ラッカーの特徴とその使い方

 DIYや、自動車の修理などで使用する機会の多いスプレー缶塗料やペンキ。最近は環境や人体に影響が少ないとされている水性(水溶性)の塗料などが主流となってきていますが、速乾性による作業性の良さから、今も人気があるのがラッカー(ラッカー塗料)です。使用の際の独特のシンナー臭が苦手という方もいますが、家具などに使用すると美しい仕上がりが期待できます。そんなラッカーについて、特徴や種類の違い、使用方法などをご紹介します。

目次
1章:ラッカーとは
2章:ラッカーとアクリルラッカーの違い
3章:扱いやすい水性ラッカー(水溶性ラッカー)
4章:重ね塗りの際の注意点
5章:ラッカースプレーの正しい使い方

1章:ラッカーとは

 ラッカーとは、揮発性の高い溶剤に硝化綿(ニトロセルロース/紙や綿の繊維であるセルロースを濃硝酸や濃硫酸などの液体に混ぜ化学変化を起こして作られる樹脂)などの樹脂や合成樹脂を溶かして作られた塗料のことです。そのため単にラッカーではなく、ニトロセルロースラッカーなどと呼ばれることもあります。

 しかし最近では、ラッカーという言葉は、本来のニトロセルロースラッカー塗料だけを指すのではなく、揮発性の溶剤を使用した速乾性の塗料の総称として使われることの方が多くなっています。そのため本来は合成樹脂塗料であるアクリル塗料を使ったスプレー缶も、速乾性の塗料であることから、アクリルラッカースプレーと呼ばれています。

 ラッカーの特徴は、非常に乾燥が速く、作業性に優れるということ。そのためハケ塗りではなくスプレーガンやスプレー缶などの塗装に主に使用されています。

 さらに硬い塗膜を得ることができるため、塗装面を磨きあげることができ、非常に美しい仕上がりを得ることが可能です。そのため高級家具用の塗料や、ギターなど楽器の塗料としても使われます。また、以前は乾燥が早く発色が良いということから自動車用の塗料としても使用されてきました。

 しかし、最近はラッカーよりも、さらに耐久性や耐候性に優れた他の合成樹脂塗料や、環境に影響の少ない水性塗料が自動車用としては主力となっているようです。

 ラッカーは本来透明なのですが、これに顔料を加えたものが「ラッカーエナメル」塗料です。そして、顔料を入れず、透明な塗膜となるのが「クリアーラッカー」です。天然の塗料の一種である、「漆(うるし)」もラッカーの1つとされています。

 ホームセンターなどの塗料売り場にもたくさんのラッカー塗料スプレーがあります。しかし、それは全てが本来のラッカーであるニトロセルロースラッカーではありません。どちらかというと、アクリル樹脂を溶剤で溶かしたアクリルラッカーや、水性(水溶性)ラッカーが主流となっているようです。

 手に取ったラッカースプレーが、従来のニトロセルロースラッカーなのか、アクリルラッカーなのか確認するには、スプレー缶の裏の説明書きを見てください。

 品名に「ラッカー」と記載されていれば、それはニトロセルロースラッカーです。品名が合成樹脂塗料となっている場合はアクリルラッカーです。水性ラッカーは商品ラベルに水性と記載されているはずです。
ニトロセルロースラッカー塗料を使用したラッカースプレー
このように品名を見ると、ラッカーとなっている。

2章:ラッカーとアクリルラッカーの違い

 ニトロセルロースではなく、アクリルなどの合成樹脂を揮発性の溶剤で溶かした塗料がアクリルラッカーです。本来はラッカーではなく、合成樹脂塗料と呼ぶべきなのですが、溶剤を使用した速乾性の塗料ということでラッカー塗料として扱われています。また、最近では本来のラッカー塗料であるニトロセルロースラッカーよりもニーズが高くその種類も豊富に揃っています。

 主成分は、ラッカーと同様で有機溶剤と樹脂、そして顔料であり、使われている主要な樹脂がアクリル合成樹脂であるのが大きな違いです。

 従来のラッカー塗料よりもさらに速乾性が高いため扱いやすく、安価な上に重ね塗りも可能ということから外壁塗装や日曜大工、ホビー用途など、さまざまな分野に使用されています。アクリルラッカー塗料は古くからあるニトロセルロースラッカーの弱点を補った塗料ともいえるでしょう。

