桐集成材とは?
木材の特徴と用途を解説

 桐といえば和タンス、桐箱などに使われる高級材のイメージがあります。実際、DIY初心者にとっても木工の材料として馴染みがなく、多くの人には性質すら知られていないのではないでしょうか。それではもったいない! ということで、この記事では身近な桐材としてホームセンターなどで容易に入手できる桐集成材に注目しました。ほかの木材と一味違う桐の性質について解説するとともに、集成材ならではの種類や用途について解説するので、材料選びの参考にしてください。

目次
1章 桐の特徴
2章 桐の集成材は無垢材とどう違う?
3章 桐集成材の主な種類
4章 桐集成材の用途と注意点
まとめ

第1章 桐の特徴

 桐はゴマノハグサ科キリ属の落葉広葉樹で、樹高が10m程度になる高木です。樹木としての成長はとても早く、短期間で木材を取ることができる樹種としても知られています。

 原産は中国大陸で飛鳥時代のころに日本で植栽されるようになったと考えられていて、現在国内では北海道南部から鹿児島にかけて生育しています。国産木材としては、岩手、福島、新潟などが産地として知られていますが、最近は中国、アメリカ、南米などから輸入された桐材も多く流通しています。

 材料として見た場合、桐は独立気泡構造というほかの樹種にはない特有の組織構造を持っています。これは発泡スチロールと似た構造で、空気層が多く、比重は0.19〜0.3g/cm3と軽い木材です。ホームセンターへ行く機会があったら、店頭で杉や檜などと比べてみるとよいでしょう。同じサイズであっても違いは歴然、実際に持つとその軽さに驚くでしょう。

 日本では、桐は古くからタンスや高級な工芸品の収納箱として使われてきましたが、木材としての性質を知ればそれも納得です。空気層が多いことは断熱性や調湿性の点でもメリットがあります。タンスや箱などに使うと、湿度が高いときには吸湿して膨張するため、気密性が高まって内部に湿気が侵入するのを防ぐのです。反対に、乾燥しているときには収縮して通気性が高まるので、内部は蒸れにくくなります。温度変化も小さく内部の状態を一定に保つことができることから、湿度の高い日本で大切なものの収納用として使われてきたというわけです。

 そのほかの桐の特徴としては、収縮率が低くて反りや狂いが小さいこと、接着しやすくはがれにくいことなどがあげられます。強度は高い方ではないので、傷がつきやすく、大きい荷重がかかるような用途には適していません。

第2章 桐の集成材は無垢材とどう違う?

 桐材は、製剤と加工の違いから、無垢材と集成材の2種類があります。一般的な印象として、自然のままの木をいかしている無垢材のほうが良質であると思いがちですが、無垢材と集成材は同じ桐を原料にしていてもそれぞれに特徴が異なり、どちらが適当かは使用する条件によって変わってきます。

 では、無垢材と集成材はどう違うのか、それぞれの特徴を見ていきましょう。

無垢材の特徴

 無垢材は、丸太から使うサイズに切り出したものを乾燥させてそのまま使用する木材です。自然な木目の表情や色味、香りなどを楽しむことができ、長く使っていると経年による色の深みやツヤが増すなどの変化を味わうことができます。また、湿気が多いときには空気中の水分を吸って膨張し、乾燥しているときには水分を放出して収縮するという、木材本来の調湿作用をそのまま残しているのも特徴です。

 無垢材のデメリットは、切り出した木の性質がそのまま反映されるため、木が育った地域や立地、成育年数、大きさなどによって木材としての品質にバラつきがあることです。大きい木材を切り出すためには長く生育させる必要があり、良質な木材を取るにはさらに産地などが限られるため、希少なものほど高価になります。

集成材の特徴

 集成材は、同じ樹種の木から一定の大きさに製材された板、または小角材を乾燥させ、節や割れなどの欠点のある部分を取り除いてから、繊維の方向をそろえて接着剤で接合した木質材料です。薄く切り出した木材を、繊維が直交するように重ねて張り合わせる合板よりも、見た目や性質が無垢材に近く、また桐を含め、パインや杉、アカシアなど樹種が豊富なこともあって無垢材の代用材として建築や家具製作でよく使われています。

