ドアクローザーの種類の違いと調整方法

 住宅の玄関ドアなどの重量があるドアは、開閉するために大きな力が必要です。そのため、万が一、ドアとドア枠の間に指などを挟んでしまうと、骨折などの大けがを負ってしまう可能性があります。
 しかし、よほど不注意でない限り、そのようなことはめったに起きません。その理由は、開閉を助けてくれる『ドアクローザー』というものが取りつけられているからです。このようにドアクローザーは、あまり目立ちませんが、私たちの安全な暮らしにはなくてはならない存在です。
 しかし、身近であり、なくてはならないものなのに、その機能や違いついてはあまり知られていません。そこで、いずれ交換や調整の機会があるかもしれないドアクローザーについて、その種類の違いや見分け方、さらにその調整方法などについて詳しくご紹介します。

目次
1章:ドアクローザーとは
2章:ドアクローザーの種類
3章:便利なドアクローザーの機能
4章:ドアクローザーのトラブルの原因
5章:ドアクローザーの調整方法

1章:ドアクローザーとは

 ご自宅の玄関ドアに注目してみてください。ドアの上部に金属製のアームといっしょに箱状の装置が取りつけられていないでしょうか。それがドアクローザーです。
 その内部には油圧の仕組み(油の粘性を利用して衝撃や振動をやわらげる)が内蔵されており、その抵抗によってドアの開閉時のスピードをコントロールしてくれています。ドアが大きな音を立てずゆっくりと閉まってくれるのはこのドアクローザーがあるためです。
 また、衝撃を緩和することでドアそのものやドア枠の劣化も防止するという役割も持っています。
 また、ドアクローザーという名前の通り、ドアを開けたときの力をスプリングなどに蓄え、その力で扉を自動的に閉めるという働きもしてくれます。
 逆にドアを開いた状態でキープしてくれる機能を内蔵したドアクローザーもあります。このようにドアの使い勝手を良くし、安全性を確保してくれるのがドアクローザーです。主に玄関扉など、重量があり、風などの影響を受けやすい外部と通じるドアに取りつけられていますが、最近は屋内の扉に取りつけられているケースもあります。
 そんなドアクローザーにトラブルが起きると、普段の生活にも大きな支障をきたします。ドアの開閉音が大きくなるだけならまだしも、手や指を挟むなどの事故を誘発してしまう可能性もあるでしょう。ドアクローザーの動きにぎこちなさを感じたり、大きな開閉音が気になるようになったら、問題が起きていないかチェックすることをオススメします。

2章:ドアクローザーの種類

 ドアクローザーにはいくつかの種類があります。開き戸タイプのドアに取りつけるドアクローザーでは『スタンダード型』と『パラレル型』。そしてもう1つ『コンシールドタイプ』があります。
 これらの違いは何かというと、まずスタンダード型については、ドアの開く側にドアクローザーの装置を取りつけるタイプです。例えば押して開く外開きのドアなら、ドアクローザーの装置がドアの外側についています。逆に内開きのドアであれば、装置はドアの内側についています。
 そしてドアクローザーから伸びるアームが、ドアを閉めたときに垂直になります。そのためドアクローザーのアームがドアの開閉に影響する場合があり、製品によっては180度開くことができなかったり。ドアに対して90度の位置に壁があると取りつけられないことがあります。
 もう一方のパラレル型は、外開きのドアなら、ドアの内側に装置がついています。日本の玄関ドアは、ほとんどが外開きなのでパラレル型が一般的です。パラレル型なら外開きドアの内側に取りつけることになるのでドアを180度大きく開放することも可能です。またドアのすぐ横に壁があっても取りつけることが可能です。
 どちらのタイプも左右どちらに開くドアにも基本的には取りつけることができます。

●スタンダード型ドアクローザー

スタンダード型は、ドアを閉じた状態で、アームがこのように垂直に飛び出します。

●パラレル型ドアクローザー

パラレル型はドアの開く方向に対して内側にドアクローザー装置が設置されます。ドアを閉めるとアームはこのように折りたたまれます。
 スタンダード型、パラレル型がドアクローザーとしては一般的ですが、これらとは別に『コンシールドタイプ』というものもあります。
 このタイプは、ドアクローザーの部品がドアクローザー本体とレールの2つに別れており、全ての部品を扉とドア枠の内部に組み込むことができます。
 そのため、外側からはドアクローザーが目立たず、またドアを閉めればアームなども見えないためデザイン性の高いドアにもスマートに設置することが可能です。
 スリムで小型ながら機能としては一般的なドアクローザー同様に開閉スピードの調整機能や、ストップ機能などが搭載されたものもあります。

3章:便利なドアクローザーの機能

 ドアクローザーには、ドアを自動的に閉じてくれる機能のほかにも様々な機能が装備されています。製品によって、搭載されている機能に違いはありますが、主な機能は以下のようなものです。

●速度調整機能

ドアの閉じる速度を調整する機能が速度調整機能です。全開からドアが完全に閉じるまで、2段階の速度区間があり、それぞれが第1速度、第2速度となっています。それぞれの速度調整弁を操作することで、任意のスピードに調整することが可能です。

●ストップ機能

これは、ドアを開いたままの状態でキープしてくれる機能です。ドアをストップ角度まで開くと、ストップ装置が働いて、ドアを開いたままにできます。スタンダード型なら70~120°、パラレル型なら70~180°の範囲で任意の角度に設定することができます。

●ラッチング機能

ドアが完全に閉じる手前で、閉じる速度を増して、ドアを強く素早く閉めてくれる機能が、ラッチング(ラッチングアクション)機能です。手動でドアを閉めるよりも、確実にドアを閉めることができます。閉まる際の閉扉速度を調整することも可能です。

