木材の種類と特徴(広葉樹)

 広葉樹は世界中で20万種を超えるといわれています。日本には約300種の広葉樹があり、その中で30種ほどが木材として良く使われているそうです。樹木は長い年月をかけて成長し、伐採され木材となり、加工されて物となり、私たちの生活を彩ってくれます。ここでは、良く目にする広葉樹の木材について種類、特徴、用途を分かりやすく説明します。お気に入りの広葉樹を使って簡単DIYでカッティングボードを作り、食卓に置いてみませんか?

目次
第1章:広葉樹とは?
第2章:広葉樹は何に使われるの?
第3章:広葉樹の種類と主な用途
第4章:簡単DIYで広葉樹を使ってみよう。

第1章:広葉樹とは?

 樹木を大きく分けると、外長樹と内長樹に分けられます。あまり聞きなれない言葉ですが、内長樹は年輪がなく、縦に成長しあまり太くなりません。竹やシュロがこれに含まれます。年月とともに樹高が伸び、幹が肥大し年輪ができる樹木を外長樹と呼びます。年輪ができる外長樹は、針葉樹と広葉樹に分けられます。
 また、針葉樹と広葉樹は、一年中緑の葉っぱをつけている常緑樹と、春に芽吹き、秋に紅葉し葉っぱが落ちる落葉樹に分けられます。

 ・常緑針葉樹・・・ヒノキ、アカマツ、クロマツ、スギ、モミ、ツガ、アスナロなど
 ・落葉針葉樹・・・カラマツ、イチョウ、メタセコイヤなど
 ・常緑広葉樹・・・クスノキ、クロモジ、ゲッケイジュ、シラカシ、シイ、ヤブツバキ、ヒイラギなど
 ・落葉広葉樹・・・シラカバ、ブナ、クヌギ、ケヤキ、ホウノキ、ミズナラ、コブシ、クリ、イタヤカエデ、カツラなど

 針葉樹と広葉樹の違いは、葉っぱの形、樹形にあります。針葉樹は主に葉は細長く、先が尖っており、樹形はとんがり帽子のような細長い円錐形をしています。広葉樹は主に平らな楕円形のような形の葉っぱが多く、樹形は枝が扇状に広がり丸く大きくなります。
 秋に黄色く紅葉するイチョウは葉っぱが平たく広葉樹と思われがちですが、針葉樹の仲間です。

第2章:広葉樹は何に使われるの?

 針葉樹は主に柱や梁などの構造用材や建具や壁などの建築材用として使われています。それに比べ、広葉樹は住宅建材としては主に床柱、敷居、框、フローリング材などに使用されます。その他、広葉樹はそれぞれの木の特性を活かして、家具、まな板、お椀、お盆、菓子盆、玩具、伝統工芸などにも使われています。
 一般的に広葉樹は針葉樹に比べ成長が緩やかで空隙率(木の中の細胞と空気の割合)が低いため、木質は硬く稠密で重いものが多く、切断面は年輪や木目や色など美しいものがたくさんあります。約20万種といわれる広葉樹の中には、世界一軽いと言われているバルサのように軽く柔らかく扱いやすい種類もあるように、樹木の種類によって様々な特徴があります。木材も適材適所で用途に合ったものを選択し、長い年月をかけて成長した樹木を大切に活かしてあげる必要があります。

第3章:広葉樹の種類と主な用途

 ここでは、日頃よく目にしたり、耳にする広葉樹を抜粋し、特徴や用途を記します。広葉樹を選ぶときに参考にしてください。

1.イペ:ノウゼンカズラ科の落葉広葉樹

南米産のハードウッドでアマゾン川流域に分布しています。耐久性が非常に高く、海辺のボードウォークやウッドデッキ材としても高く評価されています。心材は緑褐色、辺材は黄白色。木目が詰まっており重く、硬く、海水やシロアリにも抵抗力があるため20年以上長持ちするといわれています。反り、曲がりも少ない高価な木材です。その他、イペは枕木、船舶、桟橋などにも使われています。

2.ウリン:クスノキ科の常緑広葉樹

東南アジア原産で非常に固く重いため『鉄の木』と呼ばれています。生息地は海辺で海水にも強く、シロアリやフナクイムシなど害虫にも強く、耐久性は20年以上とも、100年以上ともいわれています。心材は暗褐色、辺材は黄褐色で色のバラツキは少なく美しい木材です。樹液(ポリフェノール)がにじみ出ることがありますが人体には害はありません。防腐剤などのメンテナンスも必要ありません。浮桟橋や橋梁、ウッドデッキ、船舶材などに使われています。まれにささくれができることがあり、触れると痛いため素足厳禁といわれています。

3.ウォルナット:クルミ科の落葉広葉樹

北米原産で、辺材は乳白色から灰紫色をしており、心材は紫色を帯びた褐色で濃淡の縞模様が美しい木材です。木質はやや重く硬いのが特徴です。木肌はやや粗いが加工しやすく、塗料によく馴染み美しく仕上がります。高級家具や工芸用材、ドア材、フローリング材、楽器材などに利用されています。日本のオニグルミがこれに属します。

