砥石の種類と使い方

刃物の切れ味を保つには砥石によるこまめなお手入れを

 切れ味の鋭い包丁を使えば、食材を思いのままにカットすることができ調理もはかどります。しかし、刃物である以上徐々に刃が摩耗し、切れ味が落ちてしまうもの。そんなとき、必要となるのが包丁研ぎ。そして、包丁などの刃物研ぎに欠かせない道具といえば砥石(といし)でしょう。
 でも、砥石とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。またシャープナーとの違いや、正しい研ぎ方について、意外によく分からないという方も少なくないはず。そこでそんな砥石について知っておくべき基本的なポイントをご紹介します。

目次
1章:砥石とは
2章:砥石の種類と粒度の違い
3章:砥石の使い方
4章:砥石の手入れ・メンテナンス方法

1章:砥石とは

 砥石とは、刃物や金属部品、石材などを研いだり磨いたりするための石です。英語では、sharpening stone、grinding stoneなどと言います。砥石には機械部品などを磨くためのものもありますが、最も身近な砥石といえば、包丁やナイフなど刃物を研ぐための角砥石です。角砥石はその名の通り四角い立法体の砥石で、包丁などの刃物を研ぎやすいサイズとなっています。

 そしてこの角砥石にも、水を含ませて使用する水砥石と、油を含ませで使用する油砥石(オイルストーン)があります。
 オイルストーンは海外では一般的な砥石ですが、日本ではエンジンのシリンダーブロック研磨など、機械部品の研磨、ハンティングナイフ研ぎなどに使われており、包丁研ぎでは一般的ではありません。日本では主に水砥石が使われています。実際ホームセンターや刃物屋さんで売られている、包丁研ぎ用の砥石の多くは角型の水砥石です。

 さらに、この水砥石にも、山から切り出される天然の岩石を加工した天然砥石と、人工的に作られた人造砥石があります。天然砥石は非常に希少で価格も高価(数万円~数十万円)なので一般の市場にはあまり出回っていません。また、採掘量も年々減少しており、その数は減少の一途。もはやお金を払えば手に入るというものでもありません。
 その希少性から扱いも慎重さが求められるので家庭用の包丁を、自宅で研ぐというときに、わざわざ天然砥石を使う、ということは、まずないはずです。一般的に水砥石といえば、人造砥石だと思って間違いないでしょう。

 人造砥石は、様々な研磨剤を人工的に固めて作ったものです。アルミナやケイ素などの結晶を粉末にした研磨剤が使用されており、その配合は製品やメーカーによってノウハウがあります。
 もしこれから砥石を手に入れ包丁研ぎをしてみたいというなら、扱いやすく、価格も手ごろで、なおかつ番手(砥石の荒さ)のバリエーションも豊富な水砥石の人造砥石がオススメです。人造砥石を使用する上で知っておくべき種類や粒度(粒子の大小)の違い、使い分けなどについては次の章で解説します。

2章:砥石の種類と粒度の違い

 砥石は、なにも知識がなければどれも四角い石の塊にしか見えません。しかし、砥石には、石の粒子の大小(粒度)や硬さによって、いくつかの種類があります。
 粒度の違いでは大きく荒砥 (あらと)、中砥 (なかと)、仕上げ砥の3種類に分かれます。さらに細かくそれぞれ「#300」や「#1000」などの番号(番手)が付けられており、その数字の大小でその粒度(荒さ)がわかるようになっています。
 数字が小さいほど粒度が大きく、砥石の中に含まれる「砥粒」が荒く、逆に数字が大きいほど粒度が細かいものということになります。サンドペーパーなどの荒さを表す番手の数字と同じようなものです。
 それぞれの粒度の砥石には特徴があり、どのような用途に使用するかは以下のようになります。

荒砥石(#80~400)

