石膏ボードの補修方法 画鋲の穴やひび割れの直し方

 画鋲やネジを外したあとに残った壁の小穴。何かをぶつけてできてしまった壁のへこみや穴。目につくところにできた壁の傷みは気になるものです。壁紙だけならまだしも、壁材の石膏ボードまで破損していると、自分で直すのは難しく思えます。

 もちろん専門の業者に依頼すれば安心ですが、DIY経験のある方なら手早く自分で直したいと思うのではないでしょうか。破損の大きさによって作業の難易度は異なるので、まずは自分でできる範囲かを判断することから始めましょう。この記事では業者に依頼する場合との費用比較、破損箇所の大きさ別の補修方法などを紹介します。石膏ボード壁を補修したいときの参考にしてください。

1章:石膏ボードが劣化、破損する原因
2章:石膏ボードのよくあるトラブル
3章:石膏ボードの補修にかかる費用
4章:アパートなどの賃貸でも自分で修理できる?
5章:石膏ボードの補修に必要な基本アイテム
6章:石膏ボードの補修方法
まとめ

1章:石膏ボードが劣化、破損する原因

石膏ボードとは

 石膏ボードとは、加圧形成した石膏を芯材に使用し、両面をボード用原紙ではさんで板状にし、統一した規格で作られた建築用内装材料のこと。プラスターボード(plaster boad)ともいいます。耐火性、断熱性、遮音性に優れ、また加工がしやすく安価であることから、現在では住宅用の戸建てやマンション、オフィスビルなどの壁や天井に、新築、リフォームを問わずもっとも多く使われている材料です。

 標準の石膏ボードのほか、用途によって化粧石膏ボード、耐水・防火石膏ボードなどが使い分けられています。

石膏ボードが壊れる原因

 石膏と紙の繊維が結合して1枚の板になっている石膏ボードは、木材である合板などとはまったく性質が違います。面で押すような力にはとても強いのですが、表面の紙を突き破るような点の力を受けると、簡単に破損するという弱点があります。硬いものや重いものの角をぶつけたり、素振りをしてバットの先端をぶつけたりすると、いとも簡単に破損し、穴があいてしまいます。

 また、防水仕様ではない一般的なタイプの石膏ボードは、湿気を吸いやすところも短所です。結露が発生しやすい場所などに使うと、カビが発生したり、膨らんでもろくなったりします。もちろん雨漏りなどには要注意です。水分を含んだ状態のときは、軽い衝撃でも破損しやすくなっています。

2章:石膏ボードのよくあるトラブル

日常的にできる小さい傷み

 壁に物をぶつけるような、突発的なアクシデントが起きなくても、壁が傷むことはよくあります。その代表的なものが小穴です。カレンダーや子供の書いた絵をとめておいた画鋲の穴、額縁や飾り棚を取りつけていたネジの穴は、そのものを外した後にポツンと壁に残ります。照明器具や棚の取り付け位置を間違えて、ネジ穴をあけてしまうこともあるでしょう。小さいものでも目の高さにあったり、淡色の壁紙だったりすると、思っていた以上に気になるものです。

 画鋲やピン程度の小穴でしたら、壁紙補修材や絵の具を使った簡単な作業で目立たなくすることができます。しかし、ネジであけた穴をふさぐとなると、下地である石膏ボードを補修する方が良い場合もあります。

 また、開閉する頻度が高いドアや窓の近くでは、振動の影響が積み重なって、石膏ボードにひび割れができることがあります。壁下地のひび割れは、壁紙の上からでもはっきりとわかりますから、気になる場所にできたら、早めに補修することをオススメします。

小穴の簡単な補修方法

●穴を目立たなくするには

 画鋲やネジを外してできた穴を、目立たなくするだけでしたら、壁紙用の穴埋め材を使って簡単に補修できます。
(1)画鋲やネジを抜くと、穴の周辺が盛り上がっていることがあります。指で押したり、毛羽立っている部分をカッターできれいに切り取ったりして、平らになるように整えます。

(2)穴埋め材を、軽く盛り上がるくらいまで穴に注入します。

(3)そのまま乾燥させてもかまいませんが、ヘラなどを使って壁紙と同じような凹凸をつけると、より目立たなくなります。

(4)壁紙用の補修材はホワイト、ベージュなどの淡色系がほとんどです。壁紙が色柄物の場合は、補修部分に近い色のアクリル絵の具などを塗っておきます。

●ゆるくなったネジ穴にネジを利かせるには

 壁裏に間柱が入っていないところにネジを打つと、振動で芯材の石膏が崩れて穴が広がり、ネジが利かなくなってきます。同じ位置でしっかりネジを利かせたい場合は、石膏ボード用のネジ穴補修材を使って補修します。見えない場所でしたら、石膏ボード用アンカーを使う方法もあります。