 ちなみにプラモデルなどで、昔から人気の高い塗料であるGSIクレオスの「Mr.カラー」は、プラモデルファンの間ではラッカー塗料と呼ばれていますが、使用されている樹脂がアクリルなので、正しくはアクリル樹脂系塗料です。

 プラモデル用としては、これとは別の水溶性のアクリル塗料も使用されているため、そちらと区別する意味でも、溶剤系のアクリル塗料であるMr.カラーはラッカー塗料と呼ばれているようです。

 経年によって風合いが出る上、磨き上げることによって非常に強い光沢と深みが得られる従来のラッカー(ニトロセルロースラッカー)塗料は、高級家具やギターなど、味わいの求められる高級品に、あえて使われるケースも少なくありません。

 しかし、他の分野ではアクリルラッカー塗料の方が主流になっています。特にDIYなどでは、色数も豊富で扱いやすいアクリルラッカー、もしくは後述する臭いなどの心配のない水性ラッカーの方が使いやすいでしょう。
アクリルラッカースプレー。本来はラッカーではなく合成樹脂塗料と呼ぶべきだが、速乾性の塗料ということでラッカーの一種として販売されている。
品名を見ると、ラッカーではなく合成樹脂塗料となっている。

3章:扱いやすい水性ラッカー(水溶性ラッカー)

 水溶性のアクリル樹脂と水を主成分とした溶剤、そして顔料を使用した塗料が水性ラッカーです。正しくはラッカーではなく、水性アクリル塗料なのですが、速乾性の塗料ということで、ラッカーの一種、水性ラッカー塗料と呼ばれています。水性といっても一旦乾燥すれば水などに溶け出すことはありません。

 シンナーなどの有機溶剤を使用するニトロセルロースラッカーや、アクリルラッカー塗料は、溶剤を使うため健康上の危険や環境への悪影響が問題視されてきましたが、水性ラッカーであれば、毒性が非常に低く、独特のシンナー臭などもないことから屋内でも使いやすくDIYをはじめ多くの分野で使用が拡大しています。

 希釈も水で行えるので別途シンナー(うすめ液)が必要なく、伸びなども油性の塗料より良いとされています。また、乾燥前なら手についた塗料なども水洗いで落とすことが可能で、後始末も容易です。色数なども豊富に揃っているのでホビー用途にも適した塗料といえるでしょう。

 以前はラッカーなど油性の塗料に比べて耐久性が低いとされてきましたが、研究が進みその強度も格段に高まっています。ただし、アクリルラッカーやウレタン塗装と比較すると、耐久性の面では決して優れているわけではないので、屋外の外壁などには他の油性塗料を使用した方が良いかもしれません。
水性アクリル塗料を使用したカラースプレー。速乾性の塗料なので水性ラッカーとも呼ばれる。
 ラッカーは、溶剤が揮発することで乾燥し塗膜が硬化します。他の油性塗料に比べて、乾燥も速く作業効率に優れるというのが大きな特徴ですが、使われている溶剤が非常に強力なため、下地に水性アクリルラッカーや、ウレタン塗料などの他の塗料が塗られている上に重ね塗りをすると、下地の塗膜を溶かしてしまうことがあります。

 下地がラッカー塗料であった場合は、その上にアクリルラッカー塗料や、水性ラッカー塗料を重ね塗りすることが可能です。

 しかし、下地がアクリルラッカーである場合は、同じアクリルラッカーや水性ラッカーを重ね塗りできますが、強い溶剤を使ったラッカーを重ね塗りすると、下地の塗料が溶けてしまったり、塗装面のシワになってしまうので注意が必要です。

 さらに下地が水性アクリルラッカーの場合、上に重ねて良いのは基本的には水性アクリルラッカーだけです。しっかり乾燥させていればアクリルラッカーを重ねられる場合もありますが、できれば避けた方が良いでしょう。

 もし、家具などを塗り替える場合、下地に塗装がされているならそれがどんな塗料であるか確認した方が良いでしょう。ラッカーではなくウレタン塗装されていた場合は、アクリルラッカーや水性ラッカーが使用可能ですが、ラッカー(ニトロセルロースラッカー)塗料は使用しない方が良いでしょう。