4.エボニー(黒檀):カキノキ科の常緑広葉樹

主に東南アジア産で辺材は灰白色、心材は漆黒、または褐色の縞模様があります。年輪ははっきりしていませんが、非常に重く硬い木材です。表面は滑らかで油分が多く光沢があります。木材は硬く、油分があるため切削も磨きも困難ですが耐久性に優れた作品ができます。エボニーは成長が非常に遅く、希少木材のため人気も高く高価です。主な用途は仏壇や床柱、家具、ピアノの黒鍵、弦楽器の指板、チェスの駒、ゴルフのクラブヘッドなどに使われています。

5.エンジュ(槐、イヌエンジュ):マメ科の落葉広葉樹

中国原産の樹木(エンジュ)ですが、現在ではイヌエンジュとして日本各地で植樹されています。色ははっきりと分かれており、心材は赤褐色、辺材は淡い黄白色をしている木材です。成長が遅いため年輪幅は狭く明瞭で美しく、木質はやや硬いけれど割れにくいため彫刻や細工物に重宝されています。その他、框、床柱などの内装材や家具に使われています。

6.オリーブ:モクセイ科の常緑広葉樹

地中海沿岸やケニア、タンザニアが産地。乳白色の辺材、心材には薄い褐色の地に黒褐色や黒色の縞模様が入っている美しい木材です。木質は重硬で緻密。乾燥が難しく、乾燥後も狂いや割れが出ることがあります。加工は困難ですが耐朽性に優れた作品ができ上がります。主に家具用材、彫刻素材、道具の柄、フローリング材として使われています。

7.カツラ(桂):カツラ科の落葉広葉樹

日本各地に自生。樹皮の内側が黄色いためキハダと呼ばれています。辺材は白黄色、心材は緑色を帯びた黄褐色をしています。木質は比較的軽いのですが、適度な硬さがあり水湿に強いのが特徴です。肌目はやや粗いものの、カンナで削ると滑らかになり光沢も出るようです。主に鏡台や茶箪笥などの家具材、建築内装材に利用されます。その他、お盆、杓子、寄木、経木などにも使われ、水湿に強いことから枕木や流し場の板としても利用されています。

8.キハダ(黄蘗):ミカン科の落葉広葉樹

北海道を中心に日本各地に自生する特産種。緋桂(ヒガツラ)と青桂の2種類があります。褐色の心材と緑黄色の辺材で境界がはっきりしています。年輪はやや明瞭。木質は密でやや軽軟材で加工は容易です。彫刻には狂いが生じにくい緋桂が適しており、青桂を使用する場合はねじれに気をつける必要があります。カツラは彫刻の他に、柱や梁、テーブルや椅子などの家具、将棋盤、碁盤などの材料としても使われます。

9.キリ(桐):ゴマノハグサ科の落葉広葉樹

中国から伝来し、北海道南部より南の日本各地で植栽されており、会津桐(福島県)、南部桐(岩手県)、秋田桐(秋田県)などが有名です。ブラジル、パラグアイ、アルゼンチンなどでも植栽され、日本に輸入されています。辺材、心材の区別はあまりなく、淡灰色からくすんだ白色をしています。国内産の木材の中で一番軽く柔らかで弾力性に富んでいるため、加工は極めて容易です。キリは多孔質構造をしているため熱伝導率が低く、湿度調整力もあり、水分を遮断する力も強く、タンニンを多く含んでいるので防虫効果も高い木材です。その利点を活かし、箪笥や箱物、楽器などに多く使われています。強度は強くありませんが、スギに比べ耐摩耗性があり軽いことから、古くから下駄に使われてきました。また、キリは熱電動率が低く発火しにくいために、金庫の内箱にも使われています。

10.ケヤキ(欅):ニレ科の落葉広葉樹

本州、四国、九州の山野に分布します。平野部でも生育し、樹高は20から25mにもなり幹は直立するため街路樹として多く植栽されています。辺材は淡黄褐色、心材は黄褐色から赤褐色をしており、境界も年輪も明瞭でとても美しい木材です。ケヤキの木質は密で重く硬く強く耐水性、耐久性に富んでいます。また、乾燥後の木材は安定しており、狂いが少ないため国内産の良材として古くから使われています。主に建築材、建具材、家具材、彫刻材、お盆や器などの日常器具材など幅広く利用されています。また、玉杢、牡丹杢、泡杢など美しい木目は高級感があり人気があります。

11.サクラ(桜、ヤマザクラ):バラ科の落葉広葉樹

本州、四国、九州、中国、朝鮮に自生。辺材は淡い黄褐色、心材は褐色で縞模様がありますが、年輪はやや不鮮明です。サクラの木質は重く、適度に硬く強度や耐久性があり、乾燥すると狂いは少なくなり加工しやすい木材です。磨くと艶が増し、高級感が出ます。用途は高級家具材、内装造作材、楽器材、彫刻材など幅広く利用されています。また、美しい樹皮は樺細工にも使われます。

