充填剤の種類と塗り方

 DIYの補修作業で接着剤と並んで欠かせない充填剤。主に、お家のすき間や穴埋め、ヒビ割れなどの補修で活躍します。充填剤にはさまざまな種類があり、用途によって使い分けされています。
 種類ごとに特徴がある充填剤を、使い方とともに紹介していきましょう。

目次
1章:充填剤とは
2章:充填剤の種類
3章:充填剤の塗り方
4章:用途別の充填剤での補修方法
5章:充填剤の保存方法

1章:充填剤とは

 充填剤は住宅のすき間を埋めたり、穴埋め処理などができる樹脂の成分で接着剤のような役割を担い、建物の気密性を高めてくれます。住宅におけるすき間やヒビ割れとは、下記のようなケースです。

・外壁材と外壁材のすき間
・外壁材のヒビ割れ
・屋根材のヒビ割れやすき間
・浴槽と壁のすき間
・窓のサッシと外壁のすき間

 こうした場所に充填剤を使って補修を行います。充填剤のゴムのような性質でパッキンをすることで、衝撃を吸収する緩衝材の役割を果たし、住宅設備を衝撃から守ってくれます。また、防水力を高め、カビや汚れを抑える効果も期待できます。

2章:充填剤の種類

 充填剤は接着剤よりも聞き慣れない道具と思われるかもしれませんが、ホームセンターやショッピングサイトでよく目にするシーリング剤やコーキング剤といえば、納得する方もいるはずです。また、壁の穴埋め補修などで活躍するパテ類も同じ充填剤です。

 目地やすき間を充填し、内部も弾性を保ったゴム状に硬化してパッキンの役割をするシーリング剤に対し、コーキング剤は表面だけ硬化し、内部は固まらずに弾性を保つのが特徴です。しかし、建築業界ではシーリングとコーキングは同じ解釈として捉えられています。また、プロの職人でもどちらの名称で呼んでいるか厳密には決まってないのです。

 日本工業規格(JIS)によると、シーリングとコーキングは次のような定義で区別されています。
・シーリング材/建築用は、JIS A 5758で規定

構造体の目地、間げき(隙)部分に充填して防水性、気密性などの機能を発揮させる材料

・コーキング材(油性)/建築用は、JIS A 5751で規定されていたが、2004年に廃止

展色材(天然樹脂、合成樹脂、アルキド樹脂など)と鉱物質充填剤(炭酸カルシウムなど)を混合して製造したペースト状のシーリング材。相対変位の小さな目地のシールに使用される。鉱物質充填剤として、石綿は、現在使用が禁止されている。
 油性コーキング材は、一昔前に普及していましたが、現在ではほとんど使用されなくなっています。また、近年、日本シーリング材工業会(JSIS)が、シーリングと名称を統一表記したことから、充填剤といえばシーリングが急速に浸透するようになりました。一方、粘土状のパテ類は、大半が硬化後にやすりがけをして成形したり、塗装を行う充填剤です。

 充填剤は、補修する場所や用途によって商品が異なります。種類が豊富でそれぞれ特徴が異なります。初心者の方はどれを購入して良いか迷ってしまうかもしれませんが、商品ごとに用途がはっきりと表示されていて比較的選びやすいので、購入前にチェックするのを忘れないようにしましょう。

また、初心者の方が充填剤選びで迷わないよう、主な充填剤の種類と特徴をまとめました。

〔シリコン系〕

主に、浴室やキッチンなどの水回りで使用されています。完全耐水性で他の充填剤に比べて耐久性、耐熱性などに優れています。また、接着力が強く収縮が少ないのが特徴です。浴室などで使われるシール剤も同じ特徴です。

●使用場所:浴室の目地や浴槽まわり、キッチン、台所、窓枠やドア枠まわりなど

〔変成シリコン系〕

室外、室内を問わず住宅設備全般で使用できる万能タイプの充填剤です。水回りでも使用可能ですが、シリコン系に比べて耐久性は劣ってしまいます。特に外壁の目地剤や補修剤として威力を発揮します。

●使用場所:外壁の目地、屋根と壁の継ぎ目、窓サッシと外壁の目地など

〔ウレタン系〕

溶剤が揮発して硬化し、密着性に優れています。コンクリートのヒビ割れの補修などにも適しています。紫外線に弱い一面があるため、使用する場合は上から塗装をしなければなりません。

●使用場所:外壁(コンクリートの補修)など

〔アクリル系〕

ACL外壁やモルタルのすき間の充填用です。他の充填剤に比べて価格が安いのですが、寿命が短く補修する回数が増えてしまうため、現在では一般向けではありません。
天井と壁のすき間やフローリングの壁際などを補修する室内向けのアクリル系充填剤です。色はホワイトに加え、アイボリーや木材色など数種類があります。
 この他に、木部の塗装の下地調整に便利で、パテの名称で認知されている「セルロース系」、屋根のすき間や合わせ目などを調整する「ブチルゴム系」「油性系」などがあります。

●DIYで使用するシーリング剤は「1液型」

 シーリング剤は、「1液型」と「2液型」に区分されます。「2液型」は専用の攪拌機で硬化剤をかき混ぜることから、専門的な知識が必要なので一般の人には扱うのが難しくおすすめできません。DIYの補修作業で使用する際は、ホームセンターなどで購入できる「1液型」を選ぶようにしましょう。