※商品パッケージに記載された、補修できる穴の大きさ、耐荷重などの注意書きを確認して、その範囲内で使用しましょう。

(1)ネジが入っていた穴の中は、周囲の部分が崩れやすく、もろくなっていることがあります。千枚通しなどを使ってもろくなった石膏や粉をきれいに取り除きます。その際、ネジ穴を貫通させておきます。

(2)ネジ穴全部を埋めるように、たっぷりとネジ穴補修材を注入します。すき間がなく、表面が軽く盛り上がるくらいまで入れましょう。

(3)十分に乾燥したら、はみ出している部分をカッターなどで削って仕上げます。

ひび割れの補修方法

 ひび割れを補修するには、壁紙を剥がして石膏ボードそのものに手を入れる必要があるため、小穴の補修よりも手間と時間がかかります。石膏ボード下地補修用パテを使って、丁寧に作業しましょう。
(1)カッターなどを使って、ひび割れしている箇所の壁紙をきれいに剥がし、石膏ボードの補修箇所が見えるようにします。既存の壁紙をそのまま貼り直す場合は、切り取らずにめくった状態にしておきます。

(2)ひび割れしているところをカッターで削り、もろくなった石膏を取り除いてきれいな溝にします。

(3)補修用パテを先ほど作った溝の中にたっぷりと注入し、ヘラを使って均します。パテは乾燥するとへこむので、この時点ではなだらかに盛り上がるようにしておくのがコツです。

(4)1日程度乾燥させてパテが固まったら、サンドペーパーを使って、凸凹がわからないように平らに削ります。

(5)めくっておいた既存の壁紙を貼り直すか、補修用などの新しい壁紙を貼って仕上げれば完了です。

3章:石膏ボードの補修にかかる費用

自分で補修できるかを見極める

 自分で簡単に補修できるか、手間がかかって難しい作業になるかは、破損した箇所の大きさが目安になります。破損箇所が小さくて、専用の補修プレートなどを使える大きさ(拳の大きさ程度)であれば、慣れていないことで時間はかかってもたいてい直すことができます。

 しかし、それ以上の大きさになると、破損した部分の石膏ボードを切り取って新しいものに張り替える必要があり、作業の難易度は高くなります。それも初めてだからといってできない作業ではありません。時間がかかっても丁寧に行えば補修は可能です。後半で紹介する補修の手順を見て、自分で補修してみるか、プロの業者に依頼するかを判断すると良いでしょう。

 作業内容を検討するときに頭に入れておいていただきたいのは、下地材の石膏ボードを補修する場合、表に貼ってある壁紙の張り替え作業が伴う点です。部分的な貼り替えになって壁紙の色合わせが難しいケースでは(同じ壁紙が手に入らない、既存の壁紙が変色しているなど)、壁一面の張り替えが必要になることがあります。補修跡がわからない仕上がりを求めるのであれば、その可能性があることまで含めて判断しましょう。

補修にかかる費用は?

●業者に依頼する場合

 業者に依頼する場合は、数社から相見積もりを取って選ぶことをオススメします。一緒に表に貼っているビニール壁紙の補修を依頼するケースでは、さらに工賃と材料費が上乗せされます。石膏ボードとビニール壁紙、両方の補修を合わせた見積もりを取って検討してください。

●自分で補修する場合

 自分で補修するためにかかる費用は、基本的には材料費だけです。補修方法ごとの費用の概算は、下記の通りです。実際は、この他にビニール壁紙の張り替えなど、壁表面の仕上げにかかる費用が発生します。
【小穴の補修】
・壁紙用の穴埋め材 約400円

【ひび割れの補修】
・下地補修用パテ 約600円

【補修プレートでの補修】
・補修プレート 約600~1400円
・下地補修用パテ 約600円

費用概算:1200~2000円程度

【石膏ボード張り替えでの補修】

・石膏ボード 約400円
・石膏ボードビス 約450円
・下地用ファイバーテープ 約1300円
・下地補修用パテ 約600円

費用概算:2750円程度

4章:アパートなどの賃貸でも自分で修理できる?

 賃貸住宅の物件は大家さんの所有物になり、どのような理由であれ大家さんの了解なく建物の一部を改装したり、補修したりすることはできません。借り主が勝手に補修・修理をすると、契約違反に問われる可能性があります。壁が破損した場合は、まず修理したいことをその原因とともに管理会社に連絡しましょう。

 所有物件の保守のために、大家さんは信頼できる業者に修理依頼する可能性が高いでしょう。雨漏りや湿気など、建物の欠陥が原因で破損したことが明らかであれば、大家さんが費用を負担して補修することになるはずです。反対に借り主の不注意で破損した場合は、業者に依頼して修理したうえで費用の負担を求められる可能性があります。

5章:石膏ボードの補修に必要な基本アイテム

●下地補修用パテ

 塗装や壁紙貼りをする壁下地になる石膏ボードや合板の穴や傷、継ぎ目を消して滑らかな面に仕上げるために使います。補修などには少容量のチューブタイプが使いやすく便利です。