●バックチェック機能

強風などによって、ドアが急激に開いてしまうことを防いでくれるのがバックチェック機能です。ドアが70〜85°ほどに開くと、ドアクローザー内部の油圧の力が働き、急激にドアが開くことを制御します。そのためのこの角度内では、油圧によってドアが重く感じられますが、ゆっくりと操作することでドアをスムーズに開くことが可能です。製品によっては搭載されていないものもあります。

●ディレードアクション機能

ドアの閉じはじめのスピードを制御してくれるのがディレードアクション機能です。ドア全開角度より約70°までの区間で、閉じる速度が制御され、ドアがゆっくりと閉じてくれます。それ以降の角度では、通常の速度でドアを閉じてくれます。そのため車椅子での出入りや、大きな荷物などの搬入出時に役に立ちます。

4章:ドアクローザーのトラブルの原因

 ドアクローザーはとてもシンプルな装置です。そのため、トラブルが起きることはあまりありませんが、経年によって劣化すると油が漏れる、ドアの速度調整が効かなくなるなどのトラブルが起きることがあります。
 ドアクローザーの耐用年数の目安は、大体10〜15年とされています。しかし、外気や雨などにさらされる玄関ドアのドアクローザーは、室内ドアよりも劣化が早くなるため、それよりも短いサイクルでトラブルが起きてしまうこともあります。
 また、使い方によっては内部の油圧機構やアーム部分などに大きな負担がかかり徐々に調子が悪くなってしまうこともあります。ドアクローザーのトラブルの原因として考えられるのは以下のようなことです。トラブルを起こさないよう使用の際はこういったポイントに特に気をつけてください。

●ドアクローザーの寿命。部品の磨耗や劣化

経年劣化でドアクローザーの内部の部品が徐々に摩耗し、油圧機構の劣化が進みます。ドアの開閉頻度など、使い方にもよりますが10年を超えると、当初の性能が維持できなくなる可能性があります。ドアクローザーからのギイギイという異音が気になるようであれば、ドアクローザーの寿命を疑いましょう。アーム部分に油を差して異音が解消されれば、まだ大丈夫ですが、以前のようなスムーズな開閉ができなくなった、と感じるようであれば、交換を検討してみましょう。

●ドアの開閉の過負荷による故障

繰り返しドアを強く閉めていると、本来自動的にドアを閉じてくれるドアクローザーの内部の油圧機構やスプリングなどに負荷がかかり、内部のメカニズムに故障が発生することがあります。普通にドアを閉じればドアクローザーが自動的に確実にドアを閉じてくれます。無理がかかるような開閉は控えるようにしてください。

●スピード調整弁の回しすぎ

ドアクローザーにはドアの閉扉速度を任意に変えられる便利な仕組みが搭載されています。その調整弁のネジを必要以上に回しすぎるとネジが抜け、内部の油が漏れてしまうことがあります。油が漏れてしまうと本来の自動閉扉機能が損なわれてしまうので注意してください。内部の油が漏れてしまった場合は、修理は基本的にできません。ドアクローザーそのものを交換するしかないので気をつけましょう。

5章:ドアクローザーの調整方法

 ドアクローザーにはドアの閉まる際の速度を調整できる機能が備わっています。ドアの閉まる速度が、以前に比べると速く、もしくは遅くなったと感じた場合には、その速度を調整してみましょう。速度の調整は、速度調整弁で行います。
 速度調整弁は、ドアクローザーの側面などにあります。また調整方法なども記載されているはずです。
ドアクローザーの調整弁の周囲には調整方法や、速度調整範囲などが記載されています。
 一般的には第1調整弁と第2調整弁の2つがあるのでこれを調整します。調整方法は調整ネジを右(時計回り)に回すとドアの閉まる速度が遅くなり、左に回すと逆に速くなります。第1調整弁で第1速度区間を調整し、第2調整弁で第2速度区間を調整します。第1速度区間と第2速度区間は以下のような範囲です。

●第1速度区間と第2速度区間

 調整のためには工具が必要です。プラスドライバーやマイナスドライバー、専用スパナなどが必要となる場合がありますので、サイズの合ったものを用意してください。
 この2つの速度調整ネジを左右いずれかに回転させて、適切な速度で閉まるように調整します。適正な速度は、ドアの閉じ始めから閉じ終わりまで大体5~8秒とされています。これを目安に調整してください。
 調整弁は、緩めすぎると内部の油圧装置から油漏れを起こす場合があります。また緩めすぎてネジが外れてしまうと元に戻りません。そうなってしまった場合はドアクローザーの交換となるので注意してください。
 また、調整しても適切な速度にならない場合は、ドアクローザーの故障の可能性があります。その場合は交換を検討しましょう。
 異音がするようになったという場合には、アーム部分に防錆潤滑剤や機械油などを差してみてください。それでも異音が解消されない場合は故障やアームのゆがみの可能性があります。この場合もドアクローザーの交換を検討した方が良いでしょう。
 速度調整や異音への対処を行った際には、アームをドア枠に固定しているブラケットの三角板の固定ネジに緩みがないかも確認しておきましょう。
速度の調整のついでに、三角板を固定しているネジに緩みがないかも確認しましょう。ネジが緩んでいる場合はドライバーで締め直します。

 この部分に緩みがあるとアームが正しく作動しません。ガタついている場合にはドライバーなどでネジを締め直してください。また、アーム部分にゆがみがないかもチェックします。しっかりと固定できたらドアを開閉して、調整したとおりにドアクローザーが正しく作動するか確認しましょう。問題なければ調整は完了です。
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