12.セン(栓):ウコギ科の落葉広葉樹

多くは北海道ですが、日本各地、樺太、朝鮮、中国に分布しています。辺材は淡い黄白色、心材は淡い灰白色で年輪幅は狭くはっきりとしており、木目は美しくケヤキに似ています。肌目はやや粗いものの軽くて柔らかく加工しやすいのですが、耐久性は劣ります。家具、下駄、合板、建築材として利用されています。

13.チーク:クマツズラ科の落葉広葉樹

チークは、タイ、インドネシア、ミャンマーなどの東南アジアに分布していますが、自然保護のため伐採が制限されている樹木です。チークは、辺材は黄白色、心材は金褐色で暗色の縞模様があり美しく、世界の最高級優良材として知られています。木質は重硬で強く、耐水性、耐久性、防虫性にも富んでいます。加工も比較的容易で、仕上がりは高級感が出る人気の木材です。主に高級家具材、室内装飾材、彫刻材、船舶材、ツキ板材と幅広く使われています。

14.ナラ(楢、ミズナラ):ブナ科の落葉広葉樹

日本各地に分布していますが、質、量ともに北海道産が優れています。辺材は灰白色、心材は暗灰褐色で柾目面には虎斑という美しい模様が入ります。木質は重硬で強く、耐久性があるものの、加工は難しく、乾燥時に割れが生じやすいのが特徴です。主に高級家具、床板、器、洋酒樽、枕木などに使われています。

15.バルサ:パンヤ科の常緑広葉樹

南米の熱帯地域産。辺材心材の別はあまり無く、全体的に白、ピンクを帯びた淡褐色をしています。5、6年で樹高が20mを越え、幹の直径が60cmとなるくらい成長が早いため、木質は粗く、非常に軽く加工は容易です。世界一軽い木材といわれています。主に模型飛行機、救命具、ルアー、遮音材に使われています。

16.ファルカタ:マメ科の落葉広葉樹

ファルカタは東南アジア原産の成長の早い木材で、植林されたものが輸入されています。辺材は白淡桃褐色、心材は白淡桃色と似ているため、境界線ははっきりしません。柔らかく、軽い木材ですが、木理が交錯しているため裂けにくいといわれています。加工は非常に容易でDIY初心者にも扱いやすい木材です。柔らかいファルカタは凹んだり、傷がつきやすく、キクイムシや腐蝕菌などの害を受けることもあります。ホームセンターなどでは主にファルカタ集成材が販売されています。日本の桐に似ているため、桐の代用材としても使われます。木肌は粗めですが、磨くときれいに仕上がります。主な用途はタンスや机の引き出しの側板、果物用の木箱、ルアーなどです。

17.ブナ(樗):ブナ科の落葉広葉樹

北海道南部から九州まで日本各地の山奥に分布しています。世界遺産に登録されている白神山地のブナ林に代表されるように東北地方がブナの主産地です。辺材心材は極めて分かりづらく、白色から乳白色をしています。木質は重硬ですが、粘りや弾力性に富んでいるため、曲木加工に利用されます。ブナの樹木は水分量が多く、乾燥が不十分な木材はカビ、腐食、ねじれや狂いが生じやすく、乾燥が重要な木材です。適正に乾燥された木材は耐久性が高くなります。ブナは椅子などの家具材、玩具、スキー板、合板材などに使われています。

第4章:簡単DIYで広葉樹を使ってみよう。

・材料と道具

木材
オイル(くるみオイル、オリーブオイル、キヌカなど)
のこぎり
紙ヤスリ(120、240、400番手など)
ウエス(いらない布)

・作り方

 木材をのこぎりで好みの大きさ、形に切ります。紙ヤスリで木目に沿って全面を磨きます。紙ヤスリは粗い120番手で形を整え、だんだん細かい番手に変えて磨きます。乾いたウエスで木材についている粉を拭き取ります。きれいなウエスにオイルを取り、木材全面に薄く染み込ませます。余分なオイルを拭き取り、日陰で乾かせばカッティングボードの完成です。オイルを塗って乾かす作業を2~3回繰り返すと丈夫なものができます。

・お手入れ

 使用後はすぐに中性洗剤で洗い、水分を拭き取り、陰干ししてください。何度も使用するとオイルが抜け毛羽立ってきますが、紙ヤスリで磨き、オイルを塗るときれいなカッティングボードに戻ります。
 少し大きいものを作ると、ピザやケーキ台にもなります。ぜひチャレンジしてみてください。

まとめ

 広葉樹は種類によって成長のスピードが違います。それによって、木質も違ってくるため、木材の特徴を活かす使い方をすることが大切です。身の周りにある木製品についても調べてみましょう。何かが変わるかもしれません。

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