3章:充填剤の塗り方

 充填剤は基本的に、すき間や目地にたっぷり塗ります。時間をかけてしまうと、充填剤が乾いてしまうこともあるので、テンポよくチューブを押し出して塗ってください。しっかり押し込みながらすき間や目地を埋め込んだ後、ヘラで均等に伸ばしてきれいに仕上げていきます。
 範囲が広い場所でシーリング剤を塗る場合は、カートリッジ専用のコーキングガンを使うときれいに仕上ります。コーキングガンはホームセンターやショッピングサイトなどでリーズナブルな値段で購入できます。

 コーキングガンはノズルの先を目地やすき間にあてて、ハンドルを握ると塗ることができます。簡単な操作で広い範囲を素早く塗れるのでとても便利です。作業をサポートしてくれるアイテムの活用も、きれいに仕上げる1つの手段です。

・コーキングノズル

ノズルにはめて使います。先端が補修面にしっかりとフィットするので充填剤がはみ出さずきれいに仕上がります。余分な充填剤が出ないので手直しの作業時間を短縮できます。

 充填剤を塗ってきれいに仕上げるには、塗る範囲によってヘラとコーキングガンを使い分けましょう。

●コーキングガンのセット手順

1)ノズルの先端をカット

先端のノズルをカッターなどでカットします。カットするとき、充填剤が出やすいように45度にカットしましょう。

2)ノズルを押し込み開封

一旦ノズルを外して、その先端で中のアルミ膜を刺して破ります。ノズルについたシーリング材は、ぞうきんなどで拭きます。

3)コーキングガンにセットする

後ろのレバーを押した状態で、棒を引っ張ります。レバーがないモデルの場合は、棒を引っ張るだけになります。次に、使用する充填剤の容器をコーキングガンにセットし、底に密着するまでバーを動かして調整して完了です。

4章:用途別の充填剤での補修方法

 初めて充填剤を使って補修を行う人には、マスキングテープやヘラなどが付属されたセットタイプがおすすめです。

〔浴室まわりの補修方法〕

水回りのシーリングは、撥水性や防カビ性の優れたシーリング剤を使用します。

・浴室用シール剤

マスキングテープとヘラがセットになっているので、準備する手間が省けて便利です。

1)古いシーリングを取り除く

浴槽と壁の縁に沿って、古いシーリングにカッターの刃を入れて切り離します。次に指でつまんでシーリングを剥がしていきます。

2)シーリング剤を注入してすき間を埋める

すき間の両側をマスキングテープで養生した後、シーリング剤を絞り出してすき間を埋めていきます。

3)ヘラでシーリング剤をなじませる

付属のヘラで、シーリング剤を押さえるようになでて均等にならします。ならし終えたら1日程度乾燥させます。乾燥後、マスキングテープを取り外します。

〔室内の壁まわりの補修方法〕

画びょうや押しピンを抜いてできる針穴などの小さな穴埋めは、専用の補修材を使って埋めていきます。小さな穴のほか、引っかいたキズやつなぎ目のすき間などを目立たなくすることができます。

・穴埋め充填剤キット

ヘラつきの穴埋め用充填剤キット。べとつきや匂いが少ない水性タイプで手軽に補修ができます。

1)充填材を押し出す

壁紙の近い色の充填剤を選びます。そして、ノズルの先端を穴にあてて、少し盛り上がる程度まで押し出します。

2)ヘラでなじませる

付属のヘラで凹凸を加えながら、壁紙の表面になじむように整えていきます。

〔フローリングまわりの補修方法〕

 フローリングのへこみやキズの補修には、充填剤スティックと効率よく作業ができる電気ゴテがセットになったタイプがおすすめです。

・専用補修キット

フローリングのカラーに合わせて選べる充填剤スティックの他に、電気ゴテやスクレーパー、ホットナイフが付属されています。

◇へこみ補修の手順

  1. フローリング専用の充填剤スティックを電気ゴテで溶かして、床のへこんだ部分に流し込んでいきます。
     
  2. 充填剤が硬化したら、スクレーパーで大まかに削り、補修部分を自然な仕上がりになるようなじませます。

◇深いキズの補修

  1. 電気ゴテで充填剤スティックを溶かし、キズに流し込みます。充填剤はフローリングに近い色を使用します。
     
  2. 充填剤が硬化したら、スクレーパーとスチールウールで表面を整えます。その後、木目ペンを使って木目を点描し、指でこすってなじませます。

5章:充填剤の保存方法

 さまざまな充填剤のなかで、最も保管に気をつけたいのが、カートリッジタイプのシーリング剤です。カートリッジタイプは作業に便利なコーキングガンを使いますが、一度の作業で使い切ることが難しいためです。ノズルの先端をカットしているため、一度開封してしまうとキャップを閉めただけでは密封状態になりません。そのまま保管してしまうと硬化してしまい、次に使えなくなるのです。しかも、ノズルの先をテープで密封してもノズル内のシーリングは乾燥して固まってしまいます。
 硬化を防ぐため、容器の開封したところにラップを巻いてノズルを締めたり、ノズルから少しシーリングを出してラップで覆ったりするなどの工夫をして保管します。さらに最近では下記のようなサポートグッズの登場で、これまでよりも手軽に保管できるようになりました。

・コーキングノズルストッパー

必要な長さにカットし、安定するまでストッパーを差し込むだけで、液漏れや乾燥を防いでくれます。簡易的な保存用のキャップの役割になるので、作業の中断時などにも活躍してくれます。

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