ゴム製品などに広く用いられています。

●EPDMスポンジ(エチレンプロピレンゴム)

耐オゾン性、耐化学薬品性、耐熱性、電気絶縁性が優れているのがEPDMスポンジです。耐油性に乏しいという欠点があるものの、一般工業ゴム製品や各種機械用として、また建築土木分野や、電気、化学工業製品のパッキング材などに幅広く使用されています。

●NBRスポンジ(ニトリルゴム)

アクリルニトリルゴムとブタジエンの共重合体がニトリルゴム。このゴムを使用したゴムスポンジは、優れた耐油性と、耐摩耗性を持っているのが特徴です。そのため主に、耐油性を必要とする工業用ゴム製品のパッキンやオイルシールなどに利用されています。またNRゴムなどに比べて油分にも強いという特徴からメイク用のパフなどにも使用されています。

●Siスポンジ(シリコンゴム)

シリコンゴムスポンジはシリコンを材料としたゴムスポンジで、優れた耐熱性を持っているのが特徴です。また、耐寒性や耐オゾン性、電気絶縁性にも極めて優れており非常に軽量でもあります。耐用温度範囲は-60から+200℃と幅広く高度な機能を要求する工業部材などに使用されています。

●SBRスポンジ(スチレンブタジエンゴム)

天然ゴムであるNRと似た特性を持つ汎用合成ゴムがSBR。そのため天然ゴムの代用や、NRゴムのブレンド用として多く使用されます。そのSBRを使用したゴムスポンジがSBRスポンジで、一般工業用や衝撃緩衝材、また土木伸縮目地材などとして使用されています。天然ゴムと似た特性を持ちまた比較的安価なことからメイク用のパフの素材などにも使用されています。

●ウレタンスポンジ

ポリウレタンなどの合成樹脂を材料とし、発泡成形したのがウレタンスポンジ。ウレタンフォームとも呼ばれます。大きく分けて軟質ウレタンフォームと硬質ウレタンフォームがあり、軟質はクッション性や耐久性に優れ、硬さのバリエーションが豊富なためマットレスやクッション材として使用されます。硬質は断熱性が高く、主として住宅用の断熱材などに使用されています。

まとめ

 普段私たちがゴムスポンジを手にするのは食器洗い用のスポンジや、ボディソープ用のスポンジ、女性ならメイク用のパフぐらいでしょうか。しかし、実はゴムスポンジは大型機器のシール材や空調用のフィルター、防音材、住宅の断熱材など私たちの目に見えない、暮らしの様々な場所で幅広く使用されており、欠かせない素材の1つとなっています。

 そんなゴムスポンジは見た目にはどれも同じように思えても実は材料や構造、硬さや性質にも違いがあるということをご紹介しました。普段の暮らしの中ではここで紹介した業務用のゴムスポンジを使用する機会はあまりないかもしれませんが、ゴムスポンジそれぞれの特徴を理解しておけば、例えばDIYなどで役に立つかもしれません。断熱や防音、クッション材として便利に使ってみるのもオススメです。ホームセンターなどに行くと様々な素材を使用したゴムスポンジが販売されていますので、機会があればぜひ興味を持って目を向けてみてください。

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