 複数の木材を組み合わせて加工する工業製品である集成材は、あらかじめ設計したサイズや強度、品質などに合わせて作ることができます。加工段階で木材を十分に乾燥させているうえ、張り合わせによって膨張・収縮の力が分散されるため、反りなどの変形が起こりにくい点も、無垢材との違いです。

 集成材は原料となる木を無駄なく使用できる製造方法を採用してるため、無垢材に比べて安価に流通しています。小さいものから大きいものまで用途に合わせたサイズの木材を比較的安価に入手できることは、DIYで使ううえでもとても魅力的です。

 無垢材そのままの自然な風合いや表情の美しさを求めることはできませんが、実用面でのメリットは大きいので、DIYでも用途に合わせて賢く利用したいおすすめの木材といえます。

第3章 桐集成材の主な種類

 さまざまなサイズや形状に加工できる集成材のメリットをいかして、桐集成材も多くの種類が用意されています。無垢材では高価になり、とてもDIYでは使えないようなサイズであっても、比較的手ごろな価格で入手できるのがうれしいところです。ここではホームセンターなどで販売されている主な桐集成材を紹介します。

天板、側板向きの材料

 厚さは6〜18mm、幅は500mmほどまで、長さは1800mmまでのサイズが用意されています。木目が素直なため板の継ぎ目が目立たない場合も多く、大きいサイズのものでも表情がとてもきれいです。衣類など大切なものを保管する収納棚や収納箱、天板の材料などに適しています。

枠、引き出し向きの材料

 厚さ24mmなどの角材は枠や支柱の材料として、幅が60mm、90mmなどの板材は引き出しや箱物の側板の材料として使いやすいサイズです。

和風のインテリアに向く材料

 バーナーで焼き付けて炭化させた後、表面をロウでコーティングした焼桐集成材は、塗装では出せない雰囲気の面白い材料です。焼き仕上げによって木目が鮮明になり、ダークブラウンのカラーとあいまって、落ち着きのあるインテリアや家具の製作などに利用したくなります。和風や和モダンのイメージにもぴったりです。

 円形や一辺を直線カットしないでナチュラルに仕上げた「耳付き」の板材など、デザイン加工されたものも用意されているので、製作のアイデアにつなげると面白いでしょう。

棚用の材料

 加工してある溝に板材をはめ込んでネジどめするだけで、簡単に多段タイプの棚を作ることができるDIY向きの支柱も用意されています。600mm、900mm、1800mmなど、作りたい棚の高さに合わせて長さを選ぶことができます。

第4章 桐集成材の用途と注意点

 軽くて反り・狂いが少ない桐集成材は、DIY初心者でも扱いやすく、さまざまな木工製作の材料としておすすめできます。ただ、注意したい点が2つあります。ひとつは強度があまり強くないので、重量物を支える場所への使用に向かないことです。衣類棚、小物棚、飾り棚、引き出しなどの材料として最適ですが、重量がかかる本棚などには使用しないほうがよいでしょう。せっかくDIYで作るので、安全に長く利用できるように用途を検討しましょう。

 2つ目の注意点は塗装についてです。桐はほかの樹種に比べて調湿性に優れた木材です。表面に塗膜をつくる塗料を塗ってしまうと調湿性が損なわれるので、桐の特徴をいかしてタンスや収納箱を作りたい場合は、無塗装もしくは造膜しない水性ステイン塗料などを使って仕上げましょう。

まとめ

 集成材といえば流通量の多いパイン材が代名詞のようになっていますが、表情や特徴の異なるほかの樹種にも目を向けてみたいもの。今回紹介した桐集成材は、軽く、変形が少なく、調湿性に優れるなどの桐の特徴を備えているため、作品によってはパイン集成材を使う以上の仕上がりにできる可能性があります。集成材を材料とする際は、桐集成材も選択肢に加えておき、作品づくりの幅を広げてはいかがでしょうか。

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