荒砥石は極めて砥粒の大きな砥石です。とても研削力(削る力)が強く、研ぐというよりは削るといった作業に使用されます。
そのため、包丁の切れ味が極端に悪くなってしまった場合や、刃こぼれなどの修正に使われます。通常の包丁研ぎでは、使用する機会はあまりないでしょう。
もし使用している包丁の切れ味が大きく落ちたという場合は、3桁番手の#400~#600ほどの荒砥石を使います。2桁番手の荒砥石は日常的な使用は避けてください。刃が大きく削れてしまい、包丁そのものをダメにしてしまいかねません。

中砥石(#700~1000)

日常的な包丁研ぎや、荒砥石を使った後の仕上げなどに使われるのが中砥石です。その名の通り、中程度の粒度を持った砥石で#1000前後の物が一般的です。
一般家庭で、鋼の包丁ではなくステンレス包丁などを研ぐ場合には、この中砥石だけで十分でしょう。

仕上げ砥石(#3000~8000)

刃先をより鋭く仕上げたいときに使われるのが仕上げ砥石です。研ぐというよりは主に研磨用ですが、砥粒が細かく、中砥石で研いだ後にさらに切れ味を良くするときなどに使います。
鋼の包丁を使うプロの料理人などが刃物をさらに切れ味よく研ぐときなどに使われます。家庭用のステンレスの両刃包丁では、中砥石までの使用で十分でしょう。

コンビ砥石

コンビ砥石は、片面が荒砥石、もう片面が中砥石など2つの粒度の砥石がセットになっている砥石です。使用する方を表にして使います。これ1つあれば荒研ぎと仕上げ研ぎを済ませることが可能な上、水をためておける研ぎ台なども付属しているので使いやすく、初心者にもオススメです。
荒砥石&中砥石のセットのほか、中砥石&仕上げ砥石がセットになっていることもあります。

ダイヤモンド砥石

ダイヤモンド砥石は研磨材に工業用のダイヤモンドが使われた砥石です。金属の表面にメッキのようにしてダイヤモンドの粒子を結合(電着)したものや、ダイヤモンドの砥粒と結合剤を混ぜて型に入れ、焼結(焼き固め)したものがあります。
ダイヤモンドの砥粒は非常に硬度が高く、刃物を早く研ぐことができ、また砥石自体の摩耗もほとんどないので平面性をキープすることができます。
さらに、種類によっては通常の水砥石では研げないセラミックの包丁などを研ぐことができるものもあります。
ただし、削る力が非常に強いので研ぎ過ぎることもあり、包丁の寿命を縮めてしまう場合があるので使用には注意が必要です。

簡易型の包丁研ぎ器、シャープナー

 砥石ではない簡易型の研ぎ器がシャープナーです。シャープナーは砥石のように刃先を研磨する(削る)ことで切れ味を取り戻すのではなく、包丁の刃をセラミックやダイヤモンド砥石にこすりつけ、丸まってしまった刃先を適度に荒らし、食材などへの食いつきをよくすることで、切れ味を一時的に回復するものです。
 そのため一時的に切れ味が回復しますがあまり長持ちはしません。また基本的には両刃の包丁にしか使用できませんし、何度も繰りかえし使うと刃先の強度が落ち、刃割れや刃欠けの原因になることもあります。
 しかし、扱いが簡単なので、調理前などに刃先を軽く整えるにはとても便利な研ぎ器といえるでしょう。すぐに切れ味を取り戻したいときにはシャープナーを、ある程度時間があるときには砥石でしっかりと研ぐ、というように使い分けるのがオススメです。

ダイヤモンド&セラミックシャープナー

砥石ではない簡易式のシャープナー(研ぎ器)です。角度を自分で調整する必要もなく、スリット部分に刃をこすりつけることで簡単に研ぐことができます。
1つで荒研ぎ、中研ぎ、仕上げ研ぎができるタイプなどもあります。

ダイヤモンドロールシャープナー

溝に包丁の刃を入れてゆっくりと数回手前に引くだけで、内部に組み込まれたダイヤモンド砥石が回転しながら刃先を研いでくれるシャープナーです。
硬いセラミック包丁を研ぐことができます。