 もし、使われている塗料がよくわからないという場合は、いったん下地の塗装を剥がし、研磨をして素材の状態に戻してから塗り替えるのが間違いないでしょう。

5章:ラッカースプレーの正しい使い方

 アクリルラッカースプレーを使った、正しい塗装の方法をご紹介します。

●金属に塗装する場合

①まずは塗装する面のホコリやゴミを取り除きます。そして油汚れを取り除くために、シリコンオフスプレーや、ペイントうすめ液などで拭きましょう。

②サビがある場合はワイヤーブラシとサンドペーパーで磨き、取り除いてください。塗料が剥がれかけている場合はスクレーパーで取り除きます。

③へこみなどがある場合はパテで埋め、乾いたら耐水ペーパーで表面を平らに整えます。

④全体はサンドペーパーで軽く磨き、再びシリコンオフスプレーやペイントうすめ液で油分や汚れを取り除きます。

⑤塗料が喰いつくようにメタルプライマーを下塗りします。また素材が鉄の場合は、サビ止めを下塗りします。

⑥マスキングテープで、塗りたくない部分をしっかりとカバーします。

⑦塗料を吸い込んだり、皮膚に付着しないよう塗装用のマスクとビニール手袋をします。

⑧スプレー缶をカラカラと音がするまで振り、中の塗料をしっかり攪拌します。

⑨塗装対象から30cmほどスプレー缶を離し、スピードを一定に保ちながら缶を横に動かすようにして、対象に塗料を吹きつけます。塗装中も適宜スプレー缶を攪拌してください。

⑩一度に厚塗りして仕上げようとすると塗料がたれるので、3回以上に分けて薄めに重ね塗りするとキレイに仕上がります。

⑪塗料が完全に乾燥する前にマスキングテープを剥がして終了です。

●木材に塗装する場合

①まずは塗装する面のホコリやゴミを取り除きます。そして油汚れを取り除くために、シリコンオフスプレーや、ペイントうすめ液などで拭きましょう。

②塗り替えの場合、塗料が剥がれかけている部分を、スクレーパーなどで取り除きます。

③全体を180番から240番程度のサンドペーパーで磨きます。

④穴や欠け等があればパテなどで埋め、乾燥させます。下地に木部用プライマーを塗り、よく乾かして素地をサンドペーパーで研磨します。

⑤マスキングテープで、塗りたくない部分をしっかりとカバーします。

⑥塗料を吸い込んだり、皮膚に付着しないよう塗装用のマスクとビニール手袋をします。

⑧スプレー缶を、カラカラと音がするまで振り、中の塗料をしっかり攪拌します。

⑨塗装対象から30cmほどスプレー缶を離し、スピードを一定に保ちながら缶を横に動かすようにして、対象に塗料を吹きつけます。塗装中も適宜スプレー缶を攪拌してください。

⑩一度に厚塗りして仕上げようとすると塗料がたれるので、3回以上に分け薄めに重ね塗りするとキレイに仕上がります。

⑪塗料が完全に乾燥する前にマスキングテープを剥がして終了です。

●スプレー缶を使用する際の注意点

 スプレー缶の中には、可燃ガスと有機溶剤が入っているので、火気や換気に十分気をつけてください。また作業の際は塗装用のマスクやビニール手袋を着用してください。

 作業は、なるべく換気が良く風のない屋外で行い、周囲をマスカーや古新聞などで覆い、周りを汚さないようにしっかり養生しておきましょう。

 スプレー缶を使用する前には必ずよく振ってかき混ぜてください。カラカラと音がしてから更に30秒ほど振り、塗装中も時々缶を振ってかき混ぜるようにしてください。

 使い終わったスプレー缶の空き缶は、ガスを抜いて分別廃棄します。スプレー缶の種類によってはキャップにガス抜き機能のあるものもあります。ガス抜き作業は必ず屋外で行ってください。屋内で行うと可燃性ガスが室内で充満してしまい危険です。使いきったスプレー缶の処理方法は地域によって異なる場合があります。詳しくはお住まいの自治体に確認してください。

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