●壁穴補修プレート

 グラスファイバーシートにアルミ薄板などを組み合わせて強度を高めた壁穴補修のための専用シートです。ふさげる穴の大きさは最大20×20cm程度まで。穴の大きさに合わせてサイズを選べます。

●下地用ファイバーテープ

 石膏ボードの継ぎ目の補強や穴、ひび割れなどの補修に適したグラスファイバーのテープです。パテと併用することで効率よく作業できます。

●石膏ボード

 標準的な910×1820mmの石膏ボードはたいていのホームセンターで販売されています。厚さは9.5mm、12.5mm、15mm、21mmの4種類がありますが、住宅の壁には厚さ12.5mmのものが使われていることがほとんどです。

●石膏ボードビス

 石膏ボードを間柱などの木材下地に固定するために適した形状のビスです。錆びにくい表面処理やパテがのりやすい梨地仕上げのネジ頭なども特長です。

●パテベラ

 適度に弾力があり、パテを伸ばしたり、均したりする作業に適しています。

6章:石膏ボードの補修方法

壁穴補修プレートを使って補修する方法

●用意するもの

・壁穴補修プレート
・下地補修用パテ
・パテベラ
・サンドペーパー

●補修の手順

 表の紙が破れ、芯材の石膏がボロボロに砕けた状態の穴を補修する場合は、補強効果のある壁穴補修プレートを使います。補修プレートはサイズの種類があるので、商品パッケージを確認して穴をふさげるサイズのものを選んでください。

 あまり強度が必要ない3cm程度までの穴であれば、ファイバーテープを使って補修することもできます。
 破損して表に飛び出している部分があれば取り除いておき、穴の縁などに凸凹している部分ないように、80番程度のサンドペーパーで軽く削って表面を整えます。
 補修プレートの裏紙を剥がし、穴が真ん中になるようにシートを貼ります。プレートの上から乾いた布で擦り、しっかりと密着させます。
 小さい範囲の補修には、練り済みのパテをチューブ入りにした下地補修用パテを使うと便利です。商品によってはパテベラが付属しているものもあります。
 プレートの上に補修用パテを押し出します。
 パテの厚みが均一になるように、パテベラを使って全体に伸ばします。このときプレートの段差がなくなるように均すのが、補修跡を目立たなくさせるコツです。
 パテが完全に乾燥するまで、半日から1日待ちます。
 サンディングブロックや端材に巻いたサンドペーパーを使って、塗ったパテを削り、凸凹がなくなるようにきれいに均します。以上で作業は完了です。

石膏ボードを張り替えて補修する方法

●用意するもの

・石膏ボード(既存の壁と同じ厚みのもの)
・定規
・マスキングテープ
・ボード用ノコギリ
・カッター
・下地用ファイバーテープ
・幅3cm程度の板材
・石膏ボードビス
・電動ドライバー
・下地補修用パテ
・パテベラ
・サンドペーパー
※壁に使われている石膏ボードの厚みは、針タイプの下地センサーを使って測ることができます。他にもコンセントカバーを外してコンセント取り付け穴の切り口を見ることで確認することができます。

●補修の手順

 破損した箇所を四角く切り取るため、穴よりひと回り以上大きいサイズで目安となる線を引きます。マスキングテープを利用すると、簡単にまっすぐの線を引くことができます。
 ボード用ノコギリを使って、線に沿ってカットし、壊れた箇所を四角く切り取ります。
 角などに出やすい切り残しは、カッターできれいに削ります。
 切り取ってできた穴の寸法を測り、カッターを使って補修用のボードを同じ大きさに切ります。最初に、表の紙に軽く切り込みを入れます。
 続いて、作業台の角に切り込みを沿わせ、上から軽く押してボードを折ります。
 残った裏側の紙をカットして切り離します。
 張り替え用のボードと穴の縁をサンドペーパーで磨いて、細かい凸凹を落としておきます。
 ボードを固定するための木材を、穴の幅より長めにカットします。穴が小さい場合は上下に2本で十分ですが、大きい場合は穴のサイズに合わせて本数を増やします。
 ボードの上から石膏ボードビスを打って、木材をしっかりと固定します。
 張り替え用のボードを穴にはめ合わせ、後ろに木材がある位置にネジを打って固定します。ボードがうまく入らないときは、サンドペーパーやカッターで縁を削って調整してください。
 ボードの継ぎ目にできた段差をなくすために、下地用ファイバーテープを貼ります。テープ同士が重ならないように貼ってください。
 ファイバーテープの上に補修用パテを塗り、段差がなくなるように均一に塗り伸ばします。
 パテが完全に乾燥したら、サンドペーパーで磨いて表面をきれいに均し、補修は完了です。

まとめ

 石膏ボードを張り替える補修は少し大変ですが、補修プレートを使う方法はとても簡単です。ポイントは段差を消すようにパテを塗ることと、凸凹が残らないようにきれいに磨くことです。わずかなへこみでも、壁紙を貼り直すと意外と目立つので、できるだけ丁寧に作業しましょう。

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