3章:砥石の使い方

 水砥石を使用した、一般的な両刃の洋包丁の研ぎ方について紹介します。研ぎ始める前には砥石の準備を行っておきましょう。研ぎ作業を行う10~20分ほど前に、水を張った桶に砥石を漬けておきます。水に沈めた砥石から、気泡が出なくなったら準備完了です。
以下の手順で研いでください。
①作業しやすい高さに砥石をセットします。ひじよりも少し低め、おへそくらいの高さがちょうど良いとされています。砥石は専用の研ぎ台、または濡れ布巾の上に置き、作業中に動かないようにしておいてください。

②包丁の刃を手前にして持ち、砥石の縦方向に対して45度くらいの角度となるように構えます。利き手の反対の手の人差し指と中指の2本を、包丁の刃の研ぎたい部分に軽くあてます。
③砥石に包丁の刃を密着させ、滑らかに前後に動かします。1ヶ所につき20回ほど前後させ刃先から刃元に向かって順に研いでいきます。このとき、砥石の表面と刃の触れる角度は15度ほどをキープしてください。
砥石に当たる角度の調整が難しいようでしたら、市販の角度固定ホルダーなどを使ってみましょう。

ホルダーを包丁の背に挟み込むだけで砥石に当たる角度を一定にキープすることができます。ただし包丁の側面に傷をつけてしまうので高価な包丁に使用するのは避けた方が良いかもしれません。また、包丁を研ぐたびにホルダー自体もすり減って(研がれて)いくので、定期的な交換が必要です。
④砥石の水は常に切らさないようにしてください。しばらく研ぐと刃物の金属の微粉末と、削れた砥石によって水が濁ってきますがこの濁った研ぎ汁が滑らかに刃を研ぐ手助けをしてくれます。捨てずに研ぎ汁と共に研ぎ続けてください。

⑤刃元まで研いだら刃先を確認します。手で触れてわかるくらいのかえり(バリ・引っかかり)が、確認できたら包丁を反対に返して裏側も同じように研いでいきます。

⑥刃の全体にかえりができたらこのかえりを落とします。かえりが残ったままだと刃物は切れ味を発揮できません。新聞紙などを用意し、平らに広げて、包丁の刃の両面を新聞にこすりつけてかえりを落としてください。終わったら試し切りをしてみて切れ味が戻っていることが確認できれば研ぎは終了です。

4章:砥石の手入れ・メンテナンス方法

面直しの方法

 砥石は使用にともない徐々にすり減り中央部分から凹んできてしまいます。凹んだままの砥石では、研ぐ角度が安定せず、正しく研ぐことはできません。その場合は、砥石の表面を均一に直す、面直しをしましょう。
 面直しには面直し砥石やドレッシングストーンなどと呼ばれる専用の砥石を使います。面直し砥石には大きなものや、手のひらサイズのものがありますが、一般家庭では手のひらサイズの方が使いやすいでしょう。
 使い方は削りたい砥石を下に置き、面直し砥石を持って、平面にしたい面にこすりつけます。円を描くように面全体を水平に削るイメージで動かしてください。砥石が平らになったら面直しは完了です。

面直し砥石

面直し専用の砥石です。表面が通常の砥石のように平面ではなく、目詰まりがしにくいように大きな溝が刻まれており、砥石の表面を効率よく削り取ることができます。

砥石の保管方法

 砥石の使用後は、まず汚れを洗い流し、水気を切って乾燥させます。屋外などに放置すると砥石の劣化やヒビ割れなどを起こす危険があるので、屋内に干してください。乾燥したら乾燥した場所に保管してください。面直し砥石も同様です。
 また、砥石はとてもデリケートです。落とすと簡単に割れたり欠けたりしてしまいます。砥石にケースが付属している場合は必ずケースに入れ、無い場合は新聞紙などで包み、衝撃を与えないように注意して保